スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
11月 あったかい期待シタイみたい。 (5)
2009.05.31 Sun
「え、帰るの? 泊まってけば?」
事が終わって、ベッドを下りた翔真が帰り支度を始めると、彼女は気だるげにそう言った。
「帰る。明日、学校、朝からだから」
「学校? 高校生?」
「大学生」
彼女は――――アヤは、冗談でなく翔真のことを高校生と思っていたらしく、もう20歳だよ、て言えば、本気で驚いた顔をした。
「俺、そんなに童顔?」
「んー…かわいい顔してる」
屈託ない顔で笑われて、翔真は言い返すのをやめた。
というか、もし翔真が高校生なら、淫行で捕まるのでは?
「アヤさん、いくつ?」
「年上だって分かってんのに、聞かないでよ」
帰ると言う翔真を、それ以上引き止めるつもりもないのか、アヤも床に落ちた服を着始めた。
「ねぇアヤさん、何で俺に声掛けたの?」
支度を終えた翔真は、ノロノロと着替えているアヤの隣に座った。
アヤは、帰るんじゃないの? と視線だけで問い掛ける。
「何で? 逆ナンしたら、俺、簡単に付いてきそうだった?」
「付いてきたじゃん」
「うん。俺ね、女の子に声掛けられたら、付いてくことにしたの」
「軽い男」
「見た目どおりでしょ?」
だからみんな、声掛けるんでしょ?
だから、アンタも声掛けてきたんでしょ?
「あんなトコ、1人で歩いてたら、みんな声掛けるよ」
「バイト帰りだったの。でも確かに俺、バイト帰り、よく声掛けられる」
「じゃあ、家に帰ってる暇ないね」
「……、うん。それで何か、友だちに心配されちゃった」
亮や蒼一郎の顔が、頭の中をチラつく。
蒼一郎には、今日バイトだから、て言って出て来たけれど、また帰らなかったら心配するだろうか。
「優しいね、友だち」
「うん」
着替え終えたアヤは、そばにあったシュシュで髪の毛を1つに束ねた。
「やっぱ、心配されてるうちだよね」
「何が?」
「いくら言っても、心配しても、全然聞かないんじゃ、そのうち誰も何も言ってくれなくなるじゃん? 言ってもしょうがない、て思われるようになったら、終わりだと思うんだよね、私」
「…俺、そのうちそう思われちゃうかな?」
亮も和衣も、そのうち翔真に愛想を尽かしてしまうのだろうか。
今日も帰らない翔真のことを、蒼一郎はそのうち呆れて、心配するのをやめてしまうのだろうか。
想像はつかないけれど、けれどアヤの言い分を間違いだとは思わない。
人の気持ちって、確かにそうだ。
心配しても聞かないと思えば、そんなこと。
「俺ね、ホントは女の子に誘われんの、嫌だったの」
何を言っているのだろう、頭の片隅ではそう思いながらも、翔真はアヤに寄り掛かりながら、話し始めた。
事が終わって、ベッドを下りた翔真が帰り支度を始めると、彼女は気だるげにそう言った。
「帰る。明日、学校、朝からだから」
「学校? 高校生?」
「大学生」
彼女は――――アヤは、冗談でなく翔真のことを高校生と思っていたらしく、もう20歳だよ、て言えば、本気で驚いた顔をした。
「俺、そんなに童顔?」
「んー…かわいい顔してる」
屈託ない顔で笑われて、翔真は言い返すのをやめた。
というか、もし翔真が高校生なら、淫行で捕まるのでは?
「アヤさん、いくつ?」
「年上だって分かってんのに、聞かないでよ」
帰ると言う翔真を、それ以上引き止めるつもりもないのか、アヤも床に落ちた服を着始めた。
「ねぇアヤさん、何で俺に声掛けたの?」
支度を終えた翔真は、ノロノロと着替えているアヤの隣に座った。
アヤは、帰るんじゃないの? と視線だけで問い掛ける。
「何で? 逆ナンしたら、俺、簡単に付いてきそうだった?」
「付いてきたじゃん」
「うん。俺ね、女の子に声掛けられたら、付いてくことにしたの」
「軽い男」
「見た目どおりでしょ?」
だからみんな、声掛けるんでしょ?
だから、アンタも声掛けてきたんでしょ?
「あんなトコ、1人で歩いてたら、みんな声掛けるよ」
「バイト帰りだったの。でも確かに俺、バイト帰り、よく声掛けられる」
「じゃあ、家に帰ってる暇ないね」
「……、うん。それで何か、友だちに心配されちゃった」
亮や蒼一郎の顔が、頭の中をチラつく。
蒼一郎には、今日バイトだから、て言って出て来たけれど、また帰らなかったら心配するだろうか。
「優しいね、友だち」
「うん」
着替え終えたアヤは、そばにあったシュシュで髪の毛を1つに束ねた。
「やっぱ、心配されてるうちだよね」
「何が?」
「いくら言っても、心配しても、全然聞かないんじゃ、そのうち誰も何も言ってくれなくなるじゃん? 言ってもしょうがない、て思われるようになったら、終わりだと思うんだよね、私」
「…俺、そのうちそう思われちゃうかな?」
亮も和衣も、そのうち翔真に愛想を尽かしてしまうのだろうか。
今日も帰らない翔真のことを、蒼一郎はそのうち呆れて、心配するのをやめてしまうのだろうか。
想像はつかないけれど、けれどアヤの言い分を間違いだとは思わない。
人の気持ちって、確かにそうだ。
心配しても聞かないと思えば、そんなこと。
「俺ね、ホントは女の子に誘われんの、嫌だったの」
何を言っているのだろう、頭の片隅ではそう思いながらも、翔真はアヤに寄り掛かりながら、話し始めた。
- 関連記事
-
- 11月 あったかい期待シタイみたい。 (6) (2009/06/01)
- 11月 あったかい期待シタイみたい。 (5) (2009/05/31)
- 11月 あったかい期待シタイみたい。 (4) (2009/05/30)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ アヤさんちょっといいかも♪
その場限りで二度と会わないであろう人だから言える事ってありますよね。
ついポロッと弱音がでちゃったんだろうなぁ。
ひとりで一杯一杯に張り詰めて過ごしてましたもんね、このとろころの翔ちゃんは。
頭ではわかってても、気持ちがそこに追いつかないんですよね>皆からの想い
前コメのりりちゃまの言葉にうんうん頷いちゃいました。
無理して周囲のイメージに合わせなくていいのになぁ。
本当の翔ちゃんの良さを分かってくれてる友達がいる、それを早く素直に認められるようになって欲しいですね。
以前の翔ちゃんのように(*´∀`*)
ついポロッと弱音がでちゃったんだろうなぁ。
ひとりで一杯一杯に張り詰めて過ごしてましたもんね、このとろころの翔ちゃんは。
頭ではわかってても、気持ちがそこに追いつかないんですよね>皆からの想い
前コメのりりちゃまの言葉にうんうん頷いちゃいました。
無理して周囲のイメージに合わせなくていいのになぁ。
本当の翔ちゃんの良さを分かってくれてる友達がいる、それを早く素直に認められるようになって欲しいですね。
以前の翔ちゃんのように(*´∀`*)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
またも女の子登場で、ちょっとヒヤヒヤしてたんですが、気に入っていただけたようで、ちょっとホッ…(*^_^*)
今は友人・知人からの言葉は、シャットアウト中なんで、逆にこういう人からの言葉のほうが、翔ちゃんの中に入っていくのかも。
> 無理して周囲のイメージに合わせなくていいのになぁ。
> 本当の翔ちゃんの良さを分かってくれてる友達がいる、それを早く素直に認められるようになって欲しいですね。
ですね。
変にいい子にならなくても、悪いイメージに合わせなくても、いつもどおりの翔ちゃんでいるのが、一番いいんですが。
コメントありがとうございました!
今は友人・知人からの言葉は、シャットアウト中なんで、逆にこういう人からの言葉のほうが、翔ちゃんの中に入っていくのかも。
> 無理して周囲のイメージに合わせなくていいのになぁ。
> 本当の翔ちゃんの良さを分かってくれてる友達がいる、それを早く素直に認められるようになって欲しいですね。
ですね。
変にいい子にならなくても、悪いイメージに合わせなくても、いつもどおりの翔ちゃんでいるのが、一番いいんですが。
コメントありがとうございました!