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17. 続きからもう一度やり直し (中編) 1
2008.08.01 Fri
電話を切れば、ジッとこちらを見つめる哲也の視線に気が付いた。
「啓ちゃん。ゴメンだって。きっと後で電話来るよ、お前んとこ」
「ふはっ……啓らしい。…………ありがとう」
「俺に言うなよ。啓ちゃんに言え」
「……そだね」
哲也はまた涙ぐみながら、それでも笑って、ソファに身を投げた。
「俺ってホントにアホだなぁ」
「何が」
そう言えば、さっきもそんなこと言ってた気がする。
俺が言うのも何だけど、確かに最初に会ったときから、ちょっと頭のゆるい子って印象だったけど。
「だって……ここにはもういれないって出てって、10日も行方不明になってたのに、結局またここに戻って来て、貴久の世話になってるなんて…」
「まったくだ」
「……ゴメンなさい」
「そんで、10日も行方くらまして、結局新しく住むトコ見つかったのか?」
問い詰めれば、哲也は観念したように首を横に振った。
「ホントのアホだな」
「はい…」
売春? 援交? はいけないことだけど、金を工面するためにそんなことしといて、でも結局宿なしだなんて、ホントにアホと言うか、要領悪いって言うか…。
「あの店も、辞めたんだって?」
「……うん。店、行ったの?」
「行ったよ。店長さんも心配してた。それに、また店に戻って来てほしいって言ってたよ」
「そんな……戻れるわけないじゃん。急に、勝手に辞めるとか言い出しといて、今さらどの面下げて戻ればいいの?」
「服のデザインも辞めんの?」
「……分かんない。俺……ホント、自分でどうしたいのか、分かんないの。デザインしたいとか、服作りたいとか、それは思ってるけど、でもまともに生活も出来ないのに」
哲也はそこでいったん言葉を切って、溜息のような息をついた。
「貴久にも、啓にも、…………店長にも迷惑掛けて、結局この有様。ホント、自分が嫌になる…。俺がもうちょっとマシなら、ウチにもちゃんといれて、どうにかなってたかな?」
「そんで、大学行って医者になってた?」
哲也の家のこと、別にそんなに知ってるわけじゃないけど、啓ちゃんから聞く限りでは、とても哲也のこの性分に合いそうもないことだけは分かる。
哲也自身もそれを分かっているのか、苦笑いしている。
「医者は性に合わない。病院嫌いだし」
「なら、お前のやりたいこと、やるしかないんじゃね?」
「………………そっか、そうだね」
哲也は大きく息を吐いて、ソファの背凭れにグッと身を預けた。
「やっぱ……もっかい店に戻る」
「そうしろよ」
「……ゴメンな、貴久。ホントにありがとう。……………………で、さぁ……」
「んー?」
「ゴメンついでに、今晩ここに泊めてくれませんか?」
「…………………………」
やっぱり、ホントのアホだ、こいつは。
「啓ちゃん。ゴメンだって。きっと後で電話来るよ、お前んとこ」
「ふはっ……啓らしい。…………ありがとう」
「俺に言うなよ。啓ちゃんに言え」
「……そだね」
哲也はまた涙ぐみながら、それでも笑って、ソファに身を投げた。
「俺ってホントにアホだなぁ」
「何が」
そう言えば、さっきもそんなこと言ってた気がする。
俺が言うのも何だけど、確かに最初に会ったときから、ちょっと頭のゆるい子って印象だったけど。
「だって……ここにはもういれないって出てって、10日も行方不明になってたのに、結局またここに戻って来て、貴久の世話になってるなんて…」
「まったくだ」
「……ゴメンなさい」
「そんで、10日も行方くらまして、結局新しく住むトコ見つかったのか?」
問い詰めれば、哲也は観念したように首を横に振った。
「ホントのアホだな」
「はい…」
売春? 援交? はいけないことだけど、金を工面するためにそんなことしといて、でも結局宿なしだなんて、ホントにアホと言うか、要領悪いって言うか…。
「あの店も、辞めたんだって?」
「……うん。店、行ったの?」
「行ったよ。店長さんも心配してた。それに、また店に戻って来てほしいって言ってたよ」
「そんな……戻れるわけないじゃん。急に、勝手に辞めるとか言い出しといて、今さらどの面下げて戻ればいいの?」
「服のデザインも辞めんの?」
「……分かんない。俺……ホント、自分でどうしたいのか、分かんないの。デザインしたいとか、服作りたいとか、それは思ってるけど、でもまともに生活も出来ないのに」
哲也はそこでいったん言葉を切って、溜息のような息をついた。
「貴久にも、啓にも、…………店長にも迷惑掛けて、結局この有様。ホント、自分が嫌になる…。俺がもうちょっとマシなら、ウチにもちゃんといれて、どうにかなってたかな?」
「そんで、大学行って医者になってた?」
哲也の家のこと、別にそんなに知ってるわけじゃないけど、啓ちゃんから聞く限りでは、とても哲也のこの性分に合いそうもないことだけは分かる。
哲也自身もそれを分かっているのか、苦笑いしている。
「医者は性に合わない。病院嫌いだし」
「なら、お前のやりたいこと、やるしかないんじゃね?」
「………………そっか、そうだね」
哲也は大きく息を吐いて、ソファの背凭れにグッと身を預けた。
「やっぱ……もっかい店に戻る」
「そうしろよ」
「……ゴメンな、貴久。ホントにありがとう。……………………で、さぁ……」
「んー?」
「ゴメンついでに、今晩ここに泊めてくれませんか?」
「…………………………」
やっぱり、ホントのアホだ、こいつは。
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