スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
10. 33%の憂鬱 (前編)
2008.07.09 Wed
さすがに5日もここに戻って来なくなると、ぼんやりしてる俺でも、何かあったのかなって思う。
新しい宿を見付けたのなら、アイツのことだから電話かメールで言ってきそうなんだけど。
別に哲也の事情を詮索するつもりはないけど、アイツ、荷物全部ここに置いてってるから、何かと不便なんじゃないかな。
合鍵渡してあるのに、取りに来てる様子もないし。
だから、今日哲也からメールが来たら、そのこと言おうと思ってたのに、思いがけず哲也が帰って来た。
「おう、お帰り」
まだ俺が帰ってきてないとでも思っていたのか、声を掛けたら、哲也はひどく驚いた顔をした。
「あ……貴久…」
「どうした? 早く入れよ」
「……うん、ゴメン、5日も…」
「別にいいけど。荷物みんなここに置いてって、大変じゃなかった?」
「あ……うん」
部屋に上がっても、哲也は何だか元気のない様子で。
何も食ってないって言うから、とりあえずメシを食わせてやっても、全然復活しない。
「……貴久ぁ」
「何?」
「俺………………ここ出ようかと思って…」
メシ食い終わって、食器を片した後、徐に哲也がそう言った。
「ぅん? あぁ、住むトコ見つかった? おめでとう」
そのわりに、あんまり元気がないのは何で?
俺はテレビを消して、哲也の向かいに座った。
「哲也?」
「……いや、そうじゃないけど…」
「?? どうした?」
けれど哲也は答えずに、そのまま俯いてしまった。
「哲也?」
「もう……ここにはいられない…」
「は?」
「別に貴久のこと嫌いになったとか、そういうことじゃなくて、貴久にはすっごい感謝してるし、その…」
要領を得ない哲也の説明を、けれど俺は何も突っ込まずに、次の言葉を待った。
「も…ダメなの、俺……ヒック…」
そう言った後、哲也が大きくしゃくり上げて。
俯いてるけど、穿いてるジーンズのももに、ポタポタ涙が落ちていく。
「哲也? 何? 何がダメなの?」
「も……いやだぁ…、わぁーーーーんっ!!」
「ちょっ…おい!?」
子供みたいに泣きじゃくる哲也の側に行って、その背中をさすってやる。それでも泣き止まない哲也を、何でか、思わず胸に抱いてしまって。
別に女の子を慰めるような、そんなつもりじゃない。
どっちかって言うと、子供をあやす、それ。
哲也が泣き疲れて眠るまで、訳も聞けないまま、ずっとそうしてた。
新しい宿を見付けたのなら、アイツのことだから電話かメールで言ってきそうなんだけど。
別に哲也の事情を詮索するつもりはないけど、アイツ、荷物全部ここに置いてってるから、何かと不便なんじゃないかな。
合鍵渡してあるのに、取りに来てる様子もないし。
だから、今日哲也からメールが来たら、そのこと言おうと思ってたのに、思いがけず哲也が帰って来た。
「おう、お帰り」
まだ俺が帰ってきてないとでも思っていたのか、声を掛けたら、哲也はひどく驚いた顔をした。
「あ……貴久…」
「どうした? 早く入れよ」
「……うん、ゴメン、5日も…」
「別にいいけど。荷物みんなここに置いてって、大変じゃなかった?」
「あ……うん」
部屋に上がっても、哲也は何だか元気のない様子で。
何も食ってないって言うから、とりあえずメシを食わせてやっても、全然復活しない。
「……貴久ぁ」
「何?」
「俺………………ここ出ようかと思って…」
メシ食い終わって、食器を片した後、徐に哲也がそう言った。
「ぅん? あぁ、住むトコ見つかった? おめでとう」
そのわりに、あんまり元気がないのは何で?
俺はテレビを消して、哲也の向かいに座った。
「哲也?」
「……いや、そうじゃないけど…」
「?? どうした?」
けれど哲也は答えずに、そのまま俯いてしまった。
「哲也?」
「もう……ここにはいられない…」
「は?」
「別に貴久のこと嫌いになったとか、そういうことじゃなくて、貴久にはすっごい感謝してるし、その…」
要領を得ない哲也の説明を、けれど俺は何も突っ込まずに、次の言葉を待った。
「も…ダメなの、俺……ヒック…」
そう言った後、哲也が大きくしゃくり上げて。
俯いてるけど、穿いてるジーンズのももに、ポタポタ涙が落ちていく。
「哲也? 何? 何がダメなの?」
「も……いやだぁ…、わぁーーーーんっ!!」
「ちょっ…おい!?」
子供みたいに泣きじゃくる哲也の側に行って、その背中をさすってやる。それでも泣き止まない哲也を、何でか、思わず胸に抱いてしまって。
別に女の子を慰めるような、そんなつもりじゃない。
どっちかって言うと、子供をあやす、それ。
哲也が泣き疲れて眠るまで、訳も聞けないまま、ずっとそうしてた。
- 関連記事
-
- 10. 33%の憂鬱 (後編) (2008/07/10)
- 10. 33%の憂鬱 (前編) (2008/07/09)
- 9. 込み入った事情 (後編) (2008/07/08)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:アスファルトで溺死。
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学