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4. お前の夜は何処にある (後編)
2008.06.23 Mon
「ねぇ、それから俺のこと、哲也って呼んで?」
ニコニコと、倉橋くんがそう提案してきた。
「へ?」
「哲也って。俺、下の名前で呼ばれるほうが好きだから」
「あぁ……そう? 俺も別にさん付けしなくていいよ? どうせ年近いだろ?」
そう言うと、倉橋くん……じゃない、哲也は嬉しそうに「うんっ!」と頷いた。犬みたいだなぁ。
「瀬戸って呼んでいいの? 貴久?」
「…………どっちでもいいけど」
「なら、貴久って呼ぶ!」
…あ、そう。
小学生?
小学生女子?
「あ、」
ポケットの中のケータイが震えたのか、哲也はちょっと俺に頭を下げて電話に出た。
意外にも着信音はバイブなんだ。何かもっとギャルっぽい曲を想像してたのに。
「もしもし? あ、どう? 今晩いい? ホント!? 助かるわぁ。ありがとう。じゃあねー」
妙にキャピキャピ弾んだ声で、哲也が電話を切った。
「へへー。今夜の宿、確保!」
「宿?」
「俺、行く当てないの。ホラ、追ん出されたから」
「あぁ……何、アパートとか借りないの?」
「予算の都合上。今んとこは何とか友達んとこ渡り歩いてるけど……早く何とかしないとなぁ」
哲也は眉を寄せて、肩を竦めた。
コイツ、こういう仕草が何か女っぽいよなぁ。
「ごちそうさまでした」
給食を食べ終わった子供みたいに、しっかりと合掌して、哲也はスプーンと空になった缶を置いた。
「じゃあ、ボク、これでお邪魔しますー」
「え? あぁ、うん。てか、あの大荷物抱えて友達んち、上がり込むんだ…」
玄関まで見送りに来て、そこに置きっ放しになってた、ぎゅうぎゅう詰めのショップバッグを見て、俺は苦笑した。
引っ越しするには少なすぎる荷物やけど、行く当てなしでこれから友達んちに上がり込むには、いくら何でも荷物が多すぎる。狭いアパートだったら、哲也の荷物だけでいっぱいになりそうだ。
「んー……まぁ、少し店に置いてこうかな…」
やっぱり哲也も、荷物が多いことは気にしてるみたいで、少し困ったように笑った。
「じゃあ、お邪魔しました。機会があったら、また今度ー」
小さい体にいっぱいの荷物を抱えて哲也が去っていくのを、俺はなぜかその背中がエレヴェータの中に消えるまで見届けていた。
ニコニコと、倉橋くんがそう提案してきた。
「へ?」
「哲也って。俺、下の名前で呼ばれるほうが好きだから」
「あぁ……そう? 俺も別にさん付けしなくていいよ? どうせ年近いだろ?」
そう言うと、倉橋くん……じゃない、哲也は嬉しそうに「うんっ!」と頷いた。犬みたいだなぁ。
「瀬戸って呼んでいいの? 貴久?」
「…………どっちでもいいけど」
「なら、貴久って呼ぶ!」
…あ、そう。
小学生?
小学生女子?
「あ、」
ポケットの中のケータイが震えたのか、哲也はちょっと俺に頭を下げて電話に出た。
意外にも着信音はバイブなんだ。何かもっとギャルっぽい曲を想像してたのに。
「もしもし? あ、どう? 今晩いい? ホント!? 助かるわぁ。ありがとう。じゃあねー」
妙にキャピキャピ弾んだ声で、哲也が電話を切った。
「へへー。今夜の宿、確保!」
「宿?」
「俺、行く当てないの。ホラ、追ん出されたから」
「あぁ……何、アパートとか借りないの?」
「予算の都合上。今んとこは何とか友達んとこ渡り歩いてるけど……早く何とかしないとなぁ」
哲也は眉を寄せて、肩を竦めた。
コイツ、こういう仕草が何か女っぽいよなぁ。
「ごちそうさまでした」
給食を食べ終わった子供みたいに、しっかりと合掌して、哲也はスプーンと空になった缶を置いた。
「じゃあ、ボク、これでお邪魔しますー」
「え? あぁ、うん。てか、あの大荷物抱えて友達んち、上がり込むんだ…」
玄関まで見送りに来て、そこに置きっ放しになってた、ぎゅうぎゅう詰めのショップバッグを見て、俺は苦笑した。
引っ越しするには少なすぎる荷物やけど、行く当てなしでこれから友達んちに上がり込むには、いくら何でも荷物が多すぎる。狭いアパートだったら、哲也の荷物だけでいっぱいになりそうだ。
「んー……まぁ、少し店に置いてこうかな…」
やっぱり哲也も、荷物が多いことは気にしてるみたいで、少し困ったように笑った。
「じゃあ、お邪魔しました。機会があったら、また今度ー」
小さい体にいっぱいの荷物を抱えて哲也が去っていくのを、俺はなぜかその背中がエレヴェータの中に消えるまで見届けていた。
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遊びにきました。
いつ見ても良いブログですよね。
やっぱブログって時間かかって更新とか面倒臭い時もあるけど楽しいですよね^^
私は楽しんでやってます。
もし、良かったら私のブログも見てくださいね。
また遊びにきますね。
ではでは今後とも宜しくお願いします。
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