2009年05月
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11月 あったかい期待シタイみたい。 (4)
2009.05.30 Sat
「ショウちゃん、お帰り~」
亮の言葉を気にしたわけではないが、翔真が寮に帰れば、蒼一郎がホッとした表情で出迎えてくれた。
「ただいま。…何か、何も言わないで留守にしててゴメン」
「んーん。でも全然帰って来ないとき、もしかして俺、マジでウザがられてる!? とか思っちゃったけど」
「違うよ、そうじゃない。蒼のこと、ウザいとか思ったことない……ことはないけど、出ていくほどじゃない」
「え、でもウザいって思ったことはあるんだ!?」
ショック! て、大げさなリアクションをする蒼一郎に、思わず吹き出してしまう。
「ショウちゃん、ひどいよぉ~」
「冗談だって」
心配してくれているのは分かるが、亮たちのように深刻に接して来ない蒼一郎の雰囲気が、今の翔真にはちょうどよかった。
「じゃあ俺は、ショウちゃんに心配かけないように、出掛けるときは、ちゃんと言っていくね!」
「何だそれ、小学生か! てか、蒼の行くとこなんて、郁んとこくらいだろ? それこそいちいち言わなくていいよ!」
とんでもないことを言い出す蒼一郎に、ますます笑いが止まらなくなる。
冗談なのは分かるが、本当にそうなったらと思うと、おかしくて仕方がない。さっきまで、ウザいとかウザくないとか、そんな話をしていたのに。
「郁んとこばっかじゃないよ。俺、他にも友だちいるし!」
「威張んな、そんなこと」
「あ…、てかさぁ、俺、真大とちゃんと話したんだ」
「え、何? 何、急に」
くだらない冗談みたいなことを言っていたのに、突然蒼一郎がそんな話を切り出してくるから、翔真は図らずも動揺してしまった。
「友だちとか言ったら、思い出した」
「で? ちゃんと話したって、どういうこと?」
「いや、その……郁と付き合ってるって分かってから、真大と全然話してなくて…」
そういえば、学校で蒼一郎たちを見掛けたときも、そこに真大の姿はなかった。
好きな人に恋人がいると分かって、叶わない思いを抱きつつ、それでもそばにいるなんて、そんなこと出来るはずもない。自然と避けてしまうのだって、無理はなかった。
「そんで、話出来たんだ? よかったじゃん」
「まぁ…うん。すぐに今までどおり、てわけにはいかないけど…。あ、ショウちゃんは、やっぱり真大のこと、苦手?」
「え、俺? 何だよ急に。つーか、何でお前の話って、急ってか、脈絡ないの?」
おそらく蒼一郎の頭の中では、すべてが繋がっているのだろうけど、聞いているほうとしては、次から次に話題が変わっているように思えて仕方ない。
「だって思い付いちゃうんだもん。ねぇ、どうなの?」
「どう、て……別に普通だけど?」
決して得意とは言えないし、出来ることなら関わりたくはないと思うが、今となってはもう、どうでもいいことだ。
普通、というよりは、もうどうでもいいのだ。
「そっか。何かホラ最初、真大って、ショウちゃんにあんな態度だったじゃん? だからショウちゃんも真大のこと敬遠してるかな、て思って」
「そんなことないって」
「俺が言うのも何だけど、…仲よくしてやってね、真大と」
真剣な顔でそう言う蒼一郎に、けれど翔真は、それは聞けない願いだと思った。
別に、今まで誤解から一方的に嫌われていたから、というわけではなくて、嫌われてもまだなお、頭から離れずにいた、あの感覚が堪らなく嫌なのだ。
「…それに、アイツは今も俺のことなんか、大嫌いだよ」
蒼一郎とは仲直りしたと言うが、もともと真大は蒼一郎のことを好きだったのだから、彼のことを恨まずにいよう、幸せを願おうと思えば、それもそう難しくはない。
けれどこちらは出会ったときから嫌われていて、さらに嫌われたのだ。今さら好かれる要素なんて、皆目見当たらない。
「でも、これからはきっと変わるよ、真大だって」
何を根拠に蒼一郎がそんなことを言うのか分からなくて、翔真はそれに返事をしなかった。
亮の言葉を気にしたわけではないが、翔真が寮に帰れば、蒼一郎がホッとした表情で出迎えてくれた。
「ただいま。…何か、何も言わないで留守にしててゴメン」
「んーん。でも全然帰って来ないとき、もしかして俺、マジでウザがられてる!? とか思っちゃったけど」
「違うよ、そうじゃない。蒼のこと、ウザいとか思ったことない……ことはないけど、出ていくほどじゃない」
「え、でもウザいって思ったことはあるんだ!?」
ショック! て、大げさなリアクションをする蒼一郎に、思わず吹き出してしまう。
「ショウちゃん、ひどいよぉ~」
「冗談だって」
心配してくれているのは分かるが、亮たちのように深刻に接して来ない蒼一郎の雰囲気が、今の翔真にはちょうどよかった。
「じゃあ俺は、ショウちゃんに心配かけないように、出掛けるときは、ちゃんと言っていくね!」
「何だそれ、小学生か! てか、蒼の行くとこなんて、郁んとこくらいだろ? それこそいちいち言わなくていいよ!」
とんでもないことを言い出す蒼一郎に、ますます笑いが止まらなくなる。
冗談なのは分かるが、本当にそうなったらと思うと、おかしくて仕方がない。さっきまで、ウザいとかウザくないとか、そんな話をしていたのに。
「郁んとこばっかじゃないよ。俺、他にも友だちいるし!」
「威張んな、そんなこと」
「あ…、てかさぁ、俺、真大とちゃんと話したんだ」
「え、何? 何、急に」
くだらない冗談みたいなことを言っていたのに、突然蒼一郎がそんな話を切り出してくるから、翔真は図らずも動揺してしまった。
「友だちとか言ったら、思い出した」
「で? ちゃんと話したって、どういうこと?」
「いや、その……郁と付き合ってるって分かってから、真大と全然話してなくて…」
そういえば、学校で蒼一郎たちを見掛けたときも、そこに真大の姿はなかった。
好きな人に恋人がいると分かって、叶わない思いを抱きつつ、それでもそばにいるなんて、そんなこと出来るはずもない。自然と避けてしまうのだって、無理はなかった。
「そんで、話出来たんだ? よかったじゃん」
「まぁ…うん。すぐに今までどおり、てわけにはいかないけど…。あ、ショウちゃんは、やっぱり真大のこと、苦手?」
「え、俺? 何だよ急に。つーか、何でお前の話って、急ってか、脈絡ないの?」
おそらく蒼一郎の頭の中では、すべてが繋がっているのだろうけど、聞いているほうとしては、次から次に話題が変わっているように思えて仕方ない。
「だって思い付いちゃうんだもん。ねぇ、どうなの?」
「どう、て……別に普通だけど?」
決して得意とは言えないし、出来ることなら関わりたくはないと思うが、今となってはもう、どうでもいいことだ。
普通、というよりは、もうどうでもいいのだ。
「そっか。何かホラ最初、真大って、ショウちゃんにあんな態度だったじゃん? だからショウちゃんも真大のこと敬遠してるかな、て思って」
「そんなことないって」
「俺が言うのも何だけど、…仲よくしてやってね、真大と」
真剣な顔でそう言う蒼一郎に、けれど翔真は、それは聞けない願いだと思った。
別に、今まで誤解から一方的に嫌われていたから、というわけではなくて、嫌われてもまだなお、頭から離れずにいた、あの感覚が堪らなく嫌なのだ。
「…それに、アイツは今も俺のことなんか、大嫌いだよ」
蒼一郎とは仲直りしたと言うが、もともと真大は蒼一郎のことを好きだったのだから、彼のことを恨まずにいよう、幸せを願おうと思えば、それもそう難しくはない。
けれどこちらは出会ったときから嫌われていて、さらに嫌われたのだ。今さら好かれる要素なんて、皆目見当たらない。
「でも、これからはきっと変わるよ、真大だって」
何を根拠に蒼一郎がそんなことを言うのか分からなくて、翔真はそれに返事をしなかった。
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11月 あったかい期待シタイみたい。 (5)
2009.05.31 Sun
「え、帰るの? 泊まってけば?」
事が終わって、ベッドを下りた翔真が帰り支度を始めると、彼女は気だるげにそう言った。
「帰る。明日、学校、朝からだから」
「学校? 高校生?」
「大学生」
彼女は――――アヤは、冗談でなく翔真のことを高校生と思っていたらしく、もう20歳だよ、て言えば、本気で驚いた顔をした。
「俺、そんなに童顔?」
「んー…かわいい顔してる」
屈託ない顔で笑われて、翔真は言い返すのをやめた。
というか、もし翔真が高校生なら、淫行で捕まるのでは?
「アヤさん、いくつ?」
「年上だって分かってんのに、聞かないでよ」
帰ると言う翔真を、それ以上引き止めるつもりもないのか、アヤも床に落ちた服を着始めた。
「ねぇアヤさん、何で俺に声掛けたの?」
支度を終えた翔真は、ノロノロと着替えているアヤの隣に座った。
アヤは、帰るんじゃないの? と視線だけで問い掛ける。
「何で? 逆ナンしたら、俺、簡単に付いてきそうだった?」
「付いてきたじゃん」
「うん。俺ね、女の子に声掛けられたら、付いてくことにしたの」
「軽い男」
「見た目どおりでしょ?」
だからみんな、声掛けるんでしょ?
だから、アンタも声掛けてきたんでしょ?
「あんなトコ、1人で歩いてたら、みんな声掛けるよ」
「バイト帰りだったの。でも確かに俺、バイト帰り、よく声掛けられる」
「じゃあ、家に帰ってる暇ないね」
「……、うん。それで何か、友だちに心配されちゃった」
亮や蒼一郎の顔が、頭の中をチラつく。
蒼一郎には、今日バイトだから、て言って出て来たけれど、また帰らなかったら心配するだろうか。
「優しいね、友だち」
「うん」
着替え終えたアヤは、そばにあったシュシュで髪の毛を1つに束ねた。
「やっぱ、心配されてるうちだよね」
「何が?」
「いくら言っても、心配しても、全然聞かないんじゃ、そのうち誰も何も言ってくれなくなるじゃん? 言ってもしょうがない、て思われるようになったら、終わりだと思うんだよね、私」
「…俺、そのうちそう思われちゃうかな?」
亮も和衣も、そのうち翔真に愛想を尽かしてしまうのだろうか。
今日も帰らない翔真のことを、蒼一郎はそのうち呆れて、心配するのをやめてしまうのだろうか。
想像はつかないけれど、けれどアヤの言い分を間違いだとは思わない。
人の気持ちって、確かにそうだ。
心配しても聞かないと思えば、そんなこと。
「俺ね、ホントは女の子に誘われんの、嫌だったの」
何を言っているのだろう、頭の片隅ではそう思いながらも、翔真はアヤに寄り掛かりながら、話し始めた。
事が終わって、ベッドを下りた翔真が帰り支度を始めると、彼女は気だるげにそう言った。
「帰る。明日、学校、朝からだから」
「学校? 高校生?」
「大学生」
彼女は――――アヤは、冗談でなく翔真のことを高校生と思っていたらしく、もう20歳だよ、て言えば、本気で驚いた顔をした。
「俺、そんなに童顔?」
「んー…かわいい顔してる」
屈託ない顔で笑われて、翔真は言い返すのをやめた。
というか、もし翔真が高校生なら、淫行で捕まるのでは?
「アヤさん、いくつ?」
「年上だって分かってんのに、聞かないでよ」
帰ると言う翔真を、それ以上引き止めるつもりもないのか、アヤも床に落ちた服を着始めた。
「ねぇアヤさん、何で俺に声掛けたの?」
支度を終えた翔真は、ノロノロと着替えているアヤの隣に座った。
アヤは、帰るんじゃないの? と視線だけで問い掛ける。
「何で? 逆ナンしたら、俺、簡単に付いてきそうだった?」
「付いてきたじゃん」
「うん。俺ね、女の子に声掛けられたら、付いてくことにしたの」
「軽い男」
「見た目どおりでしょ?」
だからみんな、声掛けるんでしょ?
だから、アンタも声掛けてきたんでしょ?
「あんなトコ、1人で歩いてたら、みんな声掛けるよ」
「バイト帰りだったの。でも確かに俺、バイト帰り、よく声掛けられる」
「じゃあ、家に帰ってる暇ないね」
「……、うん。それで何か、友だちに心配されちゃった」
亮や蒼一郎の顔が、頭の中をチラつく。
蒼一郎には、今日バイトだから、て言って出て来たけれど、また帰らなかったら心配するだろうか。
「優しいね、友だち」
「うん」
着替え終えたアヤは、そばにあったシュシュで髪の毛を1つに束ねた。
「やっぱ、心配されてるうちだよね」
「何が?」
「いくら言っても、心配しても、全然聞かないんじゃ、そのうち誰も何も言ってくれなくなるじゃん? 言ってもしょうがない、て思われるようになったら、終わりだと思うんだよね、私」
「…俺、そのうちそう思われちゃうかな?」
亮も和衣も、そのうち翔真に愛想を尽かしてしまうのだろうか。
今日も帰らない翔真のことを、蒼一郎はそのうち呆れて、心配するのをやめてしまうのだろうか。
想像はつかないけれど、けれどアヤの言い分を間違いだとは思わない。
人の気持ちって、確かにそうだ。
心配しても聞かないと思えば、そんなこと。
「俺ね、ホントは女の子に誘われんの、嫌だったの」
何を言っているのだろう、頭の片隅ではそう思いながらも、翔真はアヤに寄り掛かりながら、話し始めた。
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