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暴君王子のおっしゃることには! (59)
2012.06.29 Fri
雪乃はもしかしたらずっと、ただ山下さんのことを見れるだけで幸せ! という今の状態でいいのかもしれないが、それに付き合わされている光宏が、いい加減、不憫に思えてきたから。
「ねぇ、何いっちゃん、分かんない」
「分かんなくていいよもうっ!」
「何で怒ってんの? みっくんのこと? それとも俺が、山下さんに声掛けらんないから?」
急に怒り出した一伽に、雪乃は困り果ててオロオロするが、一伽は『もう知らない!』と言って、雪乃に背を向けて携帯電話を広げてしまった。
「いっちゃん…」
雪乃はもう、侑仁さんにメールするの? と一伽のそばに行くことも出来ず、雪乃は黙って項垂れた。
侑仁 と 航平
「何だ、このメールは…」
仕事で抱えてた大きな案件が片付いて、久々に友人である航平と飲みに来ていたら、侑仁の携帯電話がメールの着信を告げたのだが、それを見た侑仁は思わず眉を寄せた。
ちなみに今日は、クラブで賑やかに騒ごうという気分ではなかったので、2人で居酒屋で何となく飲んでいたから、向かいに座ってた航平も、その様子に『ん?』と侑仁を見た。
「何だよ。今から仕事来いとか言うんじゃねぇだろうな? そんなの、見なかったことにしとけ?」
「出来ることなら俺もそうしたい…」
何とも微妙な顔をしながら、侑仁が携帯電話の画面を航平に見せ付けてくるから、航平も不審に思いつつ、それを覗き込んだ――――次の瞬間、顔を顰めた。
画面には、特に絵文字が使われているでもない、シンプルな文章が1つ。
『侑仁て彼女いるの?』
本文の上に表示されている差出人の名前は、一伽…。
侑仁はもちろん、この唐突なメールに不思議そうな、不審そうな顔をしているが、航平は何となく事の次第が分かり、何とも言えない表情でビールのジョッキを煽った。
先日、侑仁の血を飲ませてもらうには何か尽くさねば! と思い立った一伽に、彼女がいるのにそんなに押し掛けたらマズいんじゃない? と志信が言ったので、確認のメールをしてきたのだろう。
しかしそれにしても、いくら航平が、侑仁に彼女がいるかどうか知らないと答えたからといって、直接本人にそんなことをメールしてくるなんて……まったく本当に、一伽のやることは計り知れない。
「ねぇ航平、これどーゆう意味?」
「知らねぇよ、そんなの。何で俺に聞くんだよ」
いや、本当は分かるけれど、言えない。
もし言ったら、侑仁は嘘でも絶対に『彼女がいる』と返事をしそうだし、そうなったら、一伽は侑仁を諦めて、航平の家に行くと言って聞かなそうだから。
友だちを裏切るようなことはしたくないが、でも一伽が自分の家に押しかけて来たときのことを想像したら、やっぱり侑仁に犠牲になってもらおう。
「ねぇ航平、何で俺、コイツに彼女いるかどうか聞かれなきゃなんないの?」
「だっ…だから知らねぇって!」
もう1度同じことを問われて、つい声を大きくした航平に、侑仁は、やはり航平は何か知っているのだと確信した。
大体航平は、自分が意外と嘘をつくのが下手くそだということに気が付いていないので、シレッと何でもないふうに答えた気になっているが、侑仁はしっかりと見抜いているのだ。
今だって、気付いてないだろうけど、サッと目逸らしてるからね。バレバレです。
「…ふぅん。ならいいや、直接聞く」
「え、誰に?」
「一伽に決まってんじゃん」
「え、ちょちょちょ、え、」
もうごまかし切れないくらいに動揺している航平を無視して、侑仁は一伽に、先ほどの質問の意味を尋ねるメールを送る。
あの一伽のことだから、侑仁が想像も付かないことを考えていて、こんなことを聞いてきたに違いないが、理由もなくこんな質問に答える義理はない。
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「ねぇ、何いっちゃん、分かんない」
「分かんなくていいよもうっ!」
「何で怒ってんの? みっくんのこと? それとも俺が、山下さんに声掛けらんないから?」
急に怒り出した一伽に、雪乃は困り果ててオロオロするが、一伽は『もう知らない!』と言って、雪乃に背を向けて携帯電話を広げてしまった。
「いっちゃん…」
雪乃はもう、侑仁さんにメールするの? と一伽のそばに行くことも出来ず、雪乃は黙って項垂れた。
侑仁 と 航平
「何だ、このメールは…」
仕事で抱えてた大きな案件が片付いて、久々に友人である航平と飲みに来ていたら、侑仁の携帯電話がメールの着信を告げたのだが、それを見た侑仁は思わず眉を寄せた。
ちなみに今日は、クラブで賑やかに騒ごうという気分ではなかったので、2人で居酒屋で何となく飲んでいたから、向かいに座ってた航平も、その様子に『ん?』と侑仁を見た。
「何だよ。今から仕事来いとか言うんじゃねぇだろうな? そんなの、見なかったことにしとけ?」
「出来ることなら俺もそうしたい…」
何とも微妙な顔をしながら、侑仁が携帯電話の画面を航平に見せ付けてくるから、航平も不審に思いつつ、それを覗き込んだ――――次の瞬間、顔を顰めた。
画面には、特に絵文字が使われているでもない、シンプルな文章が1つ。
『侑仁て彼女いるの?』
本文の上に表示されている差出人の名前は、一伽…。
侑仁はもちろん、この唐突なメールに不思議そうな、不審そうな顔をしているが、航平は何となく事の次第が分かり、何とも言えない表情でビールのジョッキを煽った。
先日、侑仁の血を飲ませてもらうには何か尽くさねば! と思い立った一伽に、彼女がいるのにそんなに押し掛けたらマズいんじゃない? と志信が言ったので、確認のメールをしてきたのだろう。
しかしそれにしても、いくら航平が、侑仁に彼女がいるかどうか知らないと答えたからといって、直接本人にそんなことをメールしてくるなんて……まったく本当に、一伽のやることは計り知れない。
「ねぇ航平、これどーゆう意味?」
「知らねぇよ、そんなの。何で俺に聞くんだよ」
いや、本当は分かるけれど、言えない。
もし言ったら、侑仁は嘘でも絶対に『彼女がいる』と返事をしそうだし、そうなったら、一伽は侑仁を諦めて、航平の家に行くと言って聞かなそうだから。
友だちを裏切るようなことはしたくないが、でも一伽が自分の家に押しかけて来たときのことを想像したら、やっぱり侑仁に犠牲になってもらおう。
「ねぇ航平、何で俺、コイツに彼女いるかどうか聞かれなきゃなんないの?」
「だっ…だから知らねぇって!」
もう1度同じことを問われて、つい声を大きくした航平に、侑仁は、やはり航平は何か知っているのだと確信した。
大体航平は、自分が意外と嘘をつくのが下手くそだということに気が付いていないので、シレッと何でもないふうに答えた気になっているが、侑仁はしっかりと見抜いているのだ。
今だって、気付いてないだろうけど、サッと目逸らしてるからね。バレバレです。
「…ふぅん。ならいいや、直接聞く」
「え、誰に?」
「一伽に決まってんじゃん」
「え、ちょちょちょ、え、」
もうごまかし切れないくらいに動揺している航平を無視して、侑仁は一伽に、先ほどの質問の意味を尋ねるメールを送る。
あの一伽のことだから、侑仁が想像も付かないことを考えていて、こんなことを聞いてきたに違いないが、理由もなくこんな質問に答える義理はない。
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COMMENT-FORM
粟津原栗子 ⇒
いっちゃんがあんまりにも!な性格のせいかもしれませんが、侑仁さんってオトコマエですね、すごく。
常識的でいつでも冷静。そんな侑仁さんをキープしておこうってんだから、いっちゃん、尊敬しますw
そしてユキちゃんの鈍感さにすごく煮えている!
光宏くんの気持ちに気付いたところでユキちゃんはうろたえそうだけど、でも!
せめて山下さんともうちょっと進展してみるとか、なんか!!www
常識的でいつでも冷静。そんな侑仁さんをキープしておこうってんだから、いっちゃん、尊敬しますw
そしてユキちゃんの鈍感さにすごく煮えている!
光宏くんの気持ちに気付いたところでユキちゃんはうろたえそうだけど、でも!
せめて山下さんともうちょっと進展してみるとか、なんか!!www
- |2012.06.29
- |Fri
- |09:49
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >粟津原さん
一伽さん、ホント…(笑)
この2人の(2匹の?)吸血鬼さん、極端すぎますよね(^_^;)
侑仁さん、ごく普通の人なんですけど、すごく男前な気がしちゃいますよね! でも、いっちゃんにかかれば、ただのキープ要員…(笑)
私も数々の鈍感キャラを作ってきましたけど、ユキちゃんほど鈍感な子は…!
鈍感キャラは、書くのは楽しいですが、読んでるみなさんを相当ジリジリさせちゃうんじゃないかと思って心配です。。。
ここまで気付かんか~~~!!! て、私自身も突っ込みたくなりますww
コメントありがとうございました!
この2人の(2匹の?)吸血鬼さん、極端すぎますよね(^_^;)
侑仁さん、ごく普通の人なんですけど、すごく男前な気がしちゃいますよね! でも、いっちゃんにかかれば、ただのキープ要員…(笑)
私も数々の鈍感キャラを作ってきましたけど、ユキちゃんほど鈍感な子は…!
鈍感キャラは、書くのは楽しいですが、読んでるみなさんを相当ジリジリさせちゃうんじゃないかと思って心配です。。。
ここまで気付かんか~~~!!! て、私自身も突っ込みたくなりますww
コメントありがとうございました!
- |2012.06.29
- |Fri
- |23:03
- |URL
- |EDIT|