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暴君王子のおっしゃることには! (16)
2012.05.17 Thu
「いやユキ、あのスーパー、お前んちからは近くねぇだろ? そんなにしょっちゅうは行けなくね?」
「だーかーらー、これから俺、みっくんに毎日ご飯作ったげる!」
「はい?」
「そしたら俺、あのスーパーに毎日行ける!」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ、雪乃さん」
グッとこぶしを握り締めて決意を固める雪乃の向かい、光宏はただただ呆然としていた。
突っ込みどころが多すぎて、一体どこから突っ込んだらいいものかと思ったのだ。でもまぁとりあえず、1つ1つ突っ込んで行ってみようか。
「あのさ、ユキがメシ作りに来たい、て言うなら、それは嬉しいんだけど、そうだとしても、買い物は毎日必要ねぇだろ。そんなに食料買ったって、食い切れねぇし」
「そうなの? その日食べる分、その日に買いに行くの、ダメ?」
「いや、ダメていうか…、ダメじゃないけど、でも、その人目当てに毎日スーパーに通ったら、お前、確実にストーカーだから」
「うぐっ…。ストーカーさんには、思われたくない…」
「だろ?」
本気でストーカーまがいのことを始めそうな雪乃に、何とかそれだけは未然に食い止めようと必死に説得したら、どうにかそれだけは理解できたらしく、雪乃は自分の無謀な作戦に肩を落とした。
けれど、諦めたくない気持ちもあるわけで。
「でも…時々なら、行ってもいい? 俺、変態さんに思われない?」
「いや、変態とは誰も思ってないけど。まぁ…いいんじゃない? ユキがそうしたいなら」
「俺、みっくんち、ご飯作り来ていい?」
「それはいいけど、え、ホントに来てくれんの? 俺のメシ作りに?」
雪乃だけなら、血以外の食事は基本的にいらないわけだから、雪乃は本当に光宏のためだけに料理を作りに来ることになるのだが。
そう思って光宏は驚くが、雪乃の決意は固いらしい。
「うん、みっくんにご飯作る。そんでいっぱい練習して、いつかあの人においしいご飯を…!」
「俺は練習台かっ」
確かに雪乃の料理の腕は、回数を重ねるごとに上達していっているから、このまま続けていれば、もっとうまくはなるだろう。
それに、カフェに勤めている光宏なら、雪乃の作るメニューにもいろいろアドバイスを貰えそう。
「とりあえず、今日は買い物して来たから、明日は行かないにして、明後日は……ねぇ、明後日なら行ってもいい?」
「いや、俺に許可求められても…」
実際にそのスーパーに行く頻度が、1日おきだろうと2日おきだろうと、雪乃の目的が、買い物よりもそのイケメンだという時点で、何となくストーカー臭い気はするが。
「じゃ、明後日行く! そんで今度は、名札をちゃんと見て、名前を知る!」
ささやかすぎるほどの願いを胸に秘め、こぶしを握り締めた雪乃の向かいで、光宏は人知れず溜め息を零した。
光宏 と 一伽
『cafe OKAERI』は、その名のとおり、我が家に帰って来たような、温かみのある店内と料理で、幅広い年齢層に人気のカフェだ。
広すぎない店内は、ファッション系のショップや、女の子の好きそうな雑貨店が多く立ち並ぶエリアの一角にありながら、のんびりとした雰囲気がある。
店は、調理を担当する店長のほか、接客担当の光宏と、交代で入るバイトの子。
ゆっくりとご飯を味わうのにちょうどいいお店だ。
「光宏く~ん…」
ちょうど昼時の混雑が一段落して、皿洗いを終えたバイトの大橋が、カウンターの中へと出て来た。
光宏に、『お腹が空いた』と無言の訴えをするためである。
「…もう少しお客さんが落ち着いたらな」
「えー」
言葉にしなくても大橋の言いたいことの分かる光宏は(大橋はしょっちゅう腹を空かせていて、『お腹空いた』が口癖だから)、彼のほうを見ることもなくそう言った。
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「だーかーらー、これから俺、みっくんに毎日ご飯作ったげる!」
「はい?」
「そしたら俺、あのスーパーに毎日行ける!」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ、雪乃さん」
グッとこぶしを握り締めて決意を固める雪乃の向かい、光宏はただただ呆然としていた。
突っ込みどころが多すぎて、一体どこから突っ込んだらいいものかと思ったのだ。でもまぁとりあえず、1つ1つ突っ込んで行ってみようか。
「あのさ、ユキがメシ作りに来たい、て言うなら、それは嬉しいんだけど、そうだとしても、買い物は毎日必要ねぇだろ。そんなに食料買ったって、食い切れねぇし」
「そうなの? その日食べる分、その日に買いに行くの、ダメ?」
「いや、ダメていうか…、ダメじゃないけど、でも、その人目当てに毎日スーパーに通ったら、お前、確実にストーカーだから」
「うぐっ…。ストーカーさんには、思われたくない…」
「だろ?」
本気でストーカーまがいのことを始めそうな雪乃に、何とかそれだけは未然に食い止めようと必死に説得したら、どうにかそれだけは理解できたらしく、雪乃は自分の無謀な作戦に肩を落とした。
けれど、諦めたくない気持ちもあるわけで。
「でも…時々なら、行ってもいい? 俺、変態さんに思われない?」
「いや、変態とは誰も思ってないけど。まぁ…いいんじゃない? ユキがそうしたいなら」
「俺、みっくんち、ご飯作り来ていい?」
「それはいいけど、え、ホントに来てくれんの? 俺のメシ作りに?」
雪乃だけなら、血以外の食事は基本的にいらないわけだから、雪乃は本当に光宏のためだけに料理を作りに来ることになるのだが。
そう思って光宏は驚くが、雪乃の決意は固いらしい。
「うん、みっくんにご飯作る。そんでいっぱい練習して、いつかあの人においしいご飯を…!」
「俺は練習台かっ」
確かに雪乃の料理の腕は、回数を重ねるごとに上達していっているから、このまま続けていれば、もっとうまくはなるだろう。
それに、カフェに勤めている光宏なら、雪乃の作るメニューにもいろいろアドバイスを貰えそう。
「とりあえず、今日は買い物して来たから、明日は行かないにして、明後日は……ねぇ、明後日なら行ってもいい?」
「いや、俺に許可求められても…」
実際にそのスーパーに行く頻度が、1日おきだろうと2日おきだろうと、雪乃の目的が、買い物よりもそのイケメンだという時点で、何となくストーカー臭い気はするが。
「じゃ、明後日行く! そんで今度は、名札をちゃんと見て、名前を知る!」
ささやかすぎるほどの願いを胸に秘め、こぶしを握り締めた雪乃の向かいで、光宏は人知れず溜め息を零した。
光宏 と 一伽
『cafe OKAERI』は、その名のとおり、我が家に帰って来たような、温かみのある店内と料理で、幅広い年齢層に人気のカフェだ。
広すぎない店内は、ファッション系のショップや、女の子の好きそうな雑貨店が多く立ち並ぶエリアの一角にありながら、のんびりとした雰囲気がある。
店は、調理を担当する店長のほか、接客担当の光宏と、交代で入るバイトの子。
ゆっくりとご飯を味わうのにちょうどいいお店だ。
「光宏く~ん…」
ちょうど昼時の混雑が一段落して、皿洗いを終えたバイトの大橋が、カウンターの中へと出て来た。
光宏に、『お腹が空いた』と無言の訴えをするためである。
「…もう少しお客さんが落ち着いたらな」
「えー」
言葉にしなくても大橋の言いたいことの分かる光宏は(大橋はしょっちゅう腹を空かせていて、『お腹空いた』が口癖だから)、彼のほうを見ることもなくそう言った。
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