スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
12月 手ぶらのぼくにプレゼント強要。 (8)
2009.06.11 Thu
約束のないクリスマスイブ。
翔真はいつもどおりに、バイトに来ていた。普段は女の子のグループが来たり、OLさんやサラリーマンがランチに訪れたりするこの店も、今日ばかりはカップルが占めていた。
『ショウ~あとがとー! マジで助かる!』
彼女の誕生日にバイトがぶつかって、ちゃんと祝ってやれなかったと言うバイト仲間と、今日の勤務を交代してやったときの、あの嬉しそうな顔を思い出す。
カウンター越しに店内を見回せば、どのお客もみんな、幸せそうな表情。
今日は、そういう日なのだ。
やっとクリスマスプレゼントを選んだと言う和衣は、前日からファッションチェックに余念がなかったし、出がけに会った睦月も、両サイドにポンポンの下がったロシア帽と、全体的にほわほわのコーディネイトのかわいい格好だった。
前だったら、そんな友人たちに会って、自分だけバイトなんて状況、心底嫌だったけれど、今は特にそんなふうにも思うことなく、穏やかにいられる。
人が思うイメージに合わせるのはやめて、自分の心のペースで動こうと決めてから、すごく楽になったと思う。
あの日、アヤに言われた、真大とのケジメはまだ付けられてないけれど、いつかそれも出来ると思えるようになったし。
「山口くん、そろそろ上がっていいよ」
「え?」
席待ちの客が一段落したところで店長に声を掛けられ、翔真は首を傾げた。
閉店の時間まではまだあるのに。
「今日、朝から入っててくれたし。もうそろそろ大丈夫そうだから」
「でも…」
確かに、開店準備のときから出勤していた翔真は、バイトとしての勤務時間なら、とうにオーバーしていた。
けれど今日は、閉店までいるつもりだったから、急にそんなこと言われて、戸惑ってしまう。
「いいっすよ、最後までいますよ」
「でも、いつまでも友だち待たせてちゃ悪いだろ? 客足もだいぶ落ち着いたし、もう大丈夫だから、行ってやんな?」
「え? 友だち?」
待ち合わせしている友人なんて、今日はいないはず。
不思議に思って、翔真がキョトンとしていると、入り口のとこでずっと待ってるよ、と店長が教えてくれた。
「寒いから中で待ってろって言ったんだけど、平気だからって」
「え? え?」
わけが分からず、翔真は店長に断って、店の入り口に出てみる。
街はイルミネーション。
この店も派手な装飾はないが、シンプルなリースを飾ったり、今日のお勧めランチを載せる黒板にヒイラギやベルの絵を描いたりした。
「待ってるって、誰が…――――え…」
「…」
「真大…?」
どうして…。
翔真は、その場に立ち竦んだ。
真大もただ、じっと翔真を見据えていた。
冷たい空気。
息が、白い。
「俺のこと待ってたって……お前?」
尋ねれば、真大は少し目を伏せて、頷いた。
「…、ッ…あ、っと、今支度してくるから、ちょっと待ってて!」
翔真は急いで店内に引き返すと、店長や他の従業員に頭を下げて、スタッフルームにった。
頭が混乱している。
どうして真大が?
待っていた?
どうして? どうして?
翔真はいつもどおりに、バイトに来ていた。普段は女の子のグループが来たり、OLさんやサラリーマンがランチに訪れたりするこの店も、今日ばかりはカップルが占めていた。
『ショウ~あとがとー! マジで助かる!』
彼女の誕生日にバイトがぶつかって、ちゃんと祝ってやれなかったと言うバイト仲間と、今日の勤務を交代してやったときの、あの嬉しそうな顔を思い出す。
カウンター越しに店内を見回せば、どのお客もみんな、幸せそうな表情。
今日は、そういう日なのだ。
やっとクリスマスプレゼントを選んだと言う和衣は、前日からファッションチェックに余念がなかったし、出がけに会った睦月も、両サイドにポンポンの下がったロシア帽と、全体的にほわほわのコーディネイトのかわいい格好だった。
前だったら、そんな友人たちに会って、自分だけバイトなんて状況、心底嫌だったけれど、今は特にそんなふうにも思うことなく、穏やかにいられる。
人が思うイメージに合わせるのはやめて、自分の心のペースで動こうと決めてから、すごく楽になったと思う。
あの日、アヤに言われた、真大とのケジメはまだ付けられてないけれど、いつかそれも出来ると思えるようになったし。
「山口くん、そろそろ上がっていいよ」
「え?」
席待ちの客が一段落したところで店長に声を掛けられ、翔真は首を傾げた。
閉店の時間まではまだあるのに。
「今日、朝から入っててくれたし。もうそろそろ大丈夫そうだから」
「でも…」
確かに、開店準備のときから出勤していた翔真は、バイトとしての勤務時間なら、とうにオーバーしていた。
けれど今日は、閉店までいるつもりだったから、急にそんなこと言われて、戸惑ってしまう。
「いいっすよ、最後までいますよ」
「でも、いつまでも友だち待たせてちゃ悪いだろ? 客足もだいぶ落ち着いたし、もう大丈夫だから、行ってやんな?」
「え? 友だち?」
待ち合わせしている友人なんて、今日はいないはず。
不思議に思って、翔真がキョトンとしていると、入り口のとこでずっと待ってるよ、と店長が教えてくれた。
「寒いから中で待ってろって言ったんだけど、平気だからって」
「え? え?」
わけが分からず、翔真は店長に断って、店の入り口に出てみる。
街はイルミネーション。
この店も派手な装飾はないが、シンプルなリースを飾ったり、今日のお勧めランチを載せる黒板にヒイラギやベルの絵を描いたりした。
「待ってるって、誰が…――――え…」
「…」
「真大…?」
どうして…。
翔真は、その場に立ち竦んだ。
真大もただ、じっと翔真を見据えていた。
冷たい空気。
息が、白い。
「俺のこと待ってたって……お前?」
尋ねれば、真大は少し目を伏せて、頷いた。
「…、ッ…あ、っと、今支度してくるから、ちょっと待ってて!」
翔真は急いで店内に引き返すと、店長や他の従業員に頭を下げて、スタッフルームにった。
頭が混乱している。
どうして真大が?
待っていた?
どうして? どうして?
- 関連記事
-
- 12月 手ぶらのぼくにプレゼント強要。 (9) (2009/06/12)
- 12月 手ぶらのぼくにプレゼント強要。 (8) (2009/06/11)
- 12月 手ぶらのぼくにプレゼント強要。 (7) (2009/06/10)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ キャ━━(((≧∀≦)))━━!!!!!
ちょっとちょっとちょっと~~!!!
マヒロたぁぁぁん♪
何なの?どしたの?突撃隣のカフェ訪問?!←そんなのない
寒空の下ジッと、ずっと待ってたの?!
なんじゃそりゃ、可愛いぞーーー!!むはー(;゚∀゚)=3
翔ちゃんの驚きぶりが目に浮かびますね♪
そして翔ちゃん、少しは楽になれてたのですね!?良かった~。
やっぱりアヤさんイイ人だった、あの出会いは大きかったですね(*´∀`*)
翔ちゃんの中での大きな変化が嬉しいなぁ。周りがどうのじゃなく自分。
簡単そうで難しいけれど、それって大切な事ですよね。
あ~~続きが待ち遠しい!!
マヒロたぁぁぁん♪
何なの?どしたの?突撃隣のカフェ訪問?!←そんなのない
寒空の下ジッと、ずっと待ってたの?!
なんじゃそりゃ、可愛いぞーーー!!むはー(;゚∀゚)=3
翔ちゃんの驚きぶりが目に浮かびますね♪
そして翔ちゃん、少しは楽になれてたのですね!?良かった~。
やっぱりアヤさんイイ人だった、あの出会いは大きかったですね(*´∀`*)
翔ちゃんの中での大きな変化が嬉しいなぁ。周りがどうのじゃなく自分。
簡単そうで難しいけれど、それって大切な事ですよね。
あ~~続きが待ち遠しい!!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
聖なる夜ですからね。
いい加減素直になってもらわないと!
翔ちゃんはアヤさんから、真大タンはカズちゃんから、心に響く言葉を貰いましたからね。
> 寒空の下ジッと、ずっと待ってたの?!
> なんじゃそりゃ、可愛いぞーーー!!むはー(;゚∀゚)=3
ちょっと柄にもない感じ?
聖なる夜のマジック、て感じで。
> 翔ちゃんの中での大きな変化が嬉しいなぁ。周りがどうのじゃなく自分。
> 簡単そうで難しいけれど、それって大切な事ですよね。
やっぱりヤサグレ翔ちゃんよりも、こっちのほうがいいですよね。
簡単そうで難しいけれど、これを乗り越えて、前よりも強くなったと思います。
コメントありがとうございました!
いい加減素直になってもらわないと!
翔ちゃんはアヤさんから、真大タンはカズちゃんから、心に響く言葉を貰いましたからね。
> 寒空の下ジッと、ずっと待ってたの?!
> なんじゃそりゃ、可愛いぞーーー!!むはー(;゚∀゚)=3
ちょっと柄にもない感じ?
聖なる夜のマジック、て感じで。
> 翔ちゃんの中での大きな変化が嬉しいなぁ。周りがどうのじゃなく自分。
> 簡単そうで難しいけれど、それって大切な事ですよね。
やっぱりヤサグレ翔ちゃんよりも、こっちのほうがいいですよね。
簡単そうで難しいけれど、これを乗り越えて、前よりも強くなったと思います。
コメントありがとうございました!