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二月 原点はチョコレートじゃない (2)
2009.02.11 Wed
2月13日。
あの日以来、和衣が何も言って来なかったから、てっきり諦めたものだとばかり思っていた睦月は、バイトが終わるとそのまま和衣に腕を引かれて、各種テナントのたくさん入ったデパートへと連れて行かれた。
「カズちゃん、諦めてなかったんだ…」
ポツリ呟いてみても、フロアの各店舗で売り出しているチョコレートに目を奪われている和衣には届かない。
さすがにバレンタイン前日ということだけあって、チョコレート専門店や、お手ごろ価格のチョコを種々に置いてある雑貨店は、レジに女の子の行列が出来ている。
まさかこの中に混じって、チョコを買う気なのだろうか。
睦月は、血の気が引くのを感じた。
だいたい2人とも、亮や翔真と違って体格も小さいし、男らしい精悍な顔立ちをしているとは言えないが、女の子にだって見えない。
特に睦月は、女の子に間違われるのが屈辱なので、出来るだけそう見えない格好をしているわけで、あからさまに男の2人組がバレンタインのチョコ売り場にやって来ているこの状態。
現に、和衣が店頭に並ぶかわいらしいチョコの包みを見入っているだけで、周囲に女の子たちが奇異な視線を向けている。
「カズちゃん、ちょっと…!」
睦月は慌てて和衣を引っ張って、店の前から離れた。
「何? どうしたの?」
まるで分かっていない様子の和衣は、キョトンとした顔で睦月を見た後、そばの店に置いてある別のチョコに気を取られている。
「あ、むっちゃん、これかわいくない!?」
「かわいい、かわいいから…」
もうちょっと声、小さくして……という睦月の願いもむなしく、好みの感じのチョコを見付けたらしく、和衣は、キャーッとテンション高く店の中に入っていってしまった。
「ちょっ…カズちゃんっ!」
急いで追い掛ければ、和衣はもうお目当てのチョコを発見したのか、「これにする!」と睦月に見せ付けてきた。
「分かった、分かったからっ…!」
「むっちゃん、どれにする?」
「はぁっ!?」
「これ、よくない?」
「…………」
周りを気にしている自分がバカらしく思えるほど、和衣はニコニコの笑顔で、わざわざ睦月の分のチョコレートをセレクトしてくれた。
「それともこっち? あ、ねぇ、これは?」
あからさまにバレンタイン仕様のチョコを手にしては睦月に見せてくる和衣は、どう見ても、甘いものが好きな男が自分用に買おうとしているのでも、チョコを貰える当てのないモテない男が、見栄を張って買おうとしている姿でもない。
睦月は、男が男を好きだという性癖をおかしいとは思わないし、そんな自分を恥ずかしいとも思わないが、今、周りにいる女の子たちに、ヒソヒソと何か囁かれているこの状況だけは、本気で勘弁願いたいくらい恥ずかしい。
「むっちゃん、どれにする?」
睦月はもう、ダッシュで逃走したいくらい恥ずかしいのに、顔を上げた和衣はもちろんそんなことには気付いていないから、ねぇ、どれにする? どれにする? と、笑顔で睦月の答えを待っている。
「むっちゃん?」
「も…何でもいいから、カズちゃん、レジしてきて…!」
「え?」
「お金、後で払うから…!」
もう無理! と、とうとう睦月は店の中から逃げ出した。
バレンタイン前日ということもあって、(おそらくはばら撒き用の義理)チョコ目当ての女の子で混雑している店内は、当然レジも大行列で、先に店を出た睦月のもとに和衣がやって来たのは、それから20分もしてからだった。
「ゴメン、ゴメン、お待たせ」
店から少し離れたところにあるベンチに、項垂れるようにして座っていた睦月は、その声に頭を上げた。
「はい、これ。むっちゃんの分」
「……ありがと…」
何の恥ずかしげもなく、かわいらしいビニルの袋を2つ持って来た和衣は、その1つを睦月に渡した。
そっと中を覗けば、同じようにかわいいラッピングの施された包みが1つ。
「よかったねー、チョコ見つかって」
「…そうね」
和衣に悪気はこれっぽちもないから、睦月も責めるに責められない。とりあえず代金を和衣に払って、受け取ったチョコの袋をカバンにしまおうとしたが、チョコのほうがカバンよりも若干大きく、なかなか入らない。
「ダメだよむっちゃん、そんなしたら、チョコ壊れちゃう!」
「だってこんなの、手に持ったままなんて恥ずかしいし」
「こんなの、て何!? 大事なチョコでしょ!」
「そういうことじゃなくて!」
何となく突っ込みどころの違う和衣を放っておいて、睦月はその袋をカバンに収めようと、悪戦苦闘している。
まず、かわいらしく店名がデザインされたそのビニル袋は、どう考えたって、男2人で買い物に行く店のものではない。
それに、恥を忍んで(恥ずかしいと思っているのは睦月だけだが)買ったチョコ、ここまで来たら亮に上げないわけにもいかないが、このまま持って帰れば、バレンタインになる前に、チョコを買ってきたのが亮にバレバレだ。
「そうだよね、上げるまで内緒にしておきたいよね」
睦月の適当な言い訳に、単純な和衣はすぐに納得してしまう。
「俺のカバンの中なら入るから、帰るまで入れてってあげるね」
そう言って自分のカバンの中にしまってくれた和衣に、睦月は少なからずホッとした。
あの日以来、和衣が何も言って来なかったから、てっきり諦めたものだとばかり思っていた睦月は、バイトが終わるとそのまま和衣に腕を引かれて、各種テナントのたくさん入ったデパートへと連れて行かれた。
「カズちゃん、諦めてなかったんだ…」
ポツリ呟いてみても、フロアの各店舗で売り出しているチョコレートに目を奪われている和衣には届かない。
さすがにバレンタイン前日ということだけあって、チョコレート専門店や、お手ごろ価格のチョコを種々に置いてある雑貨店は、レジに女の子の行列が出来ている。
まさかこの中に混じって、チョコを買う気なのだろうか。
睦月は、血の気が引くのを感じた。
だいたい2人とも、亮や翔真と違って体格も小さいし、男らしい精悍な顔立ちをしているとは言えないが、女の子にだって見えない。
特に睦月は、女の子に間違われるのが屈辱なので、出来るだけそう見えない格好をしているわけで、あからさまに男の2人組がバレンタインのチョコ売り場にやって来ているこの状態。
現に、和衣が店頭に並ぶかわいらしいチョコの包みを見入っているだけで、周囲に女の子たちが奇異な視線を向けている。
「カズちゃん、ちょっと…!」
睦月は慌てて和衣を引っ張って、店の前から離れた。
「何? どうしたの?」
まるで分かっていない様子の和衣は、キョトンとした顔で睦月を見た後、そばの店に置いてある別のチョコに気を取られている。
「あ、むっちゃん、これかわいくない!?」
「かわいい、かわいいから…」
もうちょっと声、小さくして……という睦月の願いもむなしく、好みの感じのチョコを見付けたらしく、和衣は、キャーッとテンション高く店の中に入っていってしまった。
「ちょっ…カズちゃんっ!」
急いで追い掛ければ、和衣はもうお目当てのチョコを発見したのか、「これにする!」と睦月に見せ付けてきた。
「分かった、分かったからっ…!」
「むっちゃん、どれにする?」
「はぁっ!?」
「これ、よくない?」
「…………」
周りを気にしている自分がバカらしく思えるほど、和衣はニコニコの笑顔で、わざわざ睦月の分のチョコレートをセレクトしてくれた。
「それともこっち? あ、ねぇ、これは?」
あからさまにバレンタイン仕様のチョコを手にしては睦月に見せてくる和衣は、どう見ても、甘いものが好きな男が自分用に買おうとしているのでも、チョコを貰える当てのないモテない男が、見栄を張って買おうとしている姿でもない。
睦月は、男が男を好きだという性癖をおかしいとは思わないし、そんな自分を恥ずかしいとも思わないが、今、周りにいる女の子たちに、ヒソヒソと何か囁かれているこの状況だけは、本気で勘弁願いたいくらい恥ずかしい。
「むっちゃん、どれにする?」
睦月はもう、ダッシュで逃走したいくらい恥ずかしいのに、顔を上げた和衣はもちろんそんなことには気付いていないから、ねぇ、どれにする? どれにする? と、笑顔で睦月の答えを待っている。
「むっちゃん?」
「も…何でもいいから、カズちゃん、レジしてきて…!」
「え?」
「お金、後で払うから…!」
もう無理! と、とうとう睦月は店の中から逃げ出した。
バレンタイン前日ということもあって、(おそらくはばら撒き用の義理)チョコ目当ての女の子で混雑している店内は、当然レジも大行列で、先に店を出た睦月のもとに和衣がやって来たのは、それから20分もしてからだった。
「ゴメン、ゴメン、お待たせ」
店から少し離れたところにあるベンチに、項垂れるようにして座っていた睦月は、その声に頭を上げた。
「はい、これ。むっちゃんの分」
「……ありがと…」
何の恥ずかしげもなく、かわいらしいビニルの袋を2つ持って来た和衣は、その1つを睦月に渡した。
そっと中を覗けば、同じようにかわいいラッピングの施された包みが1つ。
「よかったねー、チョコ見つかって」
「…そうね」
和衣に悪気はこれっぽちもないから、睦月も責めるに責められない。とりあえず代金を和衣に払って、受け取ったチョコの袋をカバンにしまおうとしたが、チョコのほうがカバンよりも若干大きく、なかなか入らない。
「ダメだよむっちゃん、そんなしたら、チョコ壊れちゃう!」
「だってこんなの、手に持ったままなんて恥ずかしいし」
「こんなの、て何!? 大事なチョコでしょ!」
「そういうことじゃなくて!」
何となく突っ込みどころの違う和衣を放っておいて、睦月はその袋をカバンに収めようと、悪戦苦闘している。
まず、かわいらしく店名がデザインされたそのビニル袋は、どう考えたって、男2人で買い物に行く店のものではない。
それに、恥を忍んで(恥ずかしいと思っているのは睦月だけだが)買ったチョコ、ここまで来たら亮に上げないわけにもいかないが、このまま持って帰れば、バレンタインになる前に、チョコを買ってきたのが亮にバレバレだ。
「そうだよね、上げるまで内緒にしておきたいよね」
睦月の適当な言い訳に、単純な和衣はすぐに納得してしまう。
「俺のカバンの中なら入るから、帰るまで入れてってあげるね」
そう言って自分のカバンの中にしまってくれた和衣に、睦月は少なからずホッとした。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ カズちゃん強い!
何気にこのお話の中で最強なのがカズちゃんですよねww
柚子季、自分女でもあの行列に入る根性無いです(爆)
今はネットでも買えるしねww
いやぁ~むっちゃん、ご苦労様でした(´∀`;)
でもでも、亮ちゃん喜ぶね~♪って、どんなチョコなのかな?
柚子季、自分女でもあの行列に入る根性無いです(爆)
今はネットでも買えるしねww
いやぁ~むっちゃん、ご苦労様でした(´∀`;)
でもでも、亮ちゃん喜ぶね~♪って、どんなチョコなのかな?
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
確かにカズちゃん、最強ですよね。
恋する乙女は無敵です♪
> 柚子季、自分女でもあの行列に入る根性無いです(爆)
私の場合、チョコじゃないものを買うつもりで店に入ったら大混雑で、レジの行列に並んだこと、あります~。
ヘトヘトでした…(苦笑)
コメントありがとうございました!
恋する乙女は無敵です♪
> 柚子季、自分女でもあの行列に入る根性無いです(爆)
私の場合、チョコじゃないものを買うつもりで店に入ったら大混雑で、レジの行列に並んだこと、あります~。
ヘトヘトでした…(苦笑)
コメントありがとうございました!