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恋と呼ぶにはまだ早い (6)
2012.12.27 Thu
ryu & yamato
「あ、そういえば水落、コンサートのゲスト席、小野田くんの分どうすんの? どこ来るって?」
次の雑誌の取材現場に向かうのに、琉と大和が車に乗り込んだところで、運転席の南條がルームミラー越しに琉を見た。
今年のFATEのコンサートツアーは、地方からスタートして、全国6都市15公演が予定されており、その最終公演が東京ドームのクリスマス3daysとなっている。
南條としては、遥希が行きたいなら、どの公演でもゲスト席のチケットを用意するつもりだが、大学生の遥希が、地方の公演まで行けるのか分からないので、念のため確認する。
「水落?」
「…いや、ハルちゃんの分はいい…」
「は?」
ハットを深く被った琉の表情は窺えないが、発したその低く暗い声は、まさに彼の心境をそのまま表しているのではないだろうか。
エンジンを掛けた南條は、思わず後ろを振り返った。隣の大和も、マジマジと琉を見つめる。
「え、何で? 小野田くん、ドームは来るんだろ? チケットは? え? は? ケンカでもしたのか?」
一体何事かと、南條は矢継ぎ早に琉に尋ねる。
同じことを思っていた大和は、口を挟む隙がなくて、ただパクパクと口を動かしただけだった。
「ケンカなんかするわけねぇじゃん! 超ラブラブですよー」
「じゃあ何で。コンサート来ないのか?」
「来るって。中日の24日」
腕を組んでリアシートにどっかりと座った琉は、知らない人が見れば、不機嫌以外の何でもないが、南條や大和からすれば、単に拗ねているだけなのが分かる。
とりあえず南條は車を発進させた。
「水落?」
「だってしょうがねぇじゃん! ハルちゃん、ファンクラブので、自分でチケット取っちゃったんだもん!」
「え、マジで?」
琉の発言に驚いて、南條はポカンと口を開け、大和は声を上げて笑い出した。
2人の反応に、琉はおもしろくなさそうにハットを投げ捨て、頭を掻き毟った。
「え、マジで? マジでハルちゃん、自分でチケット取ったの?」
笑いながら大和が、琉の顔を覗き込む。
絶対におもしろがってる!
「そりゃ、今までだってそうしてたんだから、チケットくらい取るだろうよー」
あの遥希の中に、恋人である琉に頼めば、コンサートの席がどうにかなる、なんて発想、絶対にないだろう。
だから今までどおり、自分が行けそうな公演に申し込みをして、ドキドキしながら当落の発表を待って、チケットを獲得したに違いない。
「え、でもさ、ハルちゃんがチケット取ったの、ドームの中日だけなんだろ? 最終日とか呼べばいいじゃん?」
ファンの中には、ツアー中、何度も公演に足を運んでくれる子がいるのは知っている。
遥希に地方が無理でも、東京ドームなら、中日だけでなく来れると思う。
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「あ、そういえば水落、コンサートのゲスト席、小野田くんの分どうすんの? どこ来るって?」
次の雑誌の取材現場に向かうのに、琉と大和が車に乗り込んだところで、運転席の南條がルームミラー越しに琉を見た。
今年のFATEのコンサートツアーは、地方からスタートして、全国6都市15公演が予定されており、その最終公演が東京ドームのクリスマス3daysとなっている。
南條としては、遥希が行きたいなら、どの公演でもゲスト席のチケットを用意するつもりだが、大学生の遥希が、地方の公演まで行けるのか分からないので、念のため確認する。
「水落?」
「…いや、ハルちゃんの分はいい…」
「は?」
ハットを深く被った琉の表情は窺えないが、発したその低く暗い声は、まさに彼の心境をそのまま表しているのではないだろうか。
エンジンを掛けた南條は、思わず後ろを振り返った。隣の大和も、マジマジと琉を見つめる。
「え、何で? 小野田くん、ドームは来るんだろ? チケットは? え? は? ケンカでもしたのか?」
一体何事かと、南條は矢継ぎ早に琉に尋ねる。
同じことを思っていた大和は、口を挟む隙がなくて、ただパクパクと口を動かしただけだった。
「ケンカなんかするわけねぇじゃん! 超ラブラブですよー」
「じゃあ何で。コンサート来ないのか?」
「来るって。中日の24日」
腕を組んでリアシートにどっかりと座った琉は、知らない人が見れば、不機嫌以外の何でもないが、南條や大和からすれば、単に拗ねているだけなのが分かる。
とりあえず南條は車を発進させた。
「水落?」
「だってしょうがねぇじゃん! ハルちゃん、ファンクラブので、自分でチケット取っちゃったんだもん!」
「え、マジで?」
琉の発言に驚いて、南條はポカンと口を開け、大和は声を上げて笑い出した。
2人の反応に、琉はおもしろくなさそうにハットを投げ捨て、頭を掻き毟った。
「え、マジで? マジでハルちゃん、自分でチケット取ったの?」
笑いながら大和が、琉の顔を覗き込む。
絶対におもしろがってる!
「そりゃ、今までだってそうしてたんだから、チケットくらい取るだろうよー」
あの遥希の中に、恋人である琉に頼めば、コンサートの席がどうにかなる、なんて発想、絶対にないだろう。
だから今までどおり、自分が行けそうな公演に申し込みをして、ドキドキしながら当落の発表を待って、チケットを獲得したに違いない。
「え、でもさ、ハルちゃんがチケット取ったの、ドームの中日だけなんだろ? 最終日とか呼べばいいじゃん?」
ファンの中には、ツアー中、何度も公演に足を運んでくれる子がいるのは知っている。
遥希に地方が無理でも、東京ドームなら、中日だけでなく来れると思う。
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