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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (26)
2010.08.29 Sun
「てか、これさぁ、全部1か所で買えんの? 何か所も回んの、面倒じゃない? 時間掛かるし」
泰我から渡されたメモを見ながら、瑛貴は思う。
せっかく2人で来たのだから、手分けをしたほうが早く終わりそう。それに何より、泰我と仲良く一緒にお買い物、という気分ではない。
「あー…時間ねぇし、別々に行くか」
買い出しリストを半分に分けて、とりあえず別行動ということで。
この後はJADEに戻らなければならないのだから、特に待ち合わせはせず、それぞれ店に戻ることにして、2人は別れた。
「もぉー、綾斗さんも綾斗さんだけど、泰我くんだって人のこと言えないよね」
たまたまバックルームにいた瑛貴を、無理矢理買い出し仲間にさせるあたり、泰我だって十分人使いが荒いと思う。
そしてそれと同時に思うのが、自分のお人好しさ加減だ。何だかんだ言いながらも、結局断り切れていない。
「はぅ…」
結局、メールどころではなくなってしまった瑛貴は、肩を落としつつ目的の店へと向かった。
さっさと買い物して、もう1度メールの文章を考えよう。
(てか、普通に「遊ぼ」とかのメールでいいじゃん)
依織が腕を組んで歩いていたのが真夕子だったら、瑛貴にとっても大問題だが、相手は瑛貴の知らない人物なのだ。これ以上、深入りする必要なんてない。
そんなことを聞くんじゃなくて、友だちとして普通に遊びに誘うようなメールでいいのだ。
(でも…)
誘ったからには、依織と遊ばなければならないのだろう。
いや別に遊びたくないわけではないし、依織と一緒にいるのは楽しいからいいんだけれど、有華や真美に彼女だと勘違いされているから、何となく依織に会いづらい。
かといって、女装して来ないでと言うのは、好きでその格好をしている依織を全否定しているようにも思えるし。
「あ゛ー…こんなことなら、依織は男だって言っとけばよかった…」
今さら嘆いても遅いが、せめて依織が彼女ではないことだけは、ちゃんと説明しておけばよかった。
有華の中で依織は、瑛貴の彼女であり、しかも40代後半の男と浮気中ということになってしまっていて、今さら本当のことを言ったところで、何も通用しない気がする。
「あーーーーーー……」
これから仕事だというのに少しも気分が晴れなくて、買い物を終えた瑛貴は、子どものように、その袋をブンブンと前後に揺らす。
どうしたらいいか分かんない~~~~~と乱暴に手を動かす瑛貴は、はっきり言って、これが人に頼まれた買い物だということを、すっかり忘れている。
そして、周囲に人がいるということも、ことごとく忘れている。
「あーもうっうわっ!」
「わっ!?」
ブンッ! と瑛貴が袋を大きく前に振り上げたタイミングと、路地から人が出てくるタイミングは、まさしく同じだった。
つまりそれは、瑛貴の振り上げた買い物袋が、その人に直撃するということで。
あぁもう。
ついていない気分のときは、得てして、よくないことが重なるものなのだ。
「すいません、すいませんっ! ――――て、え、依織…」
「あ…」
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泰我から渡されたメモを見ながら、瑛貴は思う。
せっかく2人で来たのだから、手分けをしたほうが早く終わりそう。それに何より、泰我と仲良く一緒にお買い物、という気分ではない。
「あー…時間ねぇし、別々に行くか」
買い出しリストを半分に分けて、とりあえず別行動ということで。
この後はJADEに戻らなければならないのだから、特に待ち合わせはせず、それぞれ店に戻ることにして、2人は別れた。
「もぉー、綾斗さんも綾斗さんだけど、泰我くんだって人のこと言えないよね」
たまたまバックルームにいた瑛貴を、無理矢理買い出し仲間にさせるあたり、泰我だって十分人使いが荒いと思う。
そしてそれと同時に思うのが、自分のお人好しさ加減だ。何だかんだ言いながらも、結局断り切れていない。
「はぅ…」
結局、メールどころではなくなってしまった瑛貴は、肩を落としつつ目的の店へと向かった。
さっさと買い物して、もう1度メールの文章を考えよう。
(てか、普通に「遊ぼ」とかのメールでいいじゃん)
依織が腕を組んで歩いていたのが真夕子だったら、瑛貴にとっても大問題だが、相手は瑛貴の知らない人物なのだ。これ以上、深入りする必要なんてない。
そんなことを聞くんじゃなくて、友だちとして普通に遊びに誘うようなメールでいいのだ。
(でも…)
誘ったからには、依織と遊ばなければならないのだろう。
いや別に遊びたくないわけではないし、依織と一緒にいるのは楽しいからいいんだけれど、有華や真美に彼女だと勘違いされているから、何となく依織に会いづらい。
かといって、女装して来ないでと言うのは、好きでその格好をしている依織を全否定しているようにも思えるし。
「あ゛ー…こんなことなら、依織は男だって言っとけばよかった…」
今さら嘆いても遅いが、せめて依織が彼女ではないことだけは、ちゃんと説明しておけばよかった。
有華の中で依織は、瑛貴の彼女であり、しかも40代後半の男と浮気中ということになってしまっていて、今さら本当のことを言ったところで、何も通用しない気がする。
「あーーーーーー……」
これから仕事だというのに少しも気分が晴れなくて、買い物を終えた瑛貴は、子どものように、その袋をブンブンと前後に揺らす。
どうしたらいいか分かんない~~~~~と乱暴に手を動かす瑛貴は、はっきり言って、これが人に頼まれた買い物だということを、すっかり忘れている。
そして、周囲に人がいるということも、ことごとく忘れている。
「あーもうっうわっ!」
「わっ!?」
ブンッ! と瑛貴が袋を大きく前に振り上げたタイミングと、路地から人が出てくるタイミングは、まさしく同じだった。
つまりそれは、瑛貴の振り上げた買い物袋が、その人に直撃するということで。
あぁもう。
ついていない気分のときは、得てして、よくないことが重なるものなのだ。
「すいません、すいませんっ! ――――て、え、依織…」
「あ…」
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