スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
暴君王子のおっしゃることには! (162)
2012.10.10 Wed
「ねぇねぇ、どうなの? 航平くん」
「何だよ。お前また俺に、侑仁の家に行きたいからメールしろとか言うんじゃねぇだろうな?」
「言わない言わない、絶対言わない。侑仁の家には行きたいけど、航平くんとは絶対に一緒に行きたくない」
「おい、そこまで言うな」
そんな面倒くさいこと(しかも、いろいろと、後々まで面倒くさい)、頼まれたくはないし、航平だって一伽と一緒に侑仁の家には行きたくないが、そこまで言われたくもない。
「で、どうなの? メール来る?」
「あー…いや、来てないかな。何か仕事忙しいみたいだし」
「侑仁、仕事忙しいの?」
「お前みたいに嘘ついてるんじゃなかったらな」
「むぅ…」
余計なところで引き合いに出されておもしろくないが、家に帰らなかった理由を、仕事が忙しいせいだと嘘をついたのは紛れもなく自分なので、何も言い返せない。
でもまぁ、侑仁が親友である航平にそんな嘘をつくわけもないか…。いやでも一伽は、雪乃にそういう嘘をついちゃったし、絶対あり得ないとも言い切れない…。
「おい、そんなんで落ち込むなよ。冗談じゃんか」
「別に落ち込んでないし…」
いや、凹んではいるけど。
もしこれで、侑仁が本当は仕事でなくて、何か他のことで……例えば女の子とか、でもそれは一伽だって人のこと言えないし、でも。でもでも。
「気になるなら、お前も連絡したらいいだろ。侑仁のこと信じるか信じないかは、お前次第なんだし」
「…だよね」
どうせダメ元の恋だ。
やれるだけのことはやっておこう。
航平に別れを告げて店を出た一伽は、侑仁にメールをしようと携帯電話を取り出したが、受信トレイを開いたら、女の子からのメールばかりだったので焦った。
本当にここ最近、女の子と連絡を取りまくっていたのだと、今さらながらに思い知って、一伽は慌ててそのメールを全部削除した。
でも…、メールをするにしたって、一体何と送ったらいいものかと、手が止まる。
仕事が忙しいことを航平から聞いている以上、やはり、それに触れておいたほうがいい気はするが、忙しいのが分かっているのに、メールをするのも…。
ならいっそ、知らないふりで、メールをしたほうが?
今まで侑仁に送ったメールといえば、これから侑仁の家に行く、という報告メールばかりだったから、くだらないことかもしれないが、それ以外に、一体どんなメールをしたらいいか、正直悩む。
今だって、侑仁の家に行きたいと思っているのだから、そういうメールをすればいいんだろうけど…。
「ぅん~…電話、のほうが…?」
グズグズ悩むのは性に合わないし、時間ももったいないから…と、一伽は思い切って侑仁に電話してみた。
でも、1度目のコールを聞いた瞬間、電話だとしても、一体何を話せばいいのか分からないのは同じだということに、ふと気付いてしまった。侑仁に連絡をする以上、電話でもメールでも、それは同じことなのに。
(あ、あ~…やっぱ電話なんて、やめとけばよかったかな。そういえば今まで侑仁に電話なんかしたことなかったよね? なのに何で急に電話なんて…! でも着信残るし、今さら切るのも…!)
肝心なところで詰めが甘いというか、考えなしというか、一伽は気付きたくもない自分に、今こんな状況で気付いてしまった。
何度かコールしているが、侑仁は出ない。なかなか出ないことを理由に、電話を切ってしまおう。うん、それがいい――――と、一伽が1人で焦って、1人で納得した瞬間だった。
『――――もしもし?』
「ッ、ン、あ!?」
もう電話を切ろう…と、一伽が耳元から携帯電話を離し掛けたタイミングで、侑仁の声が一伽の耳に届いたので、慌てた一伽は言葉が詰まって、うまく返事が出来なかった。
back next
「何だよ。お前また俺に、侑仁の家に行きたいからメールしろとか言うんじゃねぇだろうな?」
「言わない言わない、絶対言わない。侑仁の家には行きたいけど、航平くんとは絶対に一緒に行きたくない」
「おい、そこまで言うな」
そんな面倒くさいこと(しかも、いろいろと、後々まで面倒くさい)、頼まれたくはないし、航平だって一伽と一緒に侑仁の家には行きたくないが、そこまで言われたくもない。
「で、どうなの? メール来る?」
「あー…いや、来てないかな。何か仕事忙しいみたいだし」
「侑仁、仕事忙しいの?」
「お前みたいに嘘ついてるんじゃなかったらな」
「むぅ…」
余計なところで引き合いに出されておもしろくないが、家に帰らなかった理由を、仕事が忙しいせいだと嘘をついたのは紛れもなく自分なので、何も言い返せない。
でもまぁ、侑仁が親友である航平にそんな嘘をつくわけもないか…。いやでも一伽は、雪乃にそういう嘘をついちゃったし、絶対あり得ないとも言い切れない…。
「おい、そんなんで落ち込むなよ。冗談じゃんか」
「別に落ち込んでないし…」
いや、凹んではいるけど。
もしこれで、侑仁が本当は仕事でなくて、何か他のことで……例えば女の子とか、でもそれは一伽だって人のこと言えないし、でも。でもでも。
「気になるなら、お前も連絡したらいいだろ。侑仁のこと信じるか信じないかは、お前次第なんだし」
「…だよね」
どうせダメ元の恋だ。
やれるだけのことはやっておこう。
航平に別れを告げて店を出た一伽は、侑仁にメールをしようと携帯電話を取り出したが、受信トレイを開いたら、女の子からのメールばかりだったので焦った。
本当にここ最近、女の子と連絡を取りまくっていたのだと、今さらながらに思い知って、一伽は慌ててそのメールを全部削除した。
でも…、メールをするにしたって、一体何と送ったらいいものかと、手が止まる。
仕事が忙しいことを航平から聞いている以上、やはり、それに触れておいたほうがいい気はするが、忙しいのが分かっているのに、メールをするのも…。
ならいっそ、知らないふりで、メールをしたほうが?
今まで侑仁に送ったメールといえば、これから侑仁の家に行く、という報告メールばかりだったから、くだらないことかもしれないが、それ以外に、一体どんなメールをしたらいいか、正直悩む。
今だって、侑仁の家に行きたいと思っているのだから、そういうメールをすればいいんだろうけど…。
「ぅん~…電話、のほうが…?」
グズグズ悩むのは性に合わないし、時間ももったいないから…と、一伽は思い切って侑仁に電話してみた。
でも、1度目のコールを聞いた瞬間、電話だとしても、一体何を話せばいいのか分からないのは同じだということに、ふと気付いてしまった。侑仁に連絡をする以上、電話でもメールでも、それは同じことなのに。
(あ、あ~…やっぱ電話なんて、やめとけばよかったかな。そういえば今まで侑仁に電話なんかしたことなかったよね? なのに何で急に電話なんて…! でも着信残るし、今さら切るのも…!)
肝心なところで詰めが甘いというか、考えなしというか、一伽は気付きたくもない自分に、今こんな状況で気付いてしまった。
何度かコールしているが、侑仁は出ない。なかなか出ないことを理由に、電話を切ってしまおう。うん、それがいい――――と、一伽が1人で焦って、1人で納得した瞬間だった。
『――――もしもし?』
「ッ、ン、あ!?」
もう電話を切ろう…と、一伽が耳元から携帯電話を離し掛けたタイミングで、侑仁の声が一伽の耳に届いたので、慌てた一伽は言葉が詰まって、うまく返事が出来なかった。
back next
- 関連記事
-
- 暴君王子のおっしゃることには! (163) (2012/10/11)
- 暴君王子のおっしゃることには! (162) (2012/10/10)
- 暴君王子のおっしゃることには! (161) (2012/10/09)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:暴君王子のおっしゃることには!