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6月 離れて歩くずぶ濡れ相合傘。 (8)
2009.04.02 Thu
夢の中、睦月が助けを求めた相手は、祐介だった。
睦月の厭わしい過去。
あのときの情景がそのまま夢に現れるのなら、いつだって睦月にとってヒーローは祐介だろうけど、どうして今も、それが自分にはならないのだろうと、亮は思う。
一緒にいた時間の長さでは祐介に敵わないけれど、でも今、睦月のことを支えているのは、支えられるのは、自分だけのはず。
そう思いたい。
けれど翔真には、睦月を置いて、サッカーなんか見に行くからだよ、て責められた。
睦月が翔真と出掛けようとしたのを、最初に引き留めたのは自分なのに、結局その睦月を置いて、別のヤツと出掛けてしまった。
天気の悪い夜ならいつもで、睦月がこんなふうにうなされたり怯えたりするわけではない。
こちらの心配をよそに、いつもどおり普通であるときのほうが多いのに、今日に限ってこうなってしまったのは、やはり自分が睦月を置いて出掛けてしまったからなのだろうか。
(でも、こないだ俺がショウと出掛けた日は、何ともなかったのに…)
難しいことを考えるのは苦手だから、すぐ思考に詰まってしまう。
「亮…」
「ん?」
まだ雨音の強い窓の外に怯えて、睦月は亮のベッドに潜り込んでいた。
腕の中の睦月は、無言のまま微動だにしていなかったから、てっきり寝てしまったのだろうと思っていたが、どうやら起きていたらしく、ジッと亮を見ていた。
「どうした? 寝てなかったの?」
「眠れない」
「疲れてんだろ? 目閉じてたら眠くなるよ」
「…今日、絶叫マシン、15回も乗ったの。亮も乗せたかった」
「いや、それだけは遠慮しとくし」
「グフフ。ねぇ、亮。俺が眠れるように、子守唄でも歌ってよ」
「バカなこと言ってんなよ」
枕もとの照明だけが点いた、明かりの乏しい部屋。
なぜか知らないが、自然と声も小さくなって、ボソボソと会話が続く。
「…睦月はさぁ」
「ぅん?」
「やっぱり祐介がカズと付き合ってんのは、……寂しい?」
「何それ」
少し身じろいだ睦月を、もう1度腕の中に閉じ込める。
亮の言葉の意味を、本気で分かっていないのか、追及されたくなくて空惚けているのか、睦月は「分からない」とでも言うふうに、亮の顔を見ている。
「睦月」
「ん?」
「好き」
「、ッ…、し、知ってるし!」
不意を突く告白に、思わず睦月の声が大きくなる。
暗いからきっと分からないだろうけど、顔が熱い、赤い。
「ホントに……好きだから、さ」
「だから知ってるって!」
「…そっか」
亮は睦月を抱き締め、頬に口付ける。
羽根のようなキス、なんて、まるで文学的表現が当てはまるような、そんな軽いキス。
もう寝よう、とでも言うように、そっと睦月の髪を撫でた亮は、目を閉じる。
「…………、好きだよ俺も」
「えっ」
何て言った!? て、亮が聞き返す隙も与えず、睦月の唇が、亮のそれを塞ぐ。
重なった唇に驚いて亮が目を開ければ、同じように目を開けていた睦月と視線がぶつかった。
「好き、だってば…」
唇が触れたまま、まるで吐息だけで、睦月が囁く。
「亮が好きだよ…」
だから、もう祐介が助けてくれないんだとしても、亮がいるなら大丈夫だよ。
ホントだよ。
「…うん」
睦月の厭わしい過去。
あのときの情景がそのまま夢に現れるのなら、いつだって睦月にとってヒーローは祐介だろうけど、どうして今も、それが自分にはならないのだろうと、亮は思う。
一緒にいた時間の長さでは祐介に敵わないけれど、でも今、睦月のことを支えているのは、支えられるのは、自分だけのはず。
そう思いたい。
けれど翔真には、睦月を置いて、サッカーなんか見に行くからだよ、て責められた。
睦月が翔真と出掛けようとしたのを、最初に引き留めたのは自分なのに、結局その睦月を置いて、別のヤツと出掛けてしまった。
天気の悪い夜ならいつもで、睦月がこんなふうにうなされたり怯えたりするわけではない。
こちらの心配をよそに、いつもどおり普通であるときのほうが多いのに、今日に限ってこうなってしまったのは、やはり自分が睦月を置いて出掛けてしまったからなのだろうか。
(でも、こないだ俺がショウと出掛けた日は、何ともなかったのに…)
難しいことを考えるのは苦手だから、すぐ思考に詰まってしまう。
「亮…」
「ん?」
まだ雨音の強い窓の外に怯えて、睦月は亮のベッドに潜り込んでいた。
腕の中の睦月は、無言のまま微動だにしていなかったから、てっきり寝てしまったのだろうと思っていたが、どうやら起きていたらしく、ジッと亮を見ていた。
「どうした? 寝てなかったの?」
「眠れない」
「疲れてんだろ? 目閉じてたら眠くなるよ」
「…今日、絶叫マシン、15回も乗ったの。亮も乗せたかった」
「いや、それだけは遠慮しとくし」
「グフフ。ねぇ、亮。俺が眠れるように、子守唄でも歌ってよ」
「バカなこと言ってんなよ」
枕もとの照明だけが点いた、明かりの乏しい部屋。
なぜか知らないが、自然と声も小さくなって、ボソボソと会話が続く。
「…睦月はさぁ」
「ぅん?」
「やっぱり祐介がカズと付き合ってんのは、……寂しい?」
「何それ」
少し身じろいだ睦月を、もう1度腕の中に閉じ込める。
亮の言葉の意味を、本気で分かっていないのか、追及されたくなくて空惚けているのか、睦月は「分からない」とでも言うふうに、亮の顔を見ている。
「睦月」
「ん?」
「好き」
「、ッ…、し、知ってるし!」
不意を突く告白に、思わず睦月の声が大きくなる。
暗いからきっと分からないだろうけど、顔が熱い、赤い。
「ホントに……好きだから、さ」
「だから知ってるって!」
「…そっか」
亮は睦月を抱き締め、頬に口付ける。
羽根のようなキス、なんて、まるで文学的表現が当てはまるような、そんな軽いキス。
もう寝よう、とでも言うように、そっと睦月の髪を撫でた亮は、目を閉じる。
「…………、好きだよ俺も」
「えっ」
何て言った!? て、亮が聞き返す隙も与えず、睦月の唇が、亮のそれを塞ぐ。
重なった唇に驚いて亮が目を開ければ、同じように目を開けていた睦月と視線がぶつかった。
「好き、だってば…」
唇が触れたまま、まるで吐息だけで、睦月が囁く。
「亮が好きだよ…」
だから、もう祐介が助けてくれないんだとしても、亮がいるなら大丈夫だよ。
ホントだよ。
「…うん」
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柚子季杏 ⇒ ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
むっちゃんからの「好き」&ちゅ~~!!!
ヤバイっす…ウルウル来てしまいました!
>でも、こないだ俺がショウと出掛けた日は、何ともなかったのに…
むっちゃんの中でも翔ちゃんはちゃんと亮にとって大事な幼馴染(自分にとってのゆっちと同じように)という認識があるからこそですよね。
マヒロちゃんみたいにポッと出てきて、懐いてるって、無意識のうちに不安が表れちゃったんだろうなぁ~。
みんなそれぞれに、青春ですねぇ~ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
ヤバイっす…ウルウル来てしまいました!
>でも、こないだ俺がショウと出掛けた日は、何ともなかったのに…
むっちゃんの中でも翔ちゃんはちゃんと亮にとって大事な幼馴染(自分にとってのゆっちと同じように)という認識があるからこそですよね。
マヒロちゃんみたいにポッと出てきて、懐いてるって、無意識のうちに不安が表れちゃったんだろうなぁ~。
みんなそれぞれに、青春ですねぇ~ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> むっちゃんからの「好き」&ちゅ~~!!!
> ヤバイっす…ウルウル来てしまいました!
まだ、面と向かって素直に好きと言えないむっちゃん。
ほんのちょこっとだけ、素直にさせてみました(*^_^*)
…にしても、亮タンももうちょっと頑張って考えてくれよ…とか、書いてて思ってましたが(^_^;)
翔ちゃんと真大タンじゃ、全然違うでしょ~、て。
> みんなそれぞれに、青春ですねぇ~ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
私、何か相当、青春大好きみたいです。
このお話書いてて、つくづく実感しました(笑)
コメントありがとうございました!
> ヤバイっす…ウルウル来てしまいました!
まだ、面と向かって素直に好きと言えないむっちゃん。
ほんのちょこっとだけ、素直にさせてみました(*^_^*)
…にしても、亮タンももうちょっと頑張って考えてくれよ…とか、書いてて思ってましたが(^_^;)
翔ちゃんと真大タンじゃ、全然違うでしょ~、て。
> みんなそれぞれに、青春ですねぇ~ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
私、何か相当、青春大好きみたいです。
このお話書いてて、つくづく実感しました(笑)
コメントありがとうございました!