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暴君王子のおっしゃることには! (143)
2012.09.21 Fri
「何で急にそんなこと聞くの?」
別に追及したかったわけでもなく、ただ何となく聞いただけだったのだが、リコからさらに聞き返されて、一伽は首を傾げながらリコを見た。
まさかリコは、誰にも自分が吸血鬼であることを言っていないのだろうか。
「…怒った?」
「怒んないけど。そんなの聞かれたことなかったから、何でかと思って」
「こないだニナちゃんたちに吸血鬼だって言ったら、初めて会った、て言ってたから。リコちゃん吸血鬼なら、初めてじゃないじゃん? だからリコちゃん、言ってないのかなぁ、て思って」
「言ってないよ。つかむしろ、一伽くん、ニナたちに自分が吸血鬼だって言ったんだ?」
「言った」
普段、吸血鬼であることを誰彼なく言い回っているわけではないが、聞かれたら『そうだ』と答えるし、この間のときは、まぁ打ち明けざるを得なかったから。
「ニナ、何て言った? それ聞いて」
「えーっと…、『すご~い! アタシ、吸血鬼に会うの初めて!』…みたいな?」
「ふはっ」
一伽がニナの真似をして言ったら、リコが思い切り吹き出した。
そんなに笑わせるつもりじゃなかったんだけど。
「リコちゃんは、何で言わないの? 自分が吸血鬼だって」
「ニナに?」
「ニナちゃんとか、エリーちゃん」
「2人ともそんなに興味ないでしょ、アタシになんか」
「そうかな?」
「うん」
リコは、自分が吸血鬼だから、ニナやエリーたちとちょっと距離を置こうとしているのかな、と一伽は思ったのだけれど、どうやらそうでもないらしい。
もしかしたらリコは、人間の友だちに対してみんなそう思っているから、言わないでいるんだろうか。
そんなに興味を持たれていない、と自分で思ってしまうなんて、何か少し……寂しい。
「ま、今回のでニナにもエリーにも相当嫌われちゃったから、もう一生言うことないよね」
「…ふぅん」
嫌われちゃったの、謝っても許してもらえないのかな。
女の子は怖い…て、一伽も最近学習しているから、やっぱり難しいのかもしれない、と思った。
「…一伽くん、ありがとね」
「へ? 何が?」
一伽がほわほわとしていたら、隣のリコがスクッと立ち上がった。
突然の謝辞に、キョトンとリコを見上げる。
「散々ヒドイこと言ったのに、優しくしてくれて」
「俺、女の子にはみんな優しいんだよ。そんな…お礼言われるようなことじゃない」
「でも、そういうこと言う男も、普通は、アタシみたいのには優しくなんないよ、一伽くんみたいに。…だから、ありがと」
「…」
こんなに素直になれるのに、もったいないな…と思ったけれど、一伽はそれは言わなかった。
一伽が言わなくたって、きっとすぐに、自分で気が付くだろうから。
「じゃ、アタシこれで帰るね」
「あ、うん。何か、話長くなっちゃってゴメン。あっ、送る…」
「大丈夫よ」
一伽の申し出を断ったリコは、ニコッと笑った後、コウモリに姿を変えた。
やはり間違いなく、彼女は吸血鬼だったのだ。
「じゃ、一伽くん。そんなに応援はしないけど、がんばるならがんばってね」
「なっ…」
「じゃーねー」
一伽が絶句している間に、リコは飛び立っていった。
…そのくらい言うくらいじゃないと、やっぱりリコじゃないな、と思いながら、一伽はリコの飛んで行った空を見つめていた。
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別に追及したかったわけでもなく、ただ何となく聞いただけだったのだが、リコからさらに聞き返されて、一伽は首を傾げながらリコを見た。
まさかリコは、誰にも自分が吸血鬼であることを言っていないのだろうか。
「…怒った?」
「怒んないけど。そんなの聞かれたことなかったから、何でかと思って」
「こないだニナちゃんたちに吸血鬼だって言ったら、初めて会った、て言ってたから。リコちゃん吸血鬼なら、初めてじゃないじゃん? だからリコちゃん、言ってないのかなぁ、て思って」
「言ってないよ。つかむしろ、一伽くん、ニナたちに自分が吸血鬼だって言ったんだ?」
「言った」
普段、吸血鬼であることを誰彼なく言い回っているわけではないが、聞かれたら『そうだ』と答えるし、この間のときは、まぁ打ち明けざるを得なかったから。
「ニナ、何て言った? それ聞いて」
「えーっと…、『すご~い! アタシ、吸血鬼に会うの初めて!』…みたいな?」
「ふはっ」
一伽がニナの真似をして言ったら、リコが思い切り吹き出した。
そんなに笑わせるつもりじゃなかったんだけど。
「リコちゃんは、何で言わないの? 自分が吸血鬼だって」
「ニナに?」
「ニナちゃんとか、エリーちゃん」
「2人ともそんなに興味ないでしょ、アタシになんか」
「そうかな?」
「うん」
リコは、自分が吸血鬼だから、ニナやエリーたちとちょっと距離を置こうとしているのかな、と一伽は思ったのだけれど、どうやらそうでもないらしい。
もしかしたらリコは、人間の友だちに対してみんなそう思っているから、言わないでいるんだろうか。
そんなに興味を持たれていない、と自分で思ってしまうなんて、何か少し……寂しい。
「ま、今回のでニナにもエリーにも相当嫌われちゃったから、もう一生言うことないよね」
「…ふぅん」
嫌われちゃったの、謝っても許してもらえないのかな。
女の子は怖い…て、一伽も最近学習しているから、やっぱり難しいのかもしれない、と思った。
「…一伽くん、ありがとね」
「へ? 何が?」
一伽がほわほわとしていたら、隣のリコがスクッと立ち上がった。
突然の謝辞に、キョトンとリコを見上げる。
「散々ヒドイこと言ったのに、優しくしてくれて」
「俺、女の子にはみんな優しいんだよ。そんな…お礼言われるようなことじゃない」
「でも、そういうこと言う男も、普通は、アタシみたいのには優しくなんないよ、一伽くんみたいに。…だから、ありがと」
「…」
こんなに素直になれるのに、もったいないな…と思ったけれど、一伽はそれは言わなかった。
一伽が言わなくたって、きっとすぐに、自分で気が付くだろうから。
「じゃ、アタシこれで帰るね」
「あ、うん。何か、話長くなっちゃってゴメン。あっ、送る…」
「大丈夫よ」
一伽の申し出を断ったリコは、ニコッと笑った後、コウモリに姿を変えた。
やはり間違いなく、彼女は吸血鬼だったのだ。
「じゃ、一伽くん。そんなに応援はしないけど、がんばるならがんばってね」
「なっ…」
「じゃーねー」
一伽が絶句している間に、リコは飛び立っていった。
…そのくらい言うくらいじゃないと、やっぱりリコじゃないな、と思いながら、一伽はリコの飛んで行った空を見つめていた。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
同族のいっちゃんに 全てを吐きだして 少しは スッキリした様ですね、リコは。
人との距離に一線を画しているリコも 本当は いっちゃんみたいに なりたいのかも!
まぁ いっちゃんは、距離間無しだけどね~(笑)
リコとの話しで リコの印象も 侑仁との事も誤解が解けた今
いっちゃん、もう これは頑張るしかないでしょ!
ガンバリ━━(`・д・´)ノ━━マショウ!......byebye☆
人との距離に一線を画しているリコも 本当は いっちゃんみたいに なりたいのかも!
まぁ いっちゃんは、距離間無しだけどね~(笑)
リコとの話しで リコの印象も 侑仁との事も誤解が解けた今
いっちゃん、もう これは頑張るしかないでしょ!
ガンバリ━━(`・д・´)ノ━━マショウ!......byebye☆
- |2012.09.21
- |Fri
- |09:12
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
やっぱりどうしても、女の子を最後まで悪者で通せない私でした(笑)
リコちゃんは、本当に究極嫌な性格ではないんだけれど、やっぱり人からは『いい子』には思われない性格なんですよね。
いっちゃんという、何でも打ち明けられる存在がいたので、よかったかもです。
> リコとの話しで リコの印象も 侑仁との事も誤解が解けた今
> いっちゃん、もう これは頑張るしかないでしょ!
ですね。
ですよねっ!
でもいっちゃん、どういう方向にがんばるつもりか…(^_^;)
けいったんさんの応援、届きますように(*^_^*)
コメントありがとうございました!
リコちゃんは、本当に究極嫌な性格ではないんだけれど、やっぱり人からは『いい子』には思われない性格なんですよね。
いっちゃんという、何でも打ち明けられる存在がいたので、よかったかもです。
> リコとの話しで リコの印象も 侑仁との事も誤解が解けた今
> いっちゃん、もう これは頑張るしかないでしょ!
ですね。
ですよねっ!
でもいっちゃん、どういう方向にがんばるつもりか…(^_^;)
けいったんさんの応援、届きますように(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.09.21
- |Fri
- |21:06
- |URL
- |EDIT|