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暴君王子のおっしゃることには! (153)
2012.10.01 Mon
だから、雪乃と航平のおかげで、こうやって、ちゃんと家に帰るという元の生活に戻るきっかけが出来たのは、正直ホッとしていた。
このまま一生、こんな自堕落な生活を送るなんて無理がある…と、心のどこかでは思っていたから。
(…帰ったら、ユキちゃんに謝ろう)
一伽を心配して航平に電話をしたこと、雪乃は内緒にしてほしかったらしいから、一伽も航平に話を合わせてもらったし、そこは知らない振りで帰ろう。
それにしても、一伽に内緒にしたかった理由が、余計な心配をしたことを知られると一伽が怒るからだなんて――――そんなことじゃ怒んないのに。いや、何かイライラしていたから、やっぱり怒っちゃったかな。
「……ただいまー…」
たとえ雪乃と同居しているのだとしても、ここが自分の家なのだから、何を遠慮することなく入ればいいのだが、やっぱり何となく気まずくて、一伽はコソコソとドアを開けた。
「ユキちゃん、ただいまー…………て、何してんの?」
「あ、いっちゃんお帰りー」
雪乃の反応がないことに、柄にもなくビクビクしながら一伽が進んで行ったら、雪乃はキッチンで一生懸命何かに取り組んでいた。
キッチンの全然広くないカウンタースペースに、何やら飲み掛けらしい液体が少しずつ入ったグラスがいくつか置かれていて、その周りには切った果物が散らばっている。
「何々? ユキちゃん、これなぁに?」
帰ったらまず雪乃に謝ろう、と思っていたのに、雪乃のやっていることに興味津々で、そんなことすっかり忘れてしまった一伽は、雪乃の側に駆け寄って、その手元を覗き込んだ。
雪乃は雪乃で、別に怒っているわけでもなく、久々にこんな時間に帰って来た一伽に何か言うでもなく、ニコニコしている。
「何作ってんの? ジュース?」
「新しいスカッシュの研究」
「スカッシュ? レモンスカッシュのスカッシュ? 研究してんの? ユキちゃんが??」
レモンスカッシュといえばドリンクのメニューなわけで、それと研究という言葉が、一伽の中ではいまいち結び付かず、首を傾げる。しかも、新しいスカッシュ、て。
「いろんな果物でね、作ってんの」
「スカッシュを? レモンだけじゃなくて? それっておいしいの?」
「だから研究してるんだってば。意外とね、紅茶で作るとおいしいの」
「…こんだけ果物切っといて、紅茶?」
最初に、いろいろな果物でスカッシュを作っている、と言っておきながら、紅茶のを勧めてくるあたり…。
「でもおいしいから、いっちゃん、ちょっと飲んでみて?」
「…ん」
雪乃に勧められるがまま、一伽はグラスの1つに口を付ける。
すごくジロジロ見られているから、ちょっと恥ずかしいんだけど…。
「おいし」
「でしょでしょー?」
一伽が素直に感想を言うと、雪乃はすぐに得意そうな顔になった。
そういえばcafe OKAERIでは時々、新しいメニューの打ち合わせがあるし、前に光宏からも、新しいドリンクが出たからオーダーしてよ、とか言われたことがあったっけ。
一伽は大体コーラが基本だけれど、雪乃たちがこんなにがんばって作り出しているのなら、今度は違うの頼んでみようかな。
「ねぇねぇユキちゃん、紅茶も自分で淹れたヤツ?」
「そう! 俺ね、結構ね、紅茶マスターだよ!」
「言ってろよ」
「ホントだよ! コーヒーはまだそんなじゃないけど、紅茶とハーブティーなら任せて!」
一伽がからかっても返事に困らないのは、それだけ自信が付いたということだろう。
現に雪乃は、店でハーブティーをお客様に提供しているようだから、その腕前も、単に口先だけのものではないに違いない。
back next
このまま一生、こんな自堕落な生活を送るなんて無理がある…と、心のどこかでは思っていたから。
(…帰ったら、ユキちゃんに謝ろう)
一伽を心配して航平に電話をしたこと、雪乃は内緒にしてほしかったらしいから、一伽も航平に話を合わせてもらったし、そこは知らない振りで帰ろう。
それにしても、一伽に内緒にしたかった理由が、余計な心配をしたことを知られると一伽が怒るからだなんて――――そんなことじゃ怒んないのに。いや、何かイライラしていたから、やっぱり怒っちゃったかな。
「……ただいまー…」
たとえ雪乃と同居しているのだとしても、ここが自分の家なのだから、何を遠慮することなく入ればいいのだが、やっぱり何となく気まずくて、一伽はコソコソとドアを開けた。
「ユキちゃん、ただいまー…………て、何してんの?」
「あ、いっちゃんお帰りー」
雪乃の反応がないことに、柄にもなくビクビクしながら一伽が進んで行ったら、雪乃はキッチンで一生懸命何かに取り組んでいた。
キッチンの全然広くないカウンタースペースに、何やら飲み掛けらしい液体が少しずつ入ったグラスがいくつか置かれていて、その周りには切った果物が散らばっている。
「何々? ユキちゃん、これなぁに?」
帰ったらまず雪乃に謝ろう、と思っていたのに、雪乃のやっていることに興味津々で、そんなことすっかり忘れてしまった一伽は、雪乃の側に駆け寄って、その手元を覗き込んだ。
雪乃は雪乃で、別に怒っているわけでもなく、久々にこんな時間に帰って来た一伽に何か言うでもなく、ニコニコしている。
「何作ってんの? ジュース?」
「新しいスカッシュの研究」
「スカッシュ? レモンスカッシュのスカッシュ? 研究してんの? ユキちゃんが??」
レモンスカッシュといえばドリンクのメニューなわけで、それと研究という言葉が、一伽の中ではいまいち結び付かず、首を傾げる。しかも、新しいスカッシュ、て。
「いろんな果物でね、作ってんの」
「スカッシュを? レモンだけじゃなくて? それっておいしいの?」
「だから研究してるんだってば。意外とね、紅茶で作るとおいしいの」
「…こんだけ果物切っといて、紅茶?」
最初に、いろいろな果物でスカッシュを作っている、と言っておきながら、紅茶のを勧めてくるあたり…。
「でもおいしいから、いっちゃん、ちょっと飲んでみて?」
「…ん」
雪乃に勧められるがまま、一伽はグラスの1つに口を付ける。
すごくジロジロ見られているから、ちょっと恥ずかしいんだけど…。
「おいし」
「でしょでしょー?」
一伽が素直に感想を言うと、雪乃はすぐに得意そうな顔になった。
そういえばcafe OKAERIでは時々、新しいメニューの打ち合わせがあるし、前に光宏からも、新しいドリンクが出たからオーダーしてよ、とか言われたことがあったっけ。
一伽は大体コーラが基本だけれど、雪乃たちがこんなにがんばって作り出しているのなら、今度は違うの頼んでみようかな。
「ねぇねぇユキちゃん、紅茶も自分で淹れたヤツ?」
「そう! 俺ね、結構ね、紅茶マスターだよ!」
「言ってろよ」
「ホントだよ! コーヒーはまだそんなじゃないけど、紅茶とハーブティーなら任せて!」
一伽がからかっても返事に困らないのは、それだけ自信が付いたということだろう。
現に雪乃は、店でハーブティーをお客様に提供しているようだから、その腕前も、単に口先だけのものではないに違いない。
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ちよ ⇒
紅茶マスター・ユキちゃんには癒される~ε=(^◇^;
第一声が、今までどうしていたの!とか、心配したんだから~!とか、
やいのやいの言われるんじゃなくって、いつも通りに
「いっちゃん、お帰り~」って言ってくれるなんて、ありがたいね。
ちょっと謝るタイミング逃しちゃったかもしれないけど、
心配かけたユキちゃんには一言、お伝えしようね。
第一声が、今までどうしていたの!とか、心配したんだから~!とか、
やいのやいの言われるんじゃなくって、いつも通りに
「いっちゃん、お帰り~」って言ってくれるなんて、ありがたいね。
ちょっと謝るタイミング逃しちゃったかもしれないけど、
心配かけたユキちゃんには一言、お伝えしようね。
- |2012.10.01
- |Mon
- |08:27
- |URL
- |EDIT|
けいったん ⇒ No title
ユキちゃんに 何て誤っていいか分からないまま 帰ってみれば?
いっちゃん、ビクビクしてたのに ちょっと 拍子抜け~(笑)
でも
これが、ユキちゃんだもんね(*^-')b
ちょっと タイミングがズレたけど ちゃんと謝ろうね、いっちゃん♪
m(o´・ω・`o)mペコリン...byebye☆
いっちゃん、ビクビクしてたのに ちょっと 拍子抜け~(笑)
でも
これが、ユキちゃんだもんね(*^-')b
ちょっと タイミングがズレたけど ちゃんと謝ろうね、いっちゃん♪
m(o´・ω・`o)mペコリン...byebye☆
- |2012.10.01
- |Mon
- |10:57
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
紅茶マスター・ユキちゃん登場です!
自分で「マスター」て言っちゃってます。
でもきっと、みっくんにはまだまだ敵わないはず(笑)
> 第一声が、今までどうしていたの!とか、心配したんだから~!とか、
> やいのやいの言われるんじゃなくって、いつも通りに
> 「いっちゃん、お帰り~」って言ってくれるなんて、ありがたいね。
これがユキちゃんのいいところですよね。
本当はすごくすごく心配しているんだけれど、いっちゃんの性格も分かっているので、余計なことは言いません。
自分もこんな人になりたいと思いますが、これがなかなか…(^_^;)
> ちょっと謝るタイミング逃しちゃったかもしれないけど、
> 心配かけたユキちゃんには一言、お伝えしようね。
反省中のいっちゃん。
言葉にしないと伝わりませんからね~。
ちゃんとお伝えできますでしょうか!?
コメントありがとうございました!
自分で「マスター」て言っちゃってます。
でもきっと、みっくんにはまだまだ敵わないはず(笑)
> 第一声が、今までどうしていたの!とか、心配したんだから~!とか、
> やいのやいの言われるんじゃなくって、いつも通りに
> 「いっちゃん、お帰り~」って言ってくれるなんて、ありがたいね。
これがユキちゃんのいいところですよね。
本当はすごくすごく心配しているんだけれど、いっちゃんの性格も分かっているので、余計なことは言いません。
自分もこんな人になりたいと思いますが、これがなかなか…(^_^;)
> ちょっと謝るタイミング逃しちゃったかもしれないけど、
> 心配かけたユキちゃんには一言、お伝えしようね。
反省中のいっちゃん。
言葉にしないと伝わりませんからね~。
ちゃんとお伝えできますでしょうか!?
コメントありがとうございました!
- |2012.10.01
- |Mon
- |22:31
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
傍若無人ないっちゃんですが、ユキちゃんは大切な人なので、嫌われたくないし、傷つけたくもないし、本当は心配もかけたくないと思ってるんですが。。。
なかなか思いと行動が一致しておりません(笑)
でも、ユキちゃんらしさに触れて、ちょっとは素直になれるかな??
> ちょっと タイミングがズレたけど ちゃんと謝ろうね、いっちゃん♪
> m(o´・ω・`o)mペコリン...byebye☆
「ありがとう」と「ごめんなさい」が苦手ないっちゃんですが、やっぱり言葉にしないとですよね!
それにしても、相変わらず、顔文字がかわゆす…!
こんな顔で謝られたら、私、すぐに許しちゃいます!!
コメントありがとうございました!
なかなか思いと行動が一致しておりません(笑)
でも、ユキちゃんらしさに触れて、ちょっとは素直になれるかな??
> ちょっと タイミングがズレたけど ちゃんと謝ろうね、いっちゃん♪
> m(o´・ω・`o)mペコリン...byebye☆
「ありがとう」と「ごめんなさい」が苦手ないっちゃんですが、やっぱり言葉にしないとですよね!
それにしても、相変わらず、顔文字がかわゆす…!
こんな顔で謝られたら、私、すぐに許しちゃいます!!
コメントありがとうございました!
- |2012.10.01
- |Mon
- |22:35
- |URL
- |EDIT|