恋三昧

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　でも別に琉は、遥希以外の男に冷たいわけでもないし、遥希だけ特別扱いしているわけでもないのだが。

「してるよ、十分!」
「そうかなー?」
「自覚なしかよ、タチ悪ぃ…」

　そんなふうに大和に嘆かれても、琉だって困る。
　もし琉が遥希のことだけ特別に扱っているように見えるというなら、やはりそれは、琉が遥希のことを好きだからだと思う。…好きな子には、やっぱり優しくしたいから。

「お前、マジでハルちゃんのこと好きなわけ?」

　一応、この部屋は仕切られた個室だけれど、それでも周りを気にして、大和はうんと声を潜めて琉に尋ねた。
　先日、同じようなことを聞いて、『好きになったもんはしょうがない』と返されても、何となく実感が沸かなかったが、今日、実際に遥希と会い、彼を優しそうに見つめて甘やかしている琉を見ていたら、やはり本気なのかと思ってしまった。

「うん、好き」

　琉はまっすぐに大和を見つめたまま、頷いた。
　彼女にしろ、好きな女の子にしろ、そう簡単に公言できる立場ではないけれど、親友であり、相方でもある大和のことは信用しているから、何でも正直に話して来た。
　だから今も、ちゃんと打ち明ける。

「…まぁいいけど。つか、前も言ったけど、ハルちゃんが男OKじゃなきゃ、両想いにはなれねぇんだからなっ」
「分かってるよ」

　それだけでなく、やはりリスクの高い恋だということも、琉はちゃんと分かっている。
　けれど。
　でもやっぱり好きだから。
　遥希に想いを告げて、それで振られてしまったのなら諦めも付くが、FATEの水落琉という立場のせいで、この気持ちをなかったことにはしたくない。



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