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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (2)
2010.08.05 Thu
(…ん?)
街が夜の賑わいを見せる少し前、開店準備を始めるホストクラブやキャバクラ、性風俗店などの従業員が溢れ始めている中、瑛貴は男2人に囲まれている女の子を見つけた。
ナンパか、しかし男のほうは見るからにこの業界の人間そうだから、恐らく彼女はキャッチに引っ掛かってしまったのだろう、よく見かける光景だ。
瑛貴と同じくらいの年格好だが、けれどあの子、この街で働くにはちょっと地味かなぁ、でもお客さんだとしてもちょっと雰囲気違う? と、人のことを言えない外見の瑛貴は、そんなことを思う。
(あー…)
結局断り切れなかったのか、彼女は困り顔で、男たちに連れて行かれそうになっている。
しかも、空店舗になっている店の脇の路地に行こうとしているあたり、男たちは人目に付かないよう狙っているのだろう。
(俺、開店準備、しないとだしなー…)
面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ。ロクなことがない。
かわいそうだけれど、自分のことは自分で何とかするのがこの街の流儀だ。下手に係わってとばっちりを食いたくはないし、ここは見なかったことにして、さっさと店に行こう。
「…………」
気付かない振りで路地を通り過ぎた瑛貴は、しかしすぐに足を止めた。
ただそこがちょうど営業中のイメクラの前だったので、慌てて視線を逸らす。
(いやだから、そういうことじゃなくて…)
瑛貴はクルリと回れ右をすると、イメクラの客引きに声を掛けられる前に、路地まで戻った。
彼女はまだ男たちと一緒で、「やっぱり帰ります」なんて声が聞こえる。
「えーっと、すいません…」
結局瑛貴は、そんなにも非情な人間にはなれないのだ。
困っている人を助けなかったら、自分が後悔しそう。てか、もしあのまま放っておいて、彼女の人生が狂わされちゃったら、一生夢見が悪い。
お人好しな瑛貴は、全然うまくない声の掛け方で、男2人と女の子の間に入った。
「は? 何か用?」
当然のことながら、男たちは「何だ?」という視線を瑛貴に向ける。
瑛貴にしても、声は掛けてみたものの、何かうまい言い分があったわけでもなく、いきなり言葉に詰まってしまった。
「ボク、社会科見学かなー?」
「ギャハハハハー」
男の1人がくだらない冗談を飛ばすと、もう1人が頭の悪そうな笑い声を上げる。完全にナメられているし、バカにされている。
確かに、身長170cmの瑛貴は男2人から見下ろされているし、スーツ姿も七五三ぷりを遺憾なく発揮しているし、こんな状況にわざわざ声を掛けてくるなんて、街の事情に詳しくない素人だと思われて仕方がない。
いや俺、今さら見学するまでもなく、この辺のことならよく分かってますけど――――なんて瑛貴が思ったところで、たった今現在の状況がヤバいことには変わりがないわけで。
「あのね、おにーさんたちお仕事中だから、向こう行ってくれるー?」
「それとも一緒に来る? おもしろい遊び、教えてあげるよー」
ニヤニヤと詰め寄られ、瑛貴は半歩ほど後退った。
女の子は困ったように瑛貴を見た。
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街が夜の賑わいを見せる少し前、開店準備を始めるホストクラブやキャバクラ、性風俗店などの従業員が溢れ始めている中、瑛貴は男2人に囲まれている女の子を見つけた。
ナンパか、しかし男のほうは見るからにこの業界の人間そうだから、恐らく彼女はキャッチに引っ掛かってしまったのだろう、よく見かける光景だ。
瑛貴と同じくらいの年格好だが、けれどあの子、この街で働くにはちょっと地味かなぁ、でもお客さんだとしてもちょっと雰囲気違う? と、人のことを言えない外見の瑛貴は、そんなことを思う。
(あー…)
結局断り切れなかったのか、彼女は困り顔で、男たちに連れて行かれそうになっている。
しかも、空店舗になっている店の脇の路地に行こうとしているあたり、男たちは人目に付かないよう狙っているのだろう。
(俺、開店準備、しないとだしなー…)
面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ。ロクなことがない。
かわいそうだけれど、自分のことは自分で何とかするのがこの街の流儀だ。下手に係わってとばっちりを食いたくはないし、ここは見なかったことにして、さっさと店に行こう。
「…………」
気付かない振りで路地を通り過ぎた瑛貴は、しかしすぐに足を止めた。
ただそこがちょうど営業中のイメクラの前だったので、慌てて視線を逸らす。
(いやだから、そういうことじゃなくて…)
瑛貴はクルリと回れ右をすると、イメクラの客引きに声を掛けられる前に、路地まで戻った。
彼女はまだ男たちと一緒で、「やっぱり帰ります」なんて声が聞こえる。
「えーっと、すいません…」
結局瑛貴は、そんなにも非情な人間にはなれないのだ。
困っている人を助けなかったら、自分が後悔しそう。てか、もしあのまま放っておいて、彼女の人生が狂わされちゃったら、一生夢見が悪い。
お人好しな瑛貴は、全然うまくない声の掛け方で、男2人と女の子の間に入った。
「は? 何か用?」
当然のことながら、男たちは「何だ?」という視線を瑛貴に向ける。
瑛貴にしても、声は掛けてみたものの、何かうまい言い分があったわけでもなく、いきなり言葉に詰まってしまった。
「ボク、社会科見学かなー?」
「ギャハハハハー」
男の1人がくだらない冗談を飛ばすと、もう1人が頭の悪そうな笑い声を上げる。完全にナメられているし、バカにされている。
確かに、身長170cmの瑛貴は男2人から見下ろされているし、スーツ姿も七五三ぷりを遺憾なく発揮しているし、こんな状況にわざわざ声を掛けてくるなんて、街の事情に詳しくない素人だと思われて仕方がない。
いや俺、今さら見学するまでもなく、この辺のことならよく分かってますけど――――なんて瑛貴が思ったところで、たった今現在の状況がヤバいことには変わりがないわけで。
「あのね、おにーさんたちお仕事中だから、向こう行ってくれるー?」
「それとも一緒に来る? おもしろい遊び、教えてあげるよー」
ニヤニヤと詰め寄られ、瑛貴は半歩ほど後退った。
女の子は困ったように瑛貴を見た。
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