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苦労人・南條馨の憂鬱 (3)
2012.02.05 Sun
思えば、それが悪魔の微笑みだったのだ。
水落家に向かう車の中で、千尋は、琉にも一芝居を打つのだと南條に明かし、さっき遥希の前で見せたような深刻な顔をしていろ、と厳命してきたのだ。
遥希のときは、南條も何も知らなかったから、素で驚いた表情が出来ていたけれど、千尋が何をするか知ってしまった今となっては、南條がうまく深刻そうな顔をしてくれないと、琉に嘘がバレてしまうから。
『お…おま…』
『南條、水落の前で、さっきみたいな顔出来ないなら、ずっと下向いてろ』
琉の家に到着すると、千尋はかわいい顔で、とっても男前なことを言って車を降りた。
琉は当然、千尋の突然の訪問を歓迎しなかったし、南條が一緒にいることも訝しんだ。
南條はそのときになってようやく、千尋のこの計画を知りながら、どうして止めることが出来なかったのかと悔やみ始めていた。この計画は、あまりに無謀だった。
本当に、ただ単に、2人を傷付けるだけで終わってしまうかもしれない。
とんでもない大嘘つきの千尋が、遥希と琉の両方を裏切るだけ裏切って、それでおしまいかもしれない。
千尋には、先ほどのような顔が出来ないなら下を向いていろと言われたが、南條はもう、自分がどんな顔をしているか分からなかったし、千尋にそう言われたからでなく、絶望でずっと俯いていた。
南條がどんな気持ちでいるか知る由もない(…し、知る気もない)千尋は、琉に向かってサラッと嘘をつくと、南條を連れて琉の家を出た。
それから、意気揚々と南條の車に乗り込んだ千尋は、南條にこの後の仕事がないことを確認すると、コンビニに向かわせた。
南條は、何で俺、こんなに素直に千尋の言うこと聞いてんだろ…と思いつつ、望みどおり、千尋をコンビニに連れて行けば、千尋は昼間だというのに、しこたま酒を買い込み、
そして。
『祝杯、挙げようぜ?』
ニヤリと、南條の顔を覗き込んだのだった。
*****
「ひゃははは、あんときの水落の顔、今思い出しても笑える~」
「笑えない。つか千尋、缶持ったまま引っ繰り返るなっ、零れるっ!」
全然まったく笑い事ではないのに、千尋は楽しくて堪らない様子で……もう手が付けられない。
もともと千尋は酒も弱くないし、外で飲むときは気を付けているようだが、今は南條の家、よぉく見知った南條しかおらず、喜ばしいこともあったとなれば、タガが外れるのも無理はない――――ただ、タガの外れ方が半端ないというだけで。
飲み始めてから大した時間も経っていないというのにのに、すでに相当の本数が空いており、恐ろしいことにその9割が千尋の体内に収められているのだ。
(小野田くん、コイツとすげぇ仲いいみたいだけど、一体何がよくて一緒にいるんだろ…)
床に引っ繰り返って、グデングデンになっている千尋を見ながら、南條は思った。
手は掛かるし、突拍子もないし、気まぐれだし、酒癖は悪いし…。
back next
水落家に向かう車の中で、千尋は、琉にも一芝居を打つのだと南條に明かし、さっき遥希の前で見せたような深刻な顔をしていろ、と厳命してきたのだ。
遥希のときは、南條も何も知らなかったから、素で驚いた表情が出来ていたけれど、千尋が何をするか知ってしまった今となっては、南條がうまく深刻そうな顔をしてくれないと、琉に嘘がバレてしまうから。
『お…おま…』
『南條、水落の前で、さっきみたいな顔出来ないなら、ずっと下向いてろ』
琉の家に到着すると、千尋はかわいい顔で、とっても男前なことを言って車を降りた。
琉は当然、千尋の突然の訪問を歓迎しなかったし、南條が一緒にいることも訝しんだ。
南條はそのときになってようやく、千尋のこの計画を知りながら、どうして止めることが出来なかったのかと悔やみ始めていた。この計画は、あまりに無謀だった。
本当に、ただ単に、2人を傷付けるだけで終わってしまうかもしれない。
とんでもない大嘘つきの千尋が、遥希と琉の両方を裏切るだけ裏切って、それでおしまいかもしれない。
千尋には、先ほどのような顔が出来ないなら下を向いていろと言われたが、南條はもう、自分がどんな顔をしているか分からなかったし、千尋にそう言われたからでなく、絶望でずっと俯いていた。
南條がどんな気持ちでいるか知る由もない(…し、知る気もない)千尋は、琉に向かってサラッと嘘をつくと、南條を連れて琉の家を出た。
それから、意気揚々と南條の車に乗り込んだ千尋は、南條にこの後の仕事がないことを確認すると、コンビニに向かわせた。
南條は、何で俺、こんなに素直に千尋の言うこと聞いてんだろ…と思いつつ、望みどおり、千尋をコンビニに連れて行けば、千尋は昼間だというのに、しこたま酒を買い込み、
そして。
『祝杯、挙げようぜ?』
ニヤリと、南條の顔を覗き込んだのだった。
*****
「ひゃははは、あんときの水落の顔、今思い出しても笑える~」
「笑えない。つか千尋、缶持ったまま引っ繰り返るなっ、零れるっ!」
全然まったく笑い事ではないのに、千尋は楽しくて堪らない様子で……もう手が付けられない。
もともと千尋は酒も弱くないし、外で飲むときは気を付けているようだが、今は南條の家、よぉく見知った南條しかおらず、喜ばしいこともあったとなれば、タガが外れるのも無理はない――――ただ、タガの外れ方が半端ないというだけで。
飲み始めてから大した時間も経っていないというのにのに、すでに相当の本数が空いており、恐ろしいことにその9割が千尋の体内に収められているのだ。
(小野田くん、コイツとすげぇ仲いいみたいだけど、一体何がよくて一緒にいるんだろ…)
床に引っ繰り返って、グデングデンになっている千尋を見ながら、南條は思った。
手は掛かるし、突拍子もないし、気まぐれだし、酒癖は悪いし…。
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如月久美子 ⇒ >拍手コメ→Rさん
みんながそれは思っていることですよね。
一体何がよくて、ちーちゃんと一緒にいるの? て…。
きっと、普通の人には分かりえない魅力があるんでしょう(笑)
私もぜひ、南條さんに聞いてみたいです。
お酒の席なら、教えてくれるかな? (笑)
拍手&コメントありがとうございました!
一体何がよくて、ちーちゃんと一緒にいるの? て…。
きっと、普通の人には分かりえない魅力があるんでしょう(笑)
私もぜひ、南條さんに聞いてみたいです。
お酒の席なら、教えてくれるかな? (笑)
拍手&コメントありがとうございました!
- |2012.02.05
- |Sun
- |22:53
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >拍手コメ→Kさん
付き合いの浅い人には、ちーちゃんの一体どこがいいの!? 状態なようですが、普通の人のは分かりえない魅力の持ち主のようです(笑)
私、華奢でかわいいんだけど、筋肉大好き! みたいな子が好きみたいです(^_^;)
1つのお話に、たいてい1人は筋肉大好きキャラがいる気が…。
南條さん、だいぶ苦労してますが、こちらのお話も楽しんでいただけたらです。
拍手&コメントありがとうございました!
私、華奢でかわいいんだけど、筋肉大好き! みたいな子が好きみたいです(^_^;)
1つのお話に、たいてい1人は筋肉大好きキャラがいる気が…。
南條さん、だいぶ苦労してますが、こちらのお話も楽しんでいただけたらです。
拍手&コメントありがとうございました!
- |2012.02.05
- |Sun
- |22:56
- |URL
- |EDIT|