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暴君王子のおっしゃることには! (64)
2012.07.04 Wed
ならいっそ、迷惑だからもう来ないで、と言い放ってしまえば、楽になれるんだろうか。
今さら雪乃に好きだとも言えないんだから、雪乃からも嫌われてしまえば、この想いだって諦めが付くかもしれない。
…いや、それとも、未だに山下さんに彼女がいるかすら知らないほどなら望みなんてないよと言い包めて、自分のものにしてしまうか? ――――なんて、出来もしない想像が頭の中を巡る。
(俺って、もしかして本気のマゾか…?)
雪乃を突き放すことも奪うことも出来ない自分は、雪乃の一向に進展しない山下さんへの想いが、どんな形であれ決着がつくまで、付き合わされることになるんだろう。
もう本当に、マゾとしか思えない。
――――でも。
「…あのさぁ、ユキ」
「ん?」
俺にそんな自虐趣味なんかない。
雪乃のことは好きだけれど、傷付けたくないとは思っているけれど、自分の想いを抑えつけておくのにも、限界があるんだよ。
「やっぱさぁ、…やっぱ明日からは、今までみたいに毎日来ないほうがいいよ」
「……へ…?」
気付けば、光宏の口からは、そんな言葉が滑り出していた。
「だってユキがウチに来るのは、山下さんに会うのにスーパー行く口実が欲しいだけだろ? なら、そうじゃない日は、別に俺んち来なくてもいいじゃん?」
「そ…だけど…、あ、やっぱ迷惑だった? 俺が来るの…?」
「…そうじゃないよ。ユキがご飯作ってくれるのは嬉しいけど、」
「じゃ…何で?」
雪乃の声が震えている。
驚いた表情の雪乃の顔を見つめながら、しかしもう止められないと思った。
「だって、やっぱおかしいじゃん。ユキが好きなのは山下さんなのに、俺んちに毎日来るなんて。ユキが好きなのは、俺じゃなくて、山下さんだろ?」
「、」
一伽が言っても雪乃が分からなかったことを、光宏は、丁寧にもう1度繰り返す。
鈍感な雪乃には、ちゃんと説明してあげないと、何も伝わらないんだから。
「だから……もう俺んちには、来ないで」
「みっ…」
目の前の雪乃は、まるで信じられないものでも見るかのように、光宏のことを見つめていた。
迷惑ではないと言いながら、『来ないほうがいい』でなくて、『来ないで』と言い直されたことが、ショックなんだろう。そして今一生懸命に、その言葉の真意を探ろうとしているんだろう。
でもきっと雪乃は、1人じゃきっと気付けないんだろうな。
山下さんのことが好きなのに、毎日光宏の家に来ている状況がおかしいことだというのは分かっても、だからって、どうして光宏が『来ないで』と雪乃を拒むのか。
「みっく…何で…?」
「何で、て…」
言ってしまおうか、全部。
この想いを、すべて。
言う、言わない、言う、言わない…………心の中で、まるで花びらを1枚ずつ千切るように、繰り返す。
言うか、言わないか、けれど雪乃は答えを欲しているじゃないか。
もう引き返せない。
「何でって――――ユキのことが好きだからだよ」
そう言った後、呆然としている雪乃に、『だからもう来ないで』と、もう1度伝えた気はする。
雪乃のことが好きだから、雪乃が山下さんの恋人になるための手伝いをするなんて、これ以上は無理だとも言った気はする。
でも、一体いつ、どうやって雪乃がこの部屋を出て行ったのかが分からない。
光宏に、何か言葉を掛けたのだろうか。
ただ気が付けば、すっかり冷めてしまった食べ掛けのグラタンとサラダだけが残された部屋に1人、光宏は取り残されていた。
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今さら雪乃に好きだとも言えないんだから、雪乃からも嫌われてしまえば、この想いだって諦めが付くかもしれない。
…いや、それとも、未だに山下さんに彼女がいるかすら知らないほどなら望みなんてないよと言い包めて、自分のものにしてしまうか? ――――なんて、出来もしない想像が頭の中を巡る。
(俺って、もしかして本気のマゾか…?)
雪乃を突き放すことも奪うことも出来ない自分は、雪乃の一向に進展しない山下さんへの想いが、どんな形であれ決着がつくまで、付き合わされることになるんだろう。
もう本当に、マゾとしか思えない。
――――でも。
「…あのさぁ、ユキ」
「ん?」
俺にそんな自虐趣味なんかない。
雪乃のことは好きだけれど、傷付けたくないとは思っているけれど、自分の想いを抑えつけておくのにも、限界があるんだよ。
「やっぱさぁ、…やっぱ明日からは、今までみたいに毎日来ないほうがいいよ」
「……へ…?」
気付けば、光宏の口からは、そんな言葉が滑り出していた。
「だってユキがウチに来るのは、山下さんに会うのにスーパー行く口実が欲しいだけだろ? なら、そうじゃない日は、別に俺んち来なくてもいいじゃん?」
「そ…だけど…、あ、やっぱ迷惑だった? 俺が来るの…?」
「…そうじゃないよ。ユキがご飯作ってくれるのは嬉しいけど、」
「じゃ…何で?」
雪乃の声が震えている。
驚いた表情の雪乃の顔を見つめながら、しかしもう止められないと思った。
「だって、やっぱおかしいじゃん。ユキが好きなのは山下さんなのに、俺んちに毎日来るなんて。ユキが好きなのは、俺じゃなくて、山下さんだろ?」
「、」
一伽が言っても雪乃が分からなかったことを、光宏は、丁寧にもう1度繰り返す。
鈍感な雪乃には、ちゃんと説明してあげないと、何も伝わらないんだから。
「だから……もう俺んちには、来ないで」
「みっ…」
目の前の雪乃は、まるで信じられないものでも見るかのように、光宏のことを見つめていた。
迷惑ではないと言いながら、『来ないほうがいい』でなくて、『来ないで』と言い直されたことが、ショックなんだろう。そして今一生懸命に、その言葉の真意を探ろうとしているんだろう。
でもきっと雪乃は、1人じゃきっと気付けないんだろうな。
山下さんのことが好きなのに、毎日光宏の家に来ている状況がおかしいことだというのは分かっても、だからって、どうして光宏が『来ないで』と雪乃を拒むのか。
「みっく…何で…?」
「何で、て…」
言ってしまおうか、全部。
この想いを、すべて。
言う、言わない、言う、言わない…………心の中で、まるで花びらを1枚ずつ千切るように、繰り返す。
言うか、言わないか、けれど雪乃は答えを欲しているじゃないか。
もう引き返せない。
「何でって――――ユキのことが好きだからだよ」
そう言った後、呆然としている雪乃に、『だからもう来ないで』と、もう1度伝えた気はする。
雪乃のことが好きだから、雪乃が山下さんの恋人になるための手伝いをするなんて、これ以上は無理だとも言った気はする。
でも、一体いつ、どうやって雪乃がこの部屋を出て行ったのかが分からない。
光宏に、何か言葉を掛けたのだろうか。
ただ気が付けば、すっかり冷めてしまった食べ掛けのグラタンとサラダだけが残された部屋に1人、光宏は取り残されていた。
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ちよ ⇒ みっくん…
とうとう、好きってお伝え出来たみたいだね。
ユキちゃんへの想いを諦めるのに、
奪うことも、嫌われてしまうようなことも出来ないよね。
だって…ユキちゃんへの想いは本物なのだから。
ユキちゃんの 「、」
気になります。
ユキちゃんへの想いを諦めるのに、
奪うことも、嫌われてしまうようなことも出来ないよね。
だって…ユキちゃんへの想いは本物なのだから。
ユキちゃんの 「、」
気になります。
- |2012.07.04
- |Wed
- |08:28
- |URL
- |EDIT|
けいったん ⇒
みっくん、よくぞ このチャンスを生かしたね!
それでこそ 男だぜぇ~(`・ω・´)ノ ァィ、オトコ デスカラ!
ユキちゃんも みっくんに ここまで はっきり言われれば考えるでしょ!?
そう ユキちゃんには、
ユキちゃんにとっての みっくんの存在を考えて貰わないといけないんだもんね~(*´・ω-)b ネッ!
みっくん、悔やむんじゃないって 大丈夫、大丈夫!
ユキちゃんは、いっちゃんよりは 人の心を分かる子だよ~♪
きっと...?、たぶん...?(( ^ω^ ))ェヘヘ♪...byebye☆
それでこそ 男だぜぇ~(`・ω・´)ノ ァィ、オトコ デスカラ!
ユキちゃんも みっくんに ここまで はっきり言われれば考えるでしょ!?
そう ユキちゃんには、
ユキちゃんにとっての みっくんの存在を考えて貰わないといけないんだもんね~(*´・ω-)b ネッ!
みっくん、悔やむんじゃないって 大丈夫、大丈夫!
ユキちゃんは、いっちゃんよりは 人の心を分かる子だよ~♪
きっと...?、たぶん...?(( ^ω^ ))ェヘヘ♪...byebye☆
- |2012.07.04
- |Wed
- |16:54
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
みっくんにしたら「とうとう」ですが、ユキちゃんにしたら、「そんなの全然知らなかった…!!」の世界なんで…(-_-;)
それに、みっくんも言ってはみたものの、ちよさんの仰るとおり、奪うことも出来ず…。
これでユキちゃんがどう変わってくれるかですが……ちゃんと分かっているのか。
書いてる私が、誰よりも不安です(>_<)
コメントありがとうございました!
それに、みっくんも言ってはみたものの、ちよさんの仰るとおり、奪うことも出来ず…。
これでユキちゃんがどう変わってくれるかですが……ちゃんと分かっているのか。
書いてる私が、誰よりも不安です(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2012.07.04
- |Wed
- |22:35
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
何とか自分の想いを伝えるだけは伝えられたみっくんですが…。
ユキちゃんの気持ちは聞けずじまい。
さすがにユキちゃんも何か感じ取ってくれたはずですが……これでちょっとはみっくんの存在、考えてくれるようになったらいいのですが(^_^;)
> ユキちゃんは、いっちゃんよりは 人の心を分かる子だよ~♪
> きっと...?、たぶん...?
…あい。
2行目の、「きっと...?、たぶん...?」がないと、私も素直にお返事できないかも~(笑)
いや、分かる子なんです。気付くのに時間がかかるだけで!!
コメントありがとうございました!
ユキちゃんの気持ちは聞けずじまい。
さすがにユキちゃんも何か感じ取ってくれたはずですが……これでちょっとはみっくんの存在、考えてくれるようになったらいいのですが(^_^;)
> ユキちゃんは、いっちゃんよりは 人の心を分かる子だよ~♪
> きっと...?、たぶん...?
…あい。
2行目の、「きっと...?、たぶん...?」がないと、私も素直にお返事できないかも~(笑)
いや、分かる子なんです。気付くのに時間がかかるだけで!!
コメントありがとうございました!
- |2012.07.04
- |Wed
- |22:40
- |URL
- |EDIT|