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映画のような恋がしたい。(だって最後は決まってハッピーエンドだ。) (113)
2012.01.11 Wed
ryu
恋がいつもハッピーエンドなわけじゃない。
片想いが、いつも実るわけじゃない。
現実が、ドラマのように都合よく進むわけじゃないことは、琉だってよく分かっている。
だから、この恋心が儚く散ってしまうことだって、思っていなかったばかりじゃないんだ、でも――――お互いに好き合っていても一緒にいられないなんて、考えてもいなかった。
(――――痛ぇ…)
車のドアを閉めた後、1度もこちらを振り返ることなく部屋まで駆けて行った遥希の背中を、琉は最後まで見送ると、そのままハンドルに突っ伏した。
目を閉じれば、遥希の泣き顔ばかりが浮かんできた。
どうしてだろう、遥希の笑っている顔が好きなのにな。なのに、泣かせてしまった。
最後、シートベルトを外そうとする遥希の手を取って引き寄せて、……キスして、奪おうとした。やっぱり遥希が欲しい、て。
でも出来なかった。
頬にキスしたのは、琉の精一杯の理性。
『…琉はゲイじゃないから…、きっといつか、女の人のほうが良くなる、から…』
琉が芸能人だから、というのだけが断る理由なのだとしたら、そんなの絶対に納得できなくて、何としてでも遥希のことを説得しようとしたと思う。
でも、そう言った遥希の顔が、あまりにもツラそうで、その後、必死に『ダメ』と言った遥希の声が、あまりにも悲痛に満ちていたから。
…だからもう、何も言えなくなってしまった。
いつか遥希よりも女の人のほうが良くなる……そんな『いつか』なんて、来るか来ないかも分からないのに。
でも、未来に怯える遥希を納得させるだけの言葉を、琉は持っていなかった。
ならば、この想いを伝えなければよかったのだろうか。
そうすれば、少なくとも友だちとしては、ずっと一緒にいられた。今までみたいに、遊んだりご飯を食べに行ったりし続けることが出来た。
…遥希が、車のCM、長いバージョンが録画できないんだよ~! て悔しそうに言っていた、あの瞬間まで時間が戻らないかな。渋滞にはまってしまった、あのときでもいい。
行き先を変更して、当てのないただのドライブにして、どこまでも車を走らせて――――そうすれば、琉はまだ、遥希と『友だち』でいられた。
でもそんなの……琉が耐えられない。
こんなに強く遥希のことを想っているのに、友だちでなんかいられない。
やっぱり琉と遥希は、こうなる運命だったのだ。
「ハルちゃん…」
ねぇ、今駆け込んだ部屋の中、遥希は1人で泣いてるの? 琉のせいで。
やっぱりあのとき、手を離すんじゃなかった。泣いている遥希を、ずっと抱き締めていればよかった。ずっと離さずにいればよかった――――でももう遅い。
遥希は、この手の中をすり抜けて行ってしまった。
まるで波にさらわれた、砂の城。
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恋がいつもハッピーエンドなわけじゃない。
片想いが、いつも実るわけじゃない。
現実が、ドラマのように都合よく進むわけじゃないことは、琉だってよく分かっている。
だから、この恋心が儚く散ってしまうことだって、思っていなかったばかりじゃないんだ、でも――――お互いに好き合っていても一緒にいられないなんて、考えてもいなかった。
(――――痛ぇ…)
車のドアを閉めた後、1度もこちらを振り返ることなく部屋まで駆けて行った遥希の背中を、琉は最後まで見送ると、そのままハンドルに突っ伏した。
目を閉じれば、遥希の泣き顔ばかりが浮かんできた。
どうしてだろう、遥希の笑っている顔が好きなのにな。なのに、泣かせてしまった。
最後、シートベルトを外そうとする遥希の手を取って引き寄せて、……キスして、奪おうとした。やっぱり遥希が欲しい、て。
でも出来なかった。
頬にキスしたのは、琉の精一杯の理性。
『…琉はゲイじゃないから…、きっといつか、女の人のほうが良くなる、から…』
琉が芸能人だから、というのだけが断る理由なのだとしたら、そんなの絶対に納得できなくて、何としてでも遥希のことを説得しようとしたと思う。
でも、そう言った遥希の顔が、あまりにもツラそうで、その後、必死に『ダメ』と言った遥希の声が、あまりにも悲痛に満ちていたから。
…だからもう、何も言えなくなってしまった。
いつか遥希よりも女の人のほうが良くなる……そんな『いつか』なんて、来るか来ないかも分からないのに。
でも、未来に怯える遥希を納得させるだけの言葉を、琉は持っていなかった。
ならば、この想いを伝えなければよかったのだろうか。
そうすれば、少なくとも友だちとしては、ずっと一緒にいられた。今までみたいに、遊んだりご飯を食べに行ったりし続けることが出来た。
…遥希が、車のCM、長いバージョンが録画できないんだよ~! て悔しそうに言っていた、あの瞬間まで時間が戻らないかな。渋滞にはまってしまった、あのときでもいい。
行き先を変更して、当てのないただのドライブにして、どこまでも車を走らせて――――そうすれば、琉はまだ、遥希と『友だち』でいられた。
でもそんなの……琉が耐えられない。
こんなに強く遥希のことを想っているのに、友だちでなんかいられない。
やっぱり琉と遥希は、こうなる運命だったのだ。
「ハルちゃん…」
ねぇ、今駆け込んだ部屋の中、遥希は1人で泣いてるの? 琉のせいで。
やっぱりあのとき、手を離すんじゃなかった。泣いている遥希を、ずっと抱き締めていればよかった。ずっと離さずにいればよかった――――でももう遅い。
遥希は、この手の中をすり抜けて行ってしまった。
まるで波にさらわれた、砂の城。
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COMMENT-FORM
りんこ ⇒ (泣)
ハルちゃんと一緒にわたしも泣いちゃいます
琉の気持ちも思うと泣けてきますね…
切ない
切ないけど本来男同士なんてそんな簡単にはいかないと思うし…
2人それぞれの気持ち考えると、どちらもわかる
でも気持ちを繋げて乗り越えてほしいなあと思います。
琉の気持ちも思うと泣けてきますね…
切ない
切ないけど本来男同士なんてそんな簡単にはいかないと思うし…
2人それぞれの気持ち考えると、どちらもわかる
でも気持ちを繋げて乗り越えてほしいなあと思います。
- |2012.01.11
- |Wed
- |11:51
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >りんこさん
りんこさんを泣かせてしまった…(>_<)
ごめんなさい~~~!!
でも、琉タンにこんなに思われてるのに~~~~!! と怒られなくてよかったです。
男同士もそうですが、男女でも何でも、恋愛というのは、なかなかすんなりとは行かないものですね。。。
しかもいろいろ考え過ぎちゃうハルちゃんですし…。
2人、それぞれに思うところがあって、好き同士なんだけれど、うまく気持ちを通じ合えないでいる2人です。
切ない展開が続きますが、引き続き応援していただけたら嬉しいです(*^_^*)
コメントありがとうございました!
ごめんなさい~~~!!
でも、琉タンにこんなに思われてるのに~~~~!! と怒られなくてよかったです。
男同士もそうですが、男女でも何でも、恋愛というのは、なかなかすんなりとは行かないものですね。。。
しかもいろいろ考え過ぎちゃうハルちゃんですし…。
2人、それぞれに思うところがあって、好き同士なんだけれど、うまく気持ちを通じ合えないでいる2人です。
切ない展開が続きますが、引き続き応援していただけたら嬉しいです(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.01.11
- |Wed
- |22:34
- |URL
- |EDIT|