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17. 続きからもう一度やり直し (後編)
2008.08.03 Sun
「……貴久、昨日ちゃんと寝た?」
朝起きて、いつもどおりにメシの支度をしてれば、哲也が人の顔をジロジロ見ながらそんなことを言ってきた。
「寝たっつの。何で?」
ホントのこと言えば、いろいろ考えすぎてなかなか寝付けなかったけど。
「何か目ぇ赤いよ?」
「、」
コイツ、アホのくせに鋭いっ!
「いいから早く顔洗ってこい。店行って、店長さんに謝んだろ?」
「うー……うん」
哲也は複雑な表情のまま、洗面所に向かった。
一応昨日のうちに、店長さんに電話して、やっぱり店に戻りたいってことは伝えたけど、どうも哲也は自分が身勝手すぎるんじゃないかって、ずっと悩んでる。
「貴久ぁー……ホントに大丈夫かなぁ?」
食卓に上る納豆に心底嫌そうな顔をしながら、何度目になるか、哲也がそう言った。
「店長さんがいい言ってるんだから、いいんじゃね? 何心配してんの」
「だって…」
「いいから早く食えって。再出発の日に遅刻する気か?」
「ぁ、う゛…」
元からメシ食うのトロトロしてるくせに、今朝はいろいろあって、さらに遅い。コイツに付き合ってたら、俺まで遅刻する。
「ごちそうさま!」
「はっ!?」
今さっきまで半分以上残ってたくせに、一気に口の中に掻き込んで、ちょうどハムスターとかが頬袋をいっぱいにしてるみたいな感じでモゴモゴしながら、哲也は両手を合わせた。
「いや……もうちょっと落ち着いて食うてもいいんじゃ…?」
「いいの!」
って、まだモグモグしてんじゃん!
でも哲也はバタバタと食器を片付けて、身支度を整え始める。
いや、まぁいいんだけど……俺、そんなに急がせたかな?
*****
「貴久! 行こ!」
「はぁ!? 待てや、俺まだ支度が…」
メシ食い始めるまでは、ノロノロ、トロトロしてたくせに、何や、急に急ぎ出して…。
「何だよ」
「いいから! 早く!」
何ぼ何でも張り切りすぎだよ。
でも哲也は落ち着きなく時計ばっかり見てるから。
「分かった、もう行くから!」
まだネクタイちゃんと締めてないけど、カバン持って玄関に向かった。
もう靴まで履いてる哲也が、ピョンピョン飛び跳ねながら、「早く早く!」て急かす。ホント、落ち着きのない子…。
「何でそんな急ぐんだよ。早く来いって言われたのか?」
「……そうじゃない、けど…」
チラリと、中途半端な階で止まったままのエレヴェータの表示を見てから、哲也はタタッと階段を駆け下りていく。
「哲也?」
「だって…………もうちょっと遅いと、かぶる…」
「は? 何が?」
早足でエントランスを出たところで、哲也は足を止めて、はぁ、と息を吐いた。
「出勤時間。もぉちょっと遅いと、あの人とかぶる」
あの人。
ウチの階上に住んでる、哲也の元カレ。
前に遅刻しかけるほどの時間に家を出たとき、エレヴェータの中で鉢合わせした。
もともと一緒に住んでいたんだから、その人の出勤時間とかそういうのは知ってるわけで。それなら会わないような時間を見計らって、家を出ればいいということか。
「……そうだな。行こっか」
「うん」
朝起きて、いつもどおりにメシの支度をしてれば、哲也が人の顔をジロジロ見ながらそんなことを言ってきた。
「寝たっつの。何で?」
ホントのこと言えば、いろいろ考えすぎてなかなか寝付けなかったけど。
「何か目ぇ赤いよ?」
「、」
コイツ、アホのくせに鋭いっ!
「いいから早く顔洗ってこい。店行って、店長さんに謝んだろ?」
「うー……うん」
哲也は複雑な表情のまま、洗面所に向かった。
一応昨日のうちに、店長さんに電話して、やっぱり店に戻りたいってことは伝えたけど、どうも哲也は自分が身勝手すぎるんじゃないかって、ずっと悩んでる。
「貴久ぁー……ホントに大丈夫かなぁ?」
食卓に上る納豆に心底嫌そうな顔をしながら、何度目になるか、哲也がそう言った。
「店長さんがいい言ってるんだから、いいんじゃね? 何心配してんの」
「だって…」
「いいから早く食えって。再出発の日に遅刻する気か?」
「ぁ、う゛…」
元からメシ食うのトロトロしてるくせに、今朝はいろいろあって、さらに遅い。コイツに付き合ってたら、俺まで遅刻する。
「ごちそうさま!」
「はっ!?」
今さっきまで半分以上残ってたくせに、一気に口の中に掻き込んで、ちょうどハムスターとかが頬袋をいっぱいにしてるみたいな感じでモゴモゴしながら、哲也は両手を合わせた。
「いや……もうちょっと落ち着いて食うてもいいんじゃ…?」
「いいの!」
って、まだモグモグしてんじゃん!
でも哲也はバタバタと食器を片付けて、身支度を整え始める。
いや、まぁいいんだけど……俺、そんなに急がせたかな?
*****
「貴久! 行こ!」
「はぁ!? 待てや、俺まだ支度が…」
メシ食い始めるまでは、ノロノロ、トロトロしてたくせに、何や、急に急ぎ出して…。
「何だよ」
「いいから! 早く!」
何ぼ何でも張り切りすぎだよ。
でも哲也は落ち着きなく時計ばっかり見てるから。
「分かった、もう行くから!」
まだネクタイちゃんと締めてないけど、カバン持って玄関に向かった。
もう靴まで履いてる哲也が、ピョンピョン飛び跳ねながら、「早く早く!」て急かす。ホント、落ち着きのない子…。
「何でそんな急ぐんだよ。早く来いって言われたのか?」
「……そうじゃない、けど…」
チラリと、中途半端な階で止まったままのエレヴェータの表示を見てから、哲也はタタッと階段を駆け下りていく。
「哲也?」
「だって…………もうちょっと遅いと、かぶる…」
「は? 何が?」
早足でエントランスを出たところで、哲也は足を止めて、はぁ、と息を吐いた。
「出勤時間。もぉちょっと遅いと、あの人とかぶる」
あの人。
ウチの階上に住んでる、哲也の元カレ。
前に遅刻しかけるほどの時間に家を出たとき、エレヴェータの中で鉢合わせした。
もともと一緒に住んでいたんだから、その人の出勤時間とかそういうのは知ってるわけで。それなら会わないような時間を見計らって、家を出ればいいということか。
「……そうだな。行こっか」
「うん」
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