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暴君王子のおっしゃることには! (32)
2012.06.02 Sat
「つかメシ食おうぜ。一伽、これ持ってって」
「ん」
一伽は侑仁に言われたとおり、サラダの入ったお皿とフォークをお盆に乗せて、テーブルまで運ぶ。
パスタを取り分けていた侑仁は、一伽にその皿も渡そうと思ったのに、ふと視線を向ければ、一伽はもうちゃっかり椅子に座っていた(しかも手にはフォークを握り締めているし…)。
仕方なく侑仁は2人分のパスタと、サラダ用のドレッシングを持って、テーブルのほうへ行く。
「すげぇー。侑仁、ホントに料理すんだ」
「するよ。てか、パスタ茹でるくらい、料理のうちに入んなくね?」
「そんなことないよっ。てか、褒めてんだから、素直に喜べよっ!」
「はいはい」
…一体どの辺が褒め言葉だったのだろうか。
まぁ、言い返してもしょうがないので、侑仁は一応礼を言っておくが。
「いただきまーす」
律儀に両手を合わせてから、一伽はガツガツとパスタを貪る。
人間のような食事をしなくてもいいわりには、言い食べっぷりだ。
「でもさ、一伽、こういう…普通のメシ? 食っても、腹いっぱいになんねぇんだろ? それってどんな感じなの? 食っても食っても腹減ってる、てこと?」
「んー? お腹いっぱいにはなるよ、食べれば。でも血も飲みたい。こういうの食べんのと、血を吸いたい! て気持ちは全然違うの。何て言うか……腹減ってても、すっげぇ喉渇いてたら、パッサパサのパンとか食えねぇじゃん?」
「腹減ってんのと、喉渇いてんのの違いみたい、てこと?」
「んー……多分。よく分かんない」
自分ではうまく例えたつもりだったが、侑仁に聞き返されたら、何となくそうでもないような気がして、一伽は結局首を傾げた。
今までこの感覚を、言葉で人に説明したことがないから、よく分からないのだ。
「ならさぁ、こういうメシ食わなくても、腹は減らないわけ?」
「ん。血さえちゃんと吸ってたらね。あ、分かった! 俺らにとって、吸血がご飯で、こういうの食べるのは、水飲むみたいな感じ! だから、いっぱい食べても満腹になんないの!」
今度こそうまく例えられた! と一伽は顔を明るくして、侑仁のほうへ身を乗り出した。
けれど侑仁は、何となく納得していない様子。
「…何、侑仁」
「でもさぁ、喉は喉で渇くんだろ? こういうの食ったとこで、喉が渇いたのは治まんねぇんじゃねぇの?」
「まぁ……そうだけど…。つか、分かんないよぉ、もうっ!」
基本的に、難しいことを考えるのが嫌いな一伽は、お手上げ! と喚き散らして、椅子に戻った。
とにかく血を飲まないことには腹が減る、それがすべてなのだ。
「ていうか、侑仁ー」
「何? 飲む?」
パスタもサラダもみんな食べ尽くした一伽は、お行儀悪くフォークをガジガジしていたのだが(最初はちゃんと手を合わせて『いただきます』したのに…)、それをテーブルに置いた。
コーヒーを飲もうと準備していた侑仁が、手を止める。
「コーヒーじゃなくて、血が飲みたい」
「はぁ? お前、今メシ食ったばっかだろ」
一伽にとって吸血は食事なわけで、食後に血が飲みたいというのは、ご飯の後にまたすぐご飯を食べるのと同じことのような気がする。
それを、食後のコーヒーみたく、血が飲みたいとか言われても(それとも、甘いもののように、別腹だとでも言うつもりか)。
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「ん」
一伽は侑仁に言われたとおり、サラダの入ったお皿とフォークをお盆に乗せて、テーブルまで運ぶ。
パスタを取り分けていた侑仁は、一伽にその皿も渡そうと思ったのに、ふと視線を向ければ、一伽はもうちゃっかり椅子に座っていた(しかも手にはフォークを握り締めているし…)。
仕方なく侑仁は2人分のパスタと、サラダ用のドレッシングを持って、テーブルのほうへ行く。
「すげぇー。侑仁、ホントに料理すんだ」
「するよ。てか、パスタ茹でるくらい、料理のうちに入んなくね?」
「そんなことないよっ。てか、褒めてんだから、素直に喜べよっ!」
「はいはい」
…一体どの辺が褒め言葉だったのだろうか。
まぁ、言い返してもしょうがないので、侑仁は一応礼を言っておくが。
「いただきまーす」
律儀に両手を合わせてから、一伽はガツガツとパスタを貪る。
人間のような食事をしなくてもいいわりには、言い食べっぷりだ。
「でもさ、一伽、こういう…普通のメシ? 食っても、腹いっぱいになんねぇんだろ? それってどんな感じなの? 食っても食っても腹減ってる、てこと?」
「んー? お腹いっぱいにはなるよ、食べれば。でも血も飲みたい。こういうの食べんのと、血を吸いたい! て気持ちは全然違うの。何て言うか……腹減ってても、すっげぇ喉渇いてたら、パッサパサのパンとか食えねぇじゃん?」
「腹減ってんのと、喉渇いてんのの違いみたい、てこと?」
「んー……多分。よく分かんない」
自分ではうまく例えたつもりだったが、侑仁に聞き返されたら、何となくそうでもないような気がして、一伽は結局首を傾げた。
今までこの感覚を、言葉で人に説明したことがないから、よく分からないのだ。
「ならさぁ、こういうメシ食わなくても、腹は減らないわけ?」
「ん。血さえちゃんと吸ってたらね。あ、分かった! 俺らにとって、吸血がご飯で、こういうの食べるのは、水飲むみたいな感じ! だから、いっぱい食べても満腹になんないの!」
今度こそうまく例えられた! と一伽は顔を明るくして、侑仁のほうへ身を乗り出した。
けれど侑仁は、何となく納得していない様子。
「…何、侑仁」
「でもさぁ、喉は喉で渇くんだろ? こういうの食ったとこで、喉が渇いたのは治まんねぇんじゃねぇの?」
「まぁ……そうだけど…。つか、分かんないよぉ、もうっ!」
基本的に、難しいことを考えるのが嫌いな一伽は、お手上げ! と喚き散らして、椅子に戻った。
とにかく血を飲まないことには腹が減る、それがすべてなのだ。
「ていうか、侑仁ー」
「何? 飲む?」
パスタもサラダもみんな食べ尽くした一伽は、お行儀悪くフォークをガジガジしていたのだが(最初はちゃんと手を合わせて『いただきます』したのに…)、それをテーブルに置いた。
コーヒーを飲もうと準備していた侑仁が、手を止める。
「コーヒーじゃなくて、血が飲みたい」
「はぁ? お前、今メシ食ったばっかだろ」
一伽にとって吸血は食事なわけで、食後に血が飲みたいというのは、ご飯の後にまたすぐご飯を食べるのと同じことのような気がする。
それを、食後のコーヒーみたく、血が飲みたいとか言われても(それとも、甘いもののように、別腹だとでも言うつもりか)。
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