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16. チェリー。僕が赤い三輪車で迎えに行くよ。 (後編)
2008.07.24 Thu
関係ないよ、あんなヤツ。
だって、たまたま俺んちの前で寝てたってだけ。それがたまたま啓ちゃんの知り合いだったってだけだし。
所詮は他人じゃんか。
ほっといたらいいんだよ。
ほっといたら……。
「………………あー!! もうっ!!」
そんなの出来たら、最初っから家に上げたりしないし!!
ガシガシ頭を掻いて、俺は急いで玄関に向かった。
さっき哲也が出てってから、どのくらい経った?
アイツ、足速いのかな? 今から追い掛けてって、間に合う? 追い付ける?
とにかく急ぐしかなくて、玄関に投げ出してあったサンダルを適当に引っ掛けて、勢いよくドアを開けた―――――ら。
――――ガコンッ!!
「あ、鍵!! って、え!?」
ドア開けたのと、鍵持って来てないって気が付いたのと、勢いよく開けたドアに何かぶつかる感じがしたのはほぼ同時で。
慌てすぎて何をどうしていいか分からなくなって。
でも目の前には、地面に突っ伏した状態の、小さな背中。
「…………へ……哲也…??」
そこにいるのは、さっき俺んちを出て行ったはずの哲也。その体勢からして、俺が開けたドアにぶつかって弾き飛ばされたに違いない。
「お前、何してんの?」
「バッ……そんなに勢いよくドア開けるヤツいるか!!」
立ち上がって振り返った哲也に、ものすごい勢いで突っ込まれる。
「しょうがないじゃん、お前がこんなとこ寄り掛かってるなんて思わなかったんだもん!」
「…ッ、」
「何でこんなトコいんだよ」
「…………べ…つに、いいじゃん、どこにいたって。貴久こそ、何でそんなに慌てて出てきてんの?」
「え? いや、だって、早くお前のこと、追い掛けないとって思って」
「……………………」
そんなに変なこと言ったつもりないのに、哲也がポカンとして、呆れた顔をする。
「おま……アハハ」
「何だよ」
「貴久、お前、どこまでお人好しなの…」
そう言って、哲也はグズッと鼻を啜った。目が潤んでる。
「お前こそ、どんだけ泣けば気が済むんだよ」
「泣いてない」
「泣いてんじゃん」
「泣いてないもん」
手の甲でぐしぐし涙を拭って、明らかに泣き顔なのに、それでも泣いてないって言い張る哲也がおかしくて、こんな状況なのに、思わず吹き出してしまう。
「何笑ってんだよ!」
そしたら、やっぱりすかさず突っ込まれて。
「もういいから、入れ」
グズッともう1回鼻を啜って、哲也はコクリ、頷いた。
「…………俺、アホだな」
俺の脱ぎ散らかしたサンダルまで丁寧に揃えてくれながら、哲也がポツリと呟いた。
「ん? 何が?」
「…………ううん、何でも。ゴメンな、貴久」
だって、たまたま俺んちの前で寝てたってだけ。それがたまたま啓ちゃんの知り合いだったってだけだし。
所詮は他人じゃんか。
ほっといたらいいんだよ。
ほっといたら……。
「………………あー!! もうっ!!」
そんなの出来たら、最初っから家に上げたりしないし!!
ガシガシ頭を掻いて、俺は急いで玄関に向かった。
さっき哲也が出てってから、どのくらい経った?
アイツ、足速いのかな? 今から追い掛けてって、間に合う? 追い付ける?
とにかく急ぐしかなくて、玄関に投げ出してあったサンダルを適当に引っ掛けて、勢いよくドアを開けた―――――ら。
――――ガコンッ!!
「あ、鍵!! って、え!?」
ドア開けたのと、鍵持って来てないって気が付いたのと、勢いよく開けたドアに何かぶつかる感じがしたのはほぼ同時で。
慌てすぎて何をどうしていいか分からなくなって。
でも目の前には、地面に突っ伏した状態の、小さな背中。
「…………へ……哲也…??」
そこにいるのは、さっき俺んちを出て行ったはずの哲也。その体勢からして、俺が開けたドアにぶつかって弾き飛ばされたに違いない。
「お前、何してんの?」
「バッ……そんなに勢いよくドア開けるヤツいるか!!」
立ち上がって振り返った哲也に、ものすごい勢いで突っ込まれる。
「しょうがないじゃん、お前がこんなとこ寄り掛かってるなんて思わなかったんだもん!」
「…ッ、」
「何でこんなトコいんだよ」
「…………べ…つに、いいじゃん、どこにいたって。貴久こそ、何でそんなに慌てて出てきてんの?」
「え? いや、だって、早くお前のこと、追い掛けないとって思って」
「……………………」
そんなに変なこと言ったつもりないのに、哲也がポカンとして、呆れた顔をする。
「おま……アハハ」
「何だよ」
「貴久、お前、どこまでお人好しなの…」
そう言って、哲也はグズッと鼻を啜った。目が潤んでる。
「お前こそ、どんだけ泣けば気が済むんだよ」
「泣いてない」
「泣いてんじゃん」
「泣いてないもん」
手の甲でぐしぐし涙を拭って、明らかに泣き顔なのに、それでも泣いてないって言い張る哲也がおかしくて、こんな状況なのに、思わず吹き出してしまう。
「何笑ってんだよ!」
そしたら、やっぱりすかさず突っ込まれて。
「もういいから、入れ」
グズッともう1回鼻を啜って、哲也はコクリ、頷いた。
「…………俺、アホだな」
俺の脱ぎ散らかしたサンダルまで丁寧に揃えてくれながら、哲也がポツリと呟いた。
「ん? 何が?」
「…………ううん、何でも。ゴメンな、貴久」
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