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恋の女神は微笑まない (259)
2015.01.31 Sat
南條はタブレットの電源を落として、千尋のほうを見た。
やはりFATEのマネージャーとして、そこは気になるところだろう。しかし千尋が大和と別れたのは事実であり、南條相手に隠すことではないから、千尋は正直に答えた。
「てか南條、俺が大和くんと付き合ってたの、知ってたの? 大和くんから聞いたの?」
「…付き合ってるんだと思ってたけど、一ノ瀬に聞いてもずっとはぐらかされてて…、でもこの間のコンサート……お前が来てたときの、あのときMCで言ってた『大切な人』、千尋のことなのか聞いたら、そうだ、て言うから」
「ふぅん」
「でも、そのときにはもう、別れてたんだろ? だから俺、てっきり一ノ瀬がお前に謝って、縒りを戻すつもりなのかと思ったのに、そうじゃないて言うから、すげぇビックリしたんだよ」
「だよね、俺もビックリした」
千尋は、大和がコンサートで言っていた『大切な人』が自分だと知ったのが昨日で、縒りを戻すつもりがないのを知ったのも昨日で、何もかもが昨日一気に分かったので、よりビックリしたんだけれど、南條も付き合っていたのと別れたのを一遍に聞いて、さぞかし驚いたことだろう。
「けど、別れたっつっても、お前が風邪引いたら心配して駆け付けたり、俺に様子見に行くように言ったりするんだぜ? 一ノ瀬……まだアイツ、お前のこと好きなんじゃねぇの?」
「…かもね。でも大和くん、縒りを戻すつもりはない、て言っちゃってるしね」
「1回言っちゃったから取り消せないだけで、本当は…」
「俺も、大和くんとはお付き合いしたくない、て言っちゃってるしね」
「えっ…」
お互いに、自分の言った言葉をなかったことに出来ないでいるのは、何となく分かっている。
けれど、それでも良しとして、昨日2人は別れたのだ。これでもう、口先だけのことでなく、互いに合意の上の別れとなったのだ。
「俺、ゲイじゃなかったらよかった」
「は? 何だ、いきなり」
千尋の突然の言葉に、南條は怪訝そうな顔をした。
2人は高校来の付き合いで、南條は千尋がゲイだということを昔から知っているけれど、千尋は今までに1度だってそんなことを南條に言ったことがないから、当然の反応かもしれない。
「女だったらよかったとは思わないけど、ゲイじゃなかったらよかった、て思う。そしたら男を好きになんなかったし、大和くんのことも好きになんなかったのに」
「…………好きだったのか? 一ノ瀬のこと」
「好きだった」
千尋は、今までのどの場面よりも、どの相手よりも、素直に、あっさりとそれを認めた。
気持ちに気付いたのが昨日のことで、それまでは自分でも感情があやふやだったから、聞かれても即答できなかったり、曖昧な言い方しか出来なかったりしたのもあるが、やはり相手が南條だからだろう。
「大和くんのこと、『嫌いじゃない』じゃなくて、『好き』だった」
付き合うかどうかということに関しては、いろいろなことがあるから、すぐには『付き合いたい』とは言えないけれど、もう会えないことが、寂しくて堪らない。
まさか今日、こんな形で大和と会っていなかったら、こんな寂しいとかいう感情、もしかしたら芽生えなかったかもしれないけれど、会ってしまった分、優しくされた分、寂しさが募る。
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やはりFATEのマネージャーとして、そこは気になるところだろう。しかし千尋が大和と別れたのは事実であり、南條相手に隠すことではないから、千尋は正直に答えた。
「てか南條、俺が大和くんと付き合ってたの、知ってたの? 大和くんから聞いたの?」
「…付き合ってるんだと思ってたけど、一ノ瀬に聞いてもずっとはぐらかされてて…、でもこの間のコンサート……お前が来てたときの、あのときMCで言ってた『大切な人』、千尋のことなのか聞いたら、そうだ、て言うから」
「ふぅん」
「でも、そのときにはもう、別れてたんだろ? だから俺、てっきり一ノ瀬がお前に謝って、縒りを戻すつもりなのかと思ったのに、そうじゃないて言うから、すげぇビックリしたんだよ」
「だよね、俺もビックリした」
千尋は、大和がコンサートで言っていた『大切な人』が自分だと知ったのが昨日で、縒りを戻すつもりがないのを知ったのも昨日で、何もかもが昨日一気に分かったので、よりビックリしたんだけれど、南條も付き合っていたのと別れたのを一遍に聞いて、さぞかし驚いたことだろう。
「けど、別れたっつっても、お前が風邪引いたら心配して駆け付けたり、俺に様子見に行くように言ったりするんだぜ? 一ノ瀬……まだアイツ、お前のこと好きなんじゃねぇの?」
「…かもね。でも大和くん、縒りを戻すつもりはない、て言っちゃってるしね」
「1回言っちゃったから取り消せないだけで、本当は…」
「俺も、大和くんとはお付き合いしたくない、て言っちゃってるしね」
「えっ…」
お互いに、自分の言った言葉をなかったことに出来ないでいるのは、何となく分かっている。
けれど、それでも良しとして、昨日2人は別れたのだ。これでもう、口先だけのことでなく、互いに合意の上の別れとなったのだ。
「俺、ゲイじゃなかったらよかった」
「は? 何だ、いきなり」
千尋の突然の言葉に、南條は怪訝そうな顔をした。
2人は高校来の付き合いで、南條は千尋がゲイだということを昔から知っているけれど、千尋は今までに1度だってそんなことを南條に言ったことがないから、当然の反応かもしれない。
「女だったらよかったとは思わないけど、ゲイじゃなかったらよかった、て思う。そしたら男を好きになんなかったし、大和くんのことも好きになんなかったのに」
「…………好きだったのか? 一ノ瀬のこと」
「好きだった」
千尋は、今までのどの場面よりも、どの相手よりも、素直に、あっさりとそれを認めた。
気持ちに気付いたのが昨日のことで、それまでは自分でも感情があやふやだったから、聞かれても即答できなかったり、曖昧な言い方しか出来なかったりしたのもあるが、やはり相手が南條だからだろう。
「大和くんのこと、『嫌いじゃない』じゃなくて、『好き』だった」
付き合うかどうかということに関しては、いろいろなことがあるから、すぐには『付き合いたい』とは言えないけれど、もう会えないことが、寂しくて堪らない。
まさか今日、こんな形で大和と会っていなかったら、こんな寂しいとかいう感情、もしかしたら芽生えなかったかもしれないけれど、会ってしまった分、優しくされた分、寂しさが募る。
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