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2. 動かない日々が安らぎだと思っていた。 (後編)
2008.06.19 Thu
「てか、何でアンタ、こんなとこにいるの?」
ジトッと、嫌な目つきで、不審そうに俺のことを見る。
でも言っとくけど、不審者は、お前のほうだからな。
「ここは俺んちだ」
「嘘だ!」
「嘘じゃねぇよ。昨日、俺んちの前で寝てただろ、お前。すっげぇ酔っ払ってて俺のこと離さなかったから、家にあげたの」
「はぁ!? 何で? 何で俺がアンタんちの前で寝てなきゃなんないの!?」
「そんなのこっちのセリフだ!」
ダメだ……コイツ、昨日のこと、きれいさっぱり忘れてやがる…。
「お前、どっかと部屋間違えてんじゃね?」
「間違え…」
「だってお前、昨日、何で出てけって言うんだー、とか、捨てないでー、とか言ってたぜ、俺に向かって。誰かと勘違いしてんだよ」
「ッ…!?」
俺が言うと、信じられない! って顔で、目を見開いた。
「え……じゃあ……だって、えっと……ここは、え? えっと、405……」
「305だけど」
「…………………………」
やっぱり間違えていた部屋番号、ヤツの言葉を遮るようにして俺が自分の部屋番号を言ったら、案の定、ヤツは口をあんぐりと開けたまま固まった。
「さんまる……ご」
「そう。階を1つ間違えてんじゃね?」
「あ…う゛……あぁ…」
見る見る間にそいつの顔が真っ赤になってく。
そりゃそうだよなぁ。酔っ払って別人の部屋の前で寝てた挙げ句に、『捨てないで』とかって女々しいこと、赤の他人に言ってんだし。
しかも男に抱き付いて離さなかったんだぜ?
あ、てことはコイツ、女に振られたのか。
出てけって言われたみたいだから、同棲してた彼女に追い出されたってこと? おいおい、女相手にあんなセリフ言うのか。情けな!
「で、どうする?」
「……へ…?」
「俺、これからメシ食うけど、一緒に食ってく?」
それともこの階上に住んでるらしい彼女んとこ行って、もっかいヨリ戻してくれって、頼みに行く? 素面で。
「え!? あ、ぅ……か、帰りま……ホントすいませ……」
「あ、」
「うわっ!?」
ドッターン!!
謝りながら慌ててベッドを下りようとしたそいつは、掛けてたシーツに足を絡ませて、そのままベッドの下に転がり落ちた。
顔面、ぶつけたんじゃね?
「イッター!!」
両手で顔を押さえながら、今どきのギャルみたいな、甲高い声を上げた。
やっぱ顔ぶつけたんだ。アホだな、コイツ。
「おい、だいじょぶか? ちょっと、落ち着いて…」
「ホントっ……ホントすいません! すいませんっ!!」
足に纏わり付いてるシーツを何とか解いて、立ち上がったそいつは、アホみたいに何度も頭を下げてから、ダッシュで玄関に向かっていった。
その行動に唖然としてた俺は、その後ろ姿を追い掛けることも出来ず、バタンとうるさく閉まるドアの音を聞いていた(その直前に、バンッって音がして、「イター!!」ってアイツの声がしたから、きっとドアにぶつかったんだろうことは、想像が付いたけれど)。
いつもと変わらない退屈な日常を、ほんの少しだけ賑やかにした男は、まるで嵐のように通り抜けていった。
ジトッと、嫌な目つきで、不審そうに俺のことを見る。
でも言っとくけど、不審者は、お前のほうだからな。
「ここは俺んちだ」
「嘘だ!」
「嘘じゃねぇよ。昨日、俺んちの前で寝てただろ、お前。すっげぇ酔っ払ってて俺のこと離さなかったから、家にあげたの」
「はぁ!? 何で? 何で俺がアンタんちの前で寝てなきゃなんないの!?」
「そんなのこっちのセリフだ!」
ダメだ……コイツ、昨日のこと、きれいさっぱり忘れてやがる…。
「お前、どっかと部屋間違えてんじゃね?」
「間違え…」
「だってお前、昨日、何で出てけって言うんだー、とか、捨てないでー、とか言ってたぜ、俺に向かって。誰かと勘違いしてんだよ」
「ッ…!?」
俺が言うと、信じられない! って顔で、目を見開いた。
「え……じゃあ……だって、えっと……ここは、え? えっと、405……」
「305だけど」
「…………………………」
やっぱり間違えていた部屋番号、ヤツの言葉を遮るようにして俺が自分の部屋番号を言ったら、案の定、ヤツは口をあんぐりと開けたまま固まった。
「さんまる……ご」
「そう。階を1つ間違えてんじゃね?」
「あ…う゛……あぁ…」
見る見る間にそいつの顔が真っ赤になってく。
そりゃそうだよなぁ。酔っ払って別人の部屋の前で寝てた挙げ句に、『捨てないで』とかって女々しいこと、赤の他人に言ってんだし。
しかも男に抱き付いて離さなかったんだぜ?
あ、てことはコイツ、女に振られたのか。
出てけって言われたみたいだから、同棲してた彼女に追い出されたってこと? おいおい、女相手にあんなセリフ言うのか。情けな!
「で、どうする?」
「……へ…?」
「俺、これからメシ食うけど、一緒に食ってく?」
それともこの階上に住んでるらしい彼女んとこ行って、もっかいヨリ戻してくれって、頼みに行く? 素面で。
「え!? あ、ぅ……か、帰りま……ホントすいませ……」
「あ、」
「うわっ!?」
ドッターン!!
謝りながら慌ててベッドを下りようとしたそいつは、掛けてたシーツに足を絡ませて、そのままベッドの下に転がり落ちた。
顔面、ぶつけたんじゃね?
「イッター!!」
両手で顔を押さえながら、今どきのギャルみたいな、甲高い声を上げた。
やっぱ顔ぶつけたんだ。アホだな、コイツ。
「おい、だいじょぶか? ちょっと、落ち着いて…」
「ホントっ……ホントすいません! すいませんっ!!」
足に纏わり付いてるシーツを何とか解いて、立ち上がったそいつは、アホみたいに何度も頭を下げてから、ダッシュで玄関に向かっていった。
その行動に唖然としてた俺は、その後ろ姿を追い掛けることも出来ず、バタンとうるさく閉まるドアの音を聞いていた(その直前に、バンッって音がして、「イター!!」ってアイツの声がしたから、きっとドアにぶつかったんだろうことは、想像が付いたけれど)。
いつもと変わらない退屈な日常を、ほんの少しだけ賑やかにした男は、まるで嵐のように通り抜けていった。
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