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暴君王子のおっしゃることには! (168)
2012.10.16 Tue
「えと、あの…」
「とりあえず、今日のところはアタシが連れて帰ります。また何かあったら、美亜の相手、してやってください。いっちゃんさん? ホラ美亜、行くよ~」
「ん~…」
一伽に会ってテンションを上げ切ったらしい美亜は、電池が切れたように大人しくなって、友だちに肩を借りている。
酔っ払って力の抜けている子を連れて行くのは結構大変なんだけど、この子が何とかしてくれるみたいだから、申し訳ないけれど、お任せしよう。
「それじゃあ、どうも~」
「あ、うん…」
「美亜、いっちゃんさんにバイバイしなくていいの?」
「にゃぁ~…」
爆弾を落とすだけ落として、美亜は力尽きたのか、一伽のほうを見るわけでもなく、手を振るような仕草をしただけで、友だちに連れられて行ってしまった。
「はぁ~…」
嵐が去って、一伽は大きく溜め息をついた。
酔っ払った美亜の相手って、こんなに大変だったっけ?
――――てかっ!
「あ、侑仁っ、あの…!」
「んー?」
そういえば、隣には侑仁がいたんだったっけ! と、一伽が焦って侑仁のほうを向けば、侑仁は物珍しそうに、去っていく美亜たちの後ろ姿を眺めていた。
「あの、あのね、侑仁、あの子はっ…」
「お前より酒癖悪いヤツ、久々に見たわ」
「え…?」
酔っ払った美亜に絡まれて、『遊ぼ』とか言われて(それがそういう意味なのかは、侑仁だって分からないわけがあるまい)、キスまで迫られたのに、侑仁の感想はそれ…?
一伽は、侑仁に誤解されたんじゃないか…て、すごく焦ったのに。
(…てか、そんなの別に気になんないくらいの友だちでしかない、てことか……俺なんて)
どうせ侑仁の中で一伽は、美亜とのことを勘違いしたり、嫉妬したりなんて、そんな対象にまで達していないレベルの存在なのだ。
「あの、侑仁…」
「ぅん? つか、いーの? 追っ掛けなくて」
「……」
もう姿の見えなくなった、美亜たちの去って行ったほうを指差す侑仁に、一伽は口を閉ざした。
バカ。何でそんなデリカシーのないこと言うの。
「一伽?」
「…侑仁とご飯行くのに、何で美亜ちゃんのこと、追っ掛けないといけないわけ?」
思ったよりもずっと拗ねたような声が出て、一伽は自分で自分が嫌になる。
こんなことで自分が機嫌を悪くしてどうするのだ。
「いや、だって……女の子大好きなのはお前だろ? 俺なんかよか、そっちのがいいじゃねぇの?」
「そんなことないもんっ…」
「ふぅん?」
一伽なりに精いっぱい否定したのに、侑仁は全然関心なさそうな声で返事をして、「じゃあ行くか」と歩き出した。
確かに一伽は女の子が大好きで、いっぱい遊んできて、侑仁もそのことを知っているから、侑仁がそんなこと言うのも分かるけれど、一伽はもう、そういうことはやめたのに。
(でも、そのこと侑仁に言ったわけじゃないし…女の子好きなままだと思われたって、仕方ないか…)
実は侑仁のために、密かにいろいろ変わろうとしているのだが、一伽の今までが今までなだけに、侑仁に伝わるまでには相当時間が掛かりそうだった。
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「とりあえず、今日のところはアタシが連れて帰ります。また何かあったら、美亜の相手、してやってください。いっちゃんさん? ホラ美亜、行くよ~」
「ん~…」
一伽に会ってテンションを上げ切ったらしい美亜は、電池が切れたように大人しくなって、友だちに肩を借りている。
酔っ払って力の抜けている子を連れて行くのは結構大変なんだけど、この子が何とかしてくれるみたいだから、申し訳ないけれど、お任せしよう。
「それじゃあ、どうも~」
「あ、うん…」
「美亜、いっちゃんさんにバイバイしなくていいの?」
「にゃぁ~…」
爆弾を落とすだけ落として、美亜は力尽きたのか、一伽のほうを見るわけでもなく、手を振るような仕草をしただけで、友だちに連れられて行ってしまった。
「はぁ~…」
嵐が去って、一伽は大きく溜め息をついた。
酔っ払った美亜の相手って、こんなに大変だったっけ?
――――てかっ!
「あ、侑仁っ、あの…!」
「んー?」
そういえば、隣には侑仁がいたんだったっけ! と、一伽が焦って侑仁のほうを向けば、侑仁は物珍しそうに、去っていく美亜たちの後ろ姿を眺めていた。
「あの、あのね、侑仁、あの子はっ…」
「お前より酒癖悪いヤツ、久々に見たわ」
「え…?」
酔っ払った美亜に絡まれて、『遊ぼ』とか言われて(それがそういう意味なのかは、侑仁だって分からないわけがあるまい)、キスまで迫られたのに、侑仁の感想はそれ…?
一伽は、侑仁に誤解されたんじゃないか…て、すごく焦ったのに。
(…てか、そんなの別に気になんないくらいの友だちでしかない、てことか……俺なんて)
どうせ侑仁の中で一伽は、美亜とのことを勘違いしたり、嫉妬したりなんて、そんな対象にまで達していないレベルの存在なのだ。
「あの、侑仁…」
「ぅん? つか、いーの? 追っ掛けなくて」
「……」
もう姿の見えなくなった、美亜たちの去って行ったほうを指差す侑仁に、一伽は口を閉ざした。
バカ。何でそんなデリカシーのないこと言うの。
「一伽?」
「…侑仁とご飯行くのに、何で美亜ちゃんのこと、追っ掛けないといけないわけ?」
思ったよりもずっと拗ねたような声が出て、一伽は自分で自分が嫌になる。
こんなことで自分が機嫌を悪くしてどうするのだ。
「いや、だって……女の子大好きなのはお前だろ? 俺なんかよか、そっちのがいいじゃねぇの?」
「そんなことないもんっ…」
「ふぅん?」
一伽なりに精いっぱい否定したのに、侑仁は全然関心なさそうな声で返事をして、「じゃあ行くか」と歩き出した。
確かに一伽は女の子が大好きで、いっぱい遊んできて、侑仁もそのことを知っているから、侑仁がそんなこと言うのも分かるけれど、一伽はもう、そういうことはやめたのに。
(でも、そのこと侑仁に言ったわけじゃないし…女の子好きなままだと思われたって、仕方ないか…)
実は侑仁のために、密かにいろいろ変わろうとしているのだが、一伽の今までが今までなだけに、侑仁に伝わるまでには相当時間が掛かりそうだった。
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