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暴君王子のおっしゃることには! (97)
2012.08.06 Mon
一伽 と 志信
この状況は一体何なのか……志信はどんなに考えても理解することが出来なかった。
閉店後、いつも限りなくだらけた感じで後片付けをしては、店長である航平に突っ込まれまくっている一伽が、今日は黙々とモップ掛けをし、普段の半分くらいの時間で終わらせた。
そんな一伽に航平も志信も呆然となったのだが、まぁそれが本来のあるまじき姿であるから、余計なことは言わず、一伽を見守った。
そこまではいい。
何に邪魔されることなくオンラインの仕事を終えた志信が、店を出て駅に向かって歩き出したら、なぜかその後を一伽が付いて来たのだ。
一伽の家がどこにあるかは知らないが、もしかして帰る方向が同じなんだろうか…と思って振り返ったら、一伽が当然の表情で、『今日、志信んち行くから』とのたまったのである。
行ってもいい? ではない。
行くから――――勝手に決め付けられた。
確かに今夜は特に用事もなく、まっすぐ帰るつもりだったからいいけれど、以前一伽は、志信の家に行くのは絶対に嫌だと言っていたくせに、一体何の風の吹き回しだ。
ちっともまったくいい予感がしない――――そう思った志信の直感は、1ミリたりとも外れていなかった。
途中のコンビニで、ビールの6本パックとお菓子とおつまみみたいのを買い込んだ一伽は、志信の家に来ると、一直線にエアコンのもとへと駆け寄って、勝手にスイッチを入れ、
「んぁ~~~~涼しい~~~」
…今に至る。
(何でこんなことに…)
もう何度目になるか、志信は考えてみるが、やはりどうしても理解できない。
しかしその元凶である一伽は、エアコンの冷気を体いっぱいに浴び、汗が引いたところで、「わーい」とソファに飛び乗って寛ぎまくっているから、まったく、考えるのを放棄したくなる。
とにかく、どうして標的を志信にしたかは知らないが、一伽の今夜の憩いの場は志信家に決定したようだ。
「てかさぁ、お前、オタクのくせに、アレねぇのな。あの、フィギュアとか」
「(オタクのくせに、て…)あるよ、向こうの部屋」
「あんの!? フィギュア!? 美少女的な!? 萌え~てすんの!? 見たい!!」
「……」
何となく偏見に満ちた一伽の言葉に、志信は口を噤む。
絶対に興味なんかないくせに。
「見てもいいけど、壊したら弁償してね」
「、」
寝転がった状態から、勢いを付けて起き上がろうとしてた一伽は、志信の一言に、中途半端な体勢でピタリと動きを止め、ゆっくりと志信のほうに視線を向けた。
そんな一伽に気付かぬふりで、志信は缶ビールに口を付けた。先ほど『お前も飲め』と、一伽が無理やり渡したものだ。
「ケッ、別に見たくねぇよ、そんなもん!」
むすぅ、と分かりやすく拗ねた一伽は、負け惜しみみたいなことを言って、ソファに体を戻した。
物の扱い方が雑なほうだということを、一伽自身、分かっているらしい。
「つかさぁ、お前、今、向こうの部屋っつったよな?」
「言ったけど? 何?」
買って来たお菓子をバリバリと頬張りながら、一伽は嫌そうに志信を見た(ソファに、お菓子のクズが零れてるんですけど…)。
「お前一人暮らしだろ?」
「そうだけど」
「何でこんなトコ住めるわけ? 俺ら、おんなじトコで仕事してるよな? おんなじ給料貰ってるよな? なのに何で? お前、航平くんに何してやってんの?」
「…何もしてないけど」
とんでもない質問をぶつける一伽に、志信は眉を寄せる。
何してやってる…て、一体どういう意味で言っているんだろうか、一伽は。
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この状況は一体何なのか……志信はどんなに考えても理解することが出来なかった。
閉店後、いつも限りなくだらけた感じで後片付けをしては、店長である航平に突っ込まれまくっている一伽が、今日は黙々とモップ掛けをし、普段の半分くらいの時間で終わらせた。
そんな一伽に航平も志信も呆然となったのだが、まぁそれが本来のあるまじき姿であるから、余計なことは言わず、一伽を見守った。
そこまではいい。
何に邪魔されることなくオンラインの仕事を終えた志信が、店を出て駅に向かって歩き出したら、なぜかその後を一伽が付いて来たのだ。
一伽の家がどこにあるかは知らないが、もしかして帰る方向が同じなんだろうか…と思って振り返ったら、一伽が当然の表情で、『今日、志信んち行くから』とのたまったのである。
行ってもいい? ではない。
行くから――――勝手に決め付けられた。
確かに今夜は特に用事もなく、まっすぐ帰るつもりだったからいいけれど、以前一伽は、志信の家に行くのは絶対に嫌だと言っていたくせに、一体何の風の吹き回しだ。
ちっともまったくいい予感がしない――――そう思った志信の直感は、1ミリたりとも外れていなかった。
途中のコンビニで、ビールの6本パックとお菓子とおつまみみたいのを買い込んだ一伽は、志信の家に来ると、一直線にエアコンのもとへと駆け寄って、勝手にスイッチを入れ、
「んぁ~~~~涼しい~~~」
…今に至る。
(何でこんなことに…)
もう何度目になるか、志信は考えてみるが、やはりどうしても理解できない。
しかしその元凶である一伽は、エアコンの冷気を体いっぱいに浴び、汗が引いたところで、「わーい」とソファに飛び乗って寛ぎまくっているから、まったく、考えるのを放棄したくなる。
とにかく、どうして標的を志信にしたかは知らないが、一伽の今夜の憩いの場は志信家に決定したようだ。
「てかさぁ、お前、オタクのくせに、アレねぇのな。あの、フィギュアとか」
「(オタクのくせに、て…)あるよ、向こうの部屋」
「あんの!? フィギュア!? 美少女的な!? 萌え~てすんの!? 見たい!!」
「……」
何となく偏見に満ちた一伽の言葉に、志信は口を噤む。
絶対に興味なんかないくせに。
「見てもいいけど、壊したら弁償してね」
「、」
寝転がった状態から、勢いを付けて起き上がろうとしてた一伽は、志信の一言に、中途半端な体勢でピタリと動きを止め、ゆっくりと志信のほうに視線を向けた。
そんな一伽に気付かぬふりで、志信は缶ビールに口を付けた。先ほど『お前も飲め』と、一伽が無理やり渡したものだ。
「ケッ、別に見たくねぇよ、そんなもん!」
むすぅ、と分かりやすく拗ねた一伽は、負け惜しみみたいなことを言って、ソファに体を戻した。
物の扱い方が雑なほうだということを、一伽自身、分かっているらしい。
「つかさぁ、お前、今、向こうの部屋っつったよな?」
「言ったけど? 何?」
買って来たお菓子をバリバリと頬張りながら、一伽は嫌そうに志信を見た(ソファに、お菓子のクズが零れてるんですけど…)。
「お前一人暮らしだろ?」
「そうだけど」
「何でこんなトコ住めるわけ? 俺ら、おんなじトコで仕事してるよな? おんなじ給料貰ってるよな? なのに何で? お前、航平くんに何してやってんの?」
「…何もしてないけど」
とんでもない質問をぶつける一伽に、志信は眉を寄せる。
何してやってる…て、一体どういう意味で言っているんだろうか、一伽は。
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