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暴君王子のおっしゃることには! (76)
2012.07.16 Mon
「何騒いでんだよ、お前ら」
「あ、」
「やっと戻って来たか、このおパンツ野郎!」
『お前ら』というか、騒いでいたのは一伽1人だったのだが、戻って来た光宏に、大橋ともども怒られてしまった。
しかし一伽はケロッとした顔で、テーブルを叩いた。
「…一伽、お前さ、何でそういうふうにしか言えないの?」
一伽の口の悪さにはもう慣れたものだが、今はいろいろ疲れているし、精神的にも参っているから、出来ればそっとしておいてほしいのに。
「俺様がわざわざ会いに来てやったのに、お前がジンジャーエール祭り繰り広げてるからだろ」
「何だよ、ジンジャーエール祭りって」
知らなかったわけではないが、一伽がcafe OKAERIに来るのも久しぶり、つまり光宏が一伽に会うのも久しぶりだったので、ちょっと忘れ掛けていたが、そういえば一伽って、いちいちこういうキャラだった。
「で、何でわざわざ俺になんか会いに来たんですか、一伽さん」
「フン、そんなの言わなくたって、俺が何の話に来たかくらい、分かってんだろ?」
「……」
一伽は意味ありげに光宏を見遣ると、最後のから揚げを口に放り込んだ。
一伽がここに来るのは、単に腹が減っているからだけでなく、要は光宏に言ってやりたいことがあるからだ。そして今、光宏に言ってやりたいことといったら、やはり雪乃のことだろう。
光宏は一瞬だけ大橋に視線をやった後、再び一伽を見た。
一伽も大橋のことを見たが、大橋は2人のほう…というか、その向こうの店内の様子を…というか、やっぱり2人のほうを見ているような、見ていないような。
一伽と光宏の雰囲気を察して少し離れてみるとか、そんな気遣いを見せる気はさっぱりない。大橋もまた、雪乃とは違って意味で、鈍感な男なのだ。
「…話なら、仕事が終わったら聞くから」
大橋の存在はともかく、ここは、まだお客も多い昼下がりのカフェなのだ。おまけに光宏はそこの店員だから、カウンター越しに、超プライベートのシリアスな話をしている場合ではない。
「仕事終わったら? 夜てこと? まぁ、光宏が晩メシ奢ってくれんなら、夜でもいいけど」
「あのな、食わなくたって平気なヤツに、何で飯奢んなきゃなんねぇんだよ」
「じゃあママに、光宏が1人ジンジャーエール祭りしてた、て言い付けてやるっ」
「バッ…ちょっ!」
とりあえずジンジャーエールを床にぶちまけたうえに、そこに滑って転んでズボンをビショビショにした痕跡は隠滅したが、多くの目撃者は存在するのだ。
一伽はその瞬間は見ていないけれど、光宏がズボンを着替えに行ったことは知っているし、誰か1人でも口を滑らせれば、バレることは必至だ。
「ふふん、何ごちそうになってやろうかなぁ」
ランチを完食したばかりなのに、もう夕食のことを考えてニンマリしている一伽に、光宏は大きな溜め息を零した。
*****
光宏は一伽と違ってクラブとかで遊ぶ人ではないし、まぁ今回は話がメインでご飯は二の次だ(と光宏は思っている)から、一伽が行きたがった派手な店はやめて、無難に個室のあるお店に入った。
「さぁ食うぞ~!」
「……」
もともと人間ような食事をしなくたって、血さえ吸っていれば生きていける吸血鬼なのに、一伽の前には、本当に1人で食べ切れるのか…? と疑いたくなる量の料理が並んだ。
それに対して、それほど食欲旺盛なほうではない光宏の料理は少なめだ。
確か(一伽が勝手に決めた)話では、光宏が夕食を奢ることになっているわけで、言っても無駄だとは思うが、奢ってもらうくせに、遠慮とか知らないんですか。
「しょうがねぇじゃん、俺、腹減ってんの!」
「腹減って、て…、そんなこと言ったって、お前の空腹はこんなんじゃ満たされないだろ?」
人間の食べ物を食べたところで体に害はないし、腹も満たされるが、根本的な空腹感は吸血でしか満たされないくせに。
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「あ、」
「やっと戻って来たか、このおパンツ野郎!」
『お前ら』というか、騒いでいたのは一伽1人だったのだが、戻って来た光宏に、大橋ともども怒られてしまった。
しかし一伽はケロッとした顔で、テーブルを叩いた。
「…一伽、お前さ、何でそういうふうにしか言えないの?」
一伽の口の悪さにはもう慣れたものだが、今はいろいろ疲れているし、精神的にも参っているから、出来ればそっとしておいてほしいのに。
「俺様がわざわざ会いに来てやったのに、お前がジンジャーエール祭り繰り広げてるからだろ」
「何だよ、ジンジャーエール祭りって」
知らなかったわけではないが、一伽がcafe OKAERIに来るのも久しぶり、つまり光宏が一伽に会うのも久しぶりだったので、ちょっと忘れ掛けていたが、そういえば一伽って、いちいちこういうキャラだった。
「で、何でわざわざ俺になんか会いに来たんですか、一伽さん」
「フン、そんなの言わなくたって、俺が何の話に来たかくらい、分かってんだろ?」
「……」
一伽は意味ありげに光宏を見遣ると、最後のから揚げを口に放り込んだ。
一伽がここに来るのは、単に腹が減っているからだけでなく、要は光宏に言ってやりたいことがあるからだ。そして今、光宏に言ってやりたいことといったら、やはり雪乃のことだろう。
光宏は一瞬だけ大橋に視線をやった後、再び一伽を見た。
一伽も大橋のことを見たが、大橋は2人のほう…というか、その向こうの店内の様子を…というか、やっぱり2人のほうを見ているような、見ていないような。
一伽と光宏の雰囲気を察して少し離れてみるとか、そんな気遣いを見せる気はさっぱりない。大橋もまた、雪乃とは違って意味で、鈍感な男なのだ。
「…話なら、仕事が終わったら聞くから」
大橋の存在はともかく、ここは、まだお客も多い昼下がりのカフェなのだ。おまけに光宏はそこの店員だから、カウンター越しに、超プライベートのシリアスな話をしている場合ではない。
「仕事終わったら? 夜てこと? まぁ、光宏が晩メシ奢ってくれんなら、夜でもいいけど」
「あのな、食わなくたって平気なヤツに、何で飯奢んなきゃなんねぇんだよ」
「じゃあママに、光宏が1人ジンジャーエール祭りしてた、て言い付けてやるっ」
「バッ…ちょっ!」
とりあえずジンジャーエールを床にぶちまけたうえに、そこに滑って転んでズボンをビショビショにした痕跡は隠滅したが、多くの目撃者は存在するのだ。
一伽はその瞬間は見ていないけれど、光宏がズボンを着替えに行ったことは知っているし、誰か1人でも口を滑らせれば、バレることは必至だ。
「ふふん、何ごちそうになってやろうかなぁ」
ランチを完食したばかりなのに、もう夕食のことを考えてニンマリしている一伽に、光宏は大きな溜め息を零した。
*****
光宏は一伽と違ってクラブとかで遊ぶ人ではないし、まぁ今回は話がメインでご飯は二の次だ(と光宏は思っている)から、一伽が行きたがった派手な店はやめて、無難に個室のあるお店に入った。
「さぁ食うぞ~!」
「……」
もともと人間ような食事をしなくたって、血さえ吸っていれば生きていける吸血鬼なのに、一伽の前には、本当に1人で食べ切れるのか…? と疑いたくなる量の料理が並んだ。
それに対して、それほど食欲旺盛なほうではない光宏の料理は少なめだ。
確か(一伽が勝手に決めた)話では、光宏が夕食を奢ることになっているわけで、言っても無駄だとは思うが、奢ってもらうくせに、遠慮とか知らないんですか。
「しょうがねぇじゃん、俺、腹減ってんの!」
「腹減って、て…、そんなこと言ったって、お前の空腹はこんなんじゃ満たされないだろ?」
人間の食べ物を食べたところで体に害はないし、腹も満たされるが、根本的な空腹感は吸血でしか満たされないくせに。
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