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暴君王子のおっしゃることには! (44)
2012.06.14 Thu
一伽 と 雪乃
「あ゛~~~づ~~~い゛~~~……」
窓全開、扇風機フル稼働の室内は、しかしそれでも十分に暑い夜。
今さら口に出して言わなくても分かることをウダウダ言いながら、一伽は畳の上をゴロゴロしていたが、どうにもこうにも暑くて仕方がないので、フローリングになっている狭っ苦しい台所のほうまで転がっていた。
「ぅん…冷た…」
まだ人の熱の伝わっていないフローリングの床は、ギリギリ冷たい。一伽はようやく人心地が付いたように、ホッと目を閉じた。
しかし、一伽のそんなささやかな安息を邪魔するものが、1人。
「い~っちゃん! 何してんの、こんなトコでっ!!」
光宏の家から帰って来た雪乃が、台所のほうにまで転がって来ている一伽を見つけて、声を張り上げた。
…ただでさえ暑くて堪らないのに、そんな熱血ぽくならないでほしい。暑苦しいから。
一伽は、雪乃を無視して、さらに冷たいほうへと体を転がした。
「ちょっ、いっちゃんっ! ホントにもぉ~、だらけ過ぎ!」
「だってあちぃんだもん…。ユキちゃん、何でウチにはエアコンないのっ? 何でなのっ!?」
「そんなんしょうがないじゃんっ。アパートなんだし、勝手に付けらんないんだから」
一伽だって十分に分かり切っていることを、敢えて切実に聞いてみたら、雪乃からは何もおもしろいことのない返事が返って来る。
分かってて、聞いてるんだってば(せめて、何かボケろ)。
「暑いって思うから暑いの! でしょっ?」
「じゃあ、暑くない、て思ってたら、暑くないわけー? そんなん、汗だくのユキちゃんに言われたってねぇ~?」
力説する雪乃に、一伽は冷ややかな視線を向ける。
何だかんだ言ったって、雪乃も汗をびっしょり掻いているのだ。
「でも、しょうがないでしょ! もっとお金溜めて、いつかエアコン付いてるとこに、引っ越そうね?」
「はいはい」
雪乃のささやかな願いを軽くあしらって、一伽はコロンと、また1つ、冷たい床のほうへと転がった。
「ていうかさぁ、いっちゃん。あんまそっち行くと、扇風機の風、届かなくない?」
「ぅー…」
「逆に暑いっしょ? そっち窓ないから、空気淀んでない?」
「淀んでる…」
確かに、フローリングの床は冷たくて気持ちいいけれど、そちらは窓がないし、扇風機の風も届かないから、空気自体が暑苦しい。
雪乃の言い分は間違いではなくて、でももう体を動かすのも面倒くさくて、戻るに戻れない。
「ねぇいっちゃーん、これまだ返してないのー?」
一伽のだらけ具合をもう責めることはせず、出来るだけ扇風機の風が一伽のほうへ行くように位置を調整させた雪乃は、部屋の隅に置きっ放しになっている袋に気付いて言った。
「…ぅ?」
「こーれ!」
がんばって一伽が体を反転させたら、雪乃がその袋を手にして、一伽に見せつけた。
一伽は、面倒くさそうに「あぁ…」と言ったきり、また目を閉じてしまう。
「いっちゃんっ! これ、あれでしょ? 侑仁て人から借りた服でしょ!? いい加減、返しなよー。いつまでこのままにしてんのっ!?」
「だぁってぇ~…」
前に、航平の奢りでクラブに行った際、酔い潰れた一伽は、侑仁の家に泊まり、そして侑仁から服を借りて帰って来たのだが……それきり返していない。
いや、返そうとはしたのだ。
すぐに洗濯して、次の日、仕事が終わったら返そうと持って行ったのに、侑仁に連絡したら残業でまだ帰ってないとか言うから、結局返しに行きそびれた。
しかも、侑仁の友人である航平に頼んでも、面倒がって、返すのを引き受けてくれないし。
そうしているうちに、ダラダラと時は過ぎ…………今に至るわけで。
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「あ゛~~~づ~~~い゛~~~……」
窓全開、扇風機フル稼働の室内は、しかしそれでも十分に暑い夜。
今さら口に出して言わなくても分かることをウダウダ言いながら、一伽は畳の上をゴロゴロしていたが、どうにもこうにも暑くて仕方がないので、フローリングになっている狭っ苦しい台所のほうまで転がっていた。
「ぅん…冷た…」
まだ人の熱の伝わっていないフローリングの床は、ギリギリ冷たい。一伽はようやく人心地が付いたように、ホッと目を閉じた。
しかし、一伽のそんなささやかな安息を邪魔するものが、1人。
「い~っちゃん! 何してんの、こんなトコでっ!!」
光宏の家から帰って来た雪乃が、台所のほうにまで転がって来ている一伽を見つけて、声を張り上げた。
…ただでさえ暑くて堪らないのに、そんな熱血ぽくならないでほしい。暑苦しいから。
一伽は、雪乃を無視して、さらに冷たいほうへと体を転がした。
「ちょっ、いっちゃんっ! ホントにもぉ~、だらけ過ぎ!」
「だってあちぃんだもん…。ユキちゃん、何でウチにはエアコンないのっ? 何でなのっ!?」
「そんなんしょうがないじゃんっ。アパートなんだし、勝手に付けらんないんだから」
一伽だって十分に分かり切っていることを、敢えて切実に聞いてみたら、雪乃からは何もおもしろいことのない返事が返って来る。
分かってて、聞いてるんだってば(せめて、何かボケろ)。
「暑いって思うから暑いの! でしょっ?」
「じゃあ、暑くない、て思ってたら、暑くないわけー? そんなん、汗だくのユキちゃんに言われたってねぇ~?」
力説する雪乃に、一伽は冷ややかな視線を向ける。
何だかんだ言ったって、雪乃も汗をびっしょり掻いているのだ。
「でも、しょうがないでしょ! もっとお金溜めて、いつかエアコン付いてるとこに、引っ越そうね?」
「はいはい」
雪乃のささやかな願いを軽くあしらって、一伽はコロンと、また1つ、冷たい床のほうへと転がった。
「ていうかさぁ、いっちゃん。あんまそっち行くと、扇風機の風、届かなくない?」
「ぅー…」
「逆に暑いっしょ? そっち窓ないから、空気淀んでない?」
「淀んでる…」
確かに、フローリングの床は冷たくて気持ちいいけれど、そちらは窓がないし、扇風機の風も届かないから、空気自体が暑苦しい。
雪乃の言い分は間違いではなくて、でももう体を動かすのも面倒くさくて、戻るに戻れない。
「ねぇいっちゃーん、これまだ返してないのー?」
一伽のだらけ具合をもう責めることはせず、出来るだけ扇風機の風が一伽のほうへ行くように位置を調整させた雪乃は、部屋の隅に置きっ放しになっている袋に気付いて言った。
「…ぅ?」
「こーれ!」
がんばって一伽が体を反転させたら、雪乃がその袋を手にして、一伽に見せつけた。
一伽は、面倒くさそうに「あぁ…」と言ったきり、また目を閉じてしまう。
「いっちゃんっ! これ、あれでしょ? 侑仁て人から借りた服でしょ!? いい加減、返しなよー。いつまでこのままにしてんのっ!?」
「だぁってぇ~…」
前に、航平の奢りでクラブに行った際、酔い潰れた一伽は、侑仁の家に泊まり、そして侑仁から服を借りて帰って来たのだが……それきり返していない。
いや、返そうとはしたのだ。
すぐに洗濯して、次の日、仕事が終わったら返そうと持って行ったのに、侑仁に連絡したら残業でまだ帰ってないとか言うから、結局返しに行きそびれた。
しかも、侑仁の友人である航平に頼んでも、面倒がって、返すのを引き受けてくれないし。
そうしているうちに、ダラダラと時は過ぎ…………今に至るわけで。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
服を未だに返さない いっちゃんも いっちゃんだけど
「返せ!」と言って来ない侑仁も 侑仁だわぁ~ハァ・・(。´・_・`)-3
まぁ 侑仁にしてみれば 服より 理解不能な いっちゃんと会う方が・・・(笑)
ユキちゃんと いっちゃんの2人
何度も言う様ですが、(種類は違う?)この天然さん達には 周りの人は ほんと 大変ですよね...ヘ(X_X ;)/ ヘロヘロー
いっちゃん!我が家の台所で ゴロゴロしても いいよ~♪
隅に埃があって・・・手抜き~(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪...byebye☆
「返せ!」と言って来ない侑仁も 侑仁だわぁ~ハァ・・(。´・_・`)-3
まぁ 侑仁にしてみれば 服より 理解不能な いっちゃんと会う方が・・・(笑)
ユキちゃんと いっちゃんの2人
何度も言う様ですが、(種類は違う?)この天然さん達には 周りの人は ほんと 大変ですよね...ヘ(X_X ;)/ ヘロヘロー
いっちゃん!我が家の台所で ゴロゴロしても いいよ~♪
隅に埃があって・・・手抜き~(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪...byebye☆
- |2012.06.14
- |Thu
- |10:05
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
確かに、一伽に押し掛けられるくらいなら、服の1着くらいくれてやるほうが安いかも…(何たってセレブですから(笑))。
でも侑仁さんの期待もむなしく…(゜.゜)
一伽と雪乃は多分、お互い、相手よりは自分のほうがしっかり者だと思ってるんだろうなぁ…と想像します。
自分がいなかったら、この人はダメになっちゃう…! くらいの。
でも周りから見たら、どっちも天然なんですよね(笑)
けいったんさん!
一伽さんの暴挙を容認できるくらいの広い心があったら、どうぞ、ゴロゴロさせてやってください~(笑)
とりあえず涼しささえあったら、少しくらいの誇りは大目に見てくれると思います!
コメントありがとうございました!
でも侑仁さんの期待もむなしく…(゜.゜)
一伽と雪乃は多分、お互い、相手よりは自分のほうがしっかり者だと思ってるんだろうなぁ…と想像します。
自分がいなかったら、この人はダメになっちゃう…! くらいの。
でも周りから見たら、どっちも天然なんですよね(笑)
けいったんさん!
一伽さんの暴挙を容認できるくらいの広い心があったら、どうぞ、ゴロゴロさせてやってください~(笑)
とりあえず涼しささえあったら、少しくらいの誇りは大目に見てくれると思います!
コメントありがとうございました!
- |2012.06.14
- |Thu
- |22:41
- |URL
- |EDIT|