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08. 特別な日 (前編)
2008.04.22 Tue
あの日の和哉の言葉をまったく意識してないって言ったら嘘だけど、でもだからって、それが和哉と会わなくなる理由にはならない。
別にお付き合いをしてるわけでもないし。
現に今日も、和哉とご飯を食べに行く約束をしています。
きっと、あのときの言葉は、和哉にとっては聞き流されてもいいような、むしろ聞き流してくれたほうがいいような、そんな言葉だったんだろう。
今日までにも何度か会ってるし、メールもやり取りしてるけど、そのことが話題に上ることもない。
意識してるのは、俺だけか…。
そりゃそうだよな。
俺は和哉のことを恋愛対象で見てるけど、向こうは別にそんなわけでもないんだし。
「切ないよなぁ…」
今まで何人も女の子とは付き合ってきたけど、こんな気持ち、初めてだよ。
***
バイトが終わる時刻が近付いて、何となく時計を気にしてると、自動ドアの開く音。
俺は反射的に、「いらっしゃいませ」と言いかけて、入ってきたのが和哉と気付き、一瞬口篭ってしまった。
「ゴメン、来ちゃった」
和哉は笑いながら肩を竦めた。
「もうすぐ終わるよ。あと10分ぐらい」
「待ってる。あ、今日章ちゃんは? いないの?」
「今日は休み。何か用があった?」
「ううん、聞いただけ。本、読んでてもいい?」
本?
あぁ、立ち読みしたいってことね。店的にはあんまり嬉しくないけど、まぁいっか。
でも俺が『いいよ』って言うより先に、
「あ、でもアイス買おー」
言うが早いか、和哉はアイスのショーケースに張り付いていた。
「え? このあとメシ食うのに、先にアイス食うの?」
思わず苦笑い。
でも和哉はショーケースを覗き込みながら、迷ってウンウン唸ってる。
決まった? 俺、もう上がっちゃうよ? 交替のバイトさん来たし。おーい、和哉。
「これ!」
お気に召したアイスが見つかったのか、和哉が1つ取り出してレジのほうにやって来た。いつもどおりの手順で俺がレジをしてると、なぜか和哉がクスクス笑ってる。
「ん? 何?」
思わず俺も笑っちゃう。
だって、レジしてるだけなのに、何で俺、笑われてんの?
「何か、大樹が仕事してるーって思って。変なのー」
「何でだよ。はい、100円になりまーす」
「クフフ…はい」
まだ笑いながら、和哉が100円玉を差し出してきた。
「ッ、」
それを受け取ろうとした瞬間、和哉と手が触れて、思わずドキッとなった。
別に、手くらい。
手を繋いで歩いたことがあるわけじゃないけど、何気なく手とか、体とかに触れたこと、何度もある。なのに、何で今さらドキ?
乙女か、俺は。
「じゃあ、外で待ってるね」
アイスとレシートを受け取った和哉が店を出て行って、俺はホッと息をつく。
今さら、緊張することじゃないのに。
別にお付き合いをしてるわけでもないし。
現に今日も、和哉とご飯を食べに行く約束をしています。
きっと、あのときの言葉は、和哉にとっては聞き流されてもいいような、むしろ聞き流してくれたほうがいいような、そんな言葉だったんだろう。
今日までにも何度か会ってるし、メールもやり取りしてるけど、そのことが話題に上ることもない。
意識してるのは、俺だけか…。
そりゃそうだよな。
俺は和哉のことを恋愛対象で見てるけど、向こうは別にそんなわけでもないんだし。
「切ないよなぁ…」
今まで何人も女の子とは付き合ってきたけど、こんな気持ち、初めてだよ。
***
バイトが終わる時刻が近付いて、何となく時計を気にしてると、自動ドアの開く音。
俺は反射的に、「いらっしゃいませ」と言いかけて、入ってきたのが和哉と気付き、一瞬口篭ってしまった。
「ゴメン、来ちゃった」
和哉は笑いながら肩を竦めた。
「もうすぐ終わるよ。あと10分ぐらい」
「待ってる。あ、今日章ちゃんは? いないの?」
「今日は休み。何か用があった?」
「ううん、聞いただけ。本、読んでてもいい?」
本?
あぁ、立ち読みしたいってことね。店的にはあんまり嬉しくないけど、まぁいっか。
でも俺が『いいよ』って言うより先に、
「あ、でもアイス買おー」
言うが早いか、和哉はアイスのショーケースに張り付いていた。
「え? このあとメシ食うのに、先にアイス食うの?」
思わず苦笑い。
でも和哉はショーケースを覗き込みながら、迷ってウンウン唸ってる。
決まった? 俺、もう上がっちゃうよ? 交替のバイトさん来たし。おーい、和哉。
「これ!」
お気に召したアイスが見つかったのか、和哉が1つ取り出してレジのほうにやって来た。いつもどおりの手順で俺がレジをしてると、なぜか和哉がクスクス笑ってる。
「ん? 何?」
思わず俺も笑っちゃう。
だって、レジしてるだけなのに、何で俺、笑われてんの?
「何か、大樹が仕事してるーって思って。変なのー」
「何でだよ。はい、100円になりまーす」
「クフフ…はい」
まだ笑いながら、和哉が100円玉を差し出してきた。
「ッ、」
それを受け取ろうとした瞬間、和哉と手が触れて、思わずドキッとなった。
別に、手くらい。
手を繋いで歩いたことがあるわけじゃないけど、何気なく手とか、体とかに触れたこと、何度もある。なのに、何で今さらドキ?
乙女か、俺は。
「じゃあ、外で待ってるね」
アイスとレシートを受け取った和哉が店を出て行って、俺はホッと息をつく。
今さら、緊張することじゃないのに。
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