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暴君王子のおっしゃることには! (18)
2012.05.19 Sat
「ぐへへ、あーおかしっ!」
厨房に消えた大橋の大きな背中があまりにも寂しそうで、一伽はおかしくて足をバタバタさせる。
まさかとは思うが、本当に分かっていて、このタイミングで来たのではなかろうかと、ちょっと疑いたくなる。
「いっちゃん、Sだね~」
「そう、俺、女王様!」
クランベリーソーダを飲む茉莉江にからかわれても、一伽は楽しげに返すだけ。
大体、吸血鬼である一伽が、1人で食事目的だけにここに来たとは、ちょっと考えにくい。
「大橋てさぁ、あののっそりしたところが、熊に似てるよね」
「ブハッ! ちょっ、いっちゃん! 何それ、マジウケるんだけど!」
茉莉江は思わず飲み物を吹き零しそうになるし、お会計をしようとレジに向かっていた女の子2人組も笑い出すし、一伽はまったくとんでもないことを口走るものだ。
「だって、似てなくない? 冬になったら冬眠すんのかな? 今度聞いてみよう」
明らかな冗談も、一伽が言うとあまり冗談に聞こえないのだが、まさか本当に大橋にそんなことを聞いてみるのだろうか。
聞かれた大橋は、気を悪くするというより、『違いますよぉ~』とか、のんびり答えそうだが。
「じゃ、私もこの辺で帰るね。お昼長いと加奈ちゃんに怒られるの」
「バイバーイ」
茉莉江は笑いながら、cafe OKAERIを後にした。
「ねぇ光宏ー」
「ん? コーラなら今出すから、ちょっと待っ…」
「じゃなくて。いや、コーラもなんだけど、」
ひとしきり笑った一伽が、光宏に声を掛けた。
帰る客の会計をしていた光宏は、注文を受けたコーラをまだ一伽に出していなかったのだ。
「ねぇねぇ、ユキちゃんの料理の腕、ちょっとは上がったの」
「は?」
「だって、毎日お前んちに作りに行ってんだろ?」
カウンター席には他に誰もいなくなったが、店内にはまだお客がいたため、一伽が若干声を潜めて尋ねてみれば、カウンター越しにコーラを出そうとしていた光宏の手が止まった。
「え、そりゃ知ってるよ。あの子、何でもベラベラ喋るから」
光宏が、『何で知ってんの?』という顔をしていたので、聞かれる前に一伽は答えた。
もともと一伽は、雪乃が、光宏から血を飲ませてもらう代わりに、ご飯を作ってあげていることを知っていたし、雪乃が『超カッコいい人』を見掛けたことも知っていた。
雪乃はあの調子の子だから、一緒に暮らしている一伽には、その後のこともすべて筒抜けであってもおかしくはない。
「通い妻みたいなことしといて、好きな相手は他にいる…て、ユキちゃん、小悪魔だよね~。あ、悪魔じゃなくて吸血鬼か」
「…何が言いたいんだよ、一伽」
光宏は、一伽のくだらない冗談を笑い飛ばすことも出来ず、つい低い声を出してしまうが、一伽は気にすることもなく、ニヤニヤしながらコーラを飲んでいる。
「ユキちゃんて罪作りだなぁ~、て言いたい」
別に光宏は、本気で一伽が何を言いたいのかを知りたいわけでもないのに、一伽もそれを分かっているのに、わざわざそんなことを言って、さらに光宏の機嫌を損ねてしまう。
でも自分で『女王様』なんて言っているドSの一伽は、それがおもしろくて堪らないらしい。
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INDEXのページに登場人物紹介を載せてみました。よろしければどうぞ。
厨房に消えた大橋の大きな背中があまりにも寂しそうで、一伽はおかしくて足をバタバタさせる。
まさかとは思うが、本当に分かっていて、このタイミングで来たのではなかろうかと、ちょっと疑いたくなる。
「いっちゃん、Sだね~」
「そう、俺、女王様!」
クランベリーソーダを飲む茉莉江にからかわれても、一伽は楽しげに返すだけ。
大体、吸血鬼である一伽が、1人で食事目的だけにここに来たとは、ちょっと考えにくい。
「大橋てさぁ、あののっそりしたところが、熊に似てるよね」
「ブハッ! ちょっ、いっちゃん! 何それ、マジウケるんだけど!」
茉莉江は思わず飲み物を吹き零しそうになるし、お会計をしようとレジに向かっていた女の子2人組も笑い出すし、一伽はまったくとんでもないことを口走るものだ。
「だって、似てなくない? 冬になったら冬眠すんのかな? 今度聞いてみよう」
明らかな冗談も、一伽が言うとあまり冗談に聞こえないのだが、まさか本当に大橋にそんなことを聞いてみるのだろうか。
聞かれた大橋は、気を悪くするというより、『違いますよぉ~』とか、のんびり答えそうだが。
「じゃ、私もこの辺で帰るね。お昼長いと加奈ちゃんに怒られるの」
「バイバーイ」
茉莉江は笑いながら、cafe OKAERIを後にした。
「ねぇ光宏ー」
「ん? コーラなら今出すから、ちょっと待っ…」
「じゃなくて。いや、コーラもなんだけど、」
ひとしきり笑った一伽が、光宏に声を掛けた。
帰る客の会計をしていた光宏は、注文を受けたコーラをまだ一伽に出していなかったのだ。
「ねぇねぇ、ユキちゃんの料理の腕、ちょっとは上がったの」
「は?」
「だって、毎日お前んちに作りに行ってんだろ?」
カウンター席には他に誰もいなくなったが、店内にはまだお客がいたため、一伽が若干声を潜めて尋ねてみれば、カウンター越しにコーラを出そうとしていた光宏の手が止まった。
「え、そりゃ知ってるよ。あの子、何でもベラベラ喋るから」
光宏が、『何で知ってんの?』という顔をしていたので、聞かれる前に一伽は答えた。
もともと一伽は、雪乃が、光宏から血を飲ませてもらう代わりに、ご飯を作ってあげていることを知っていたし、雪乃が『超カッコいい人』を見掛けたことも知っていた。
雪乃はあの調子の子だから、一緒に暮らしている一伽には、その後のこともすべて筒抜けであってもおかしくはない。
「通い妻みたいなことしといて、好きな相手は他にいる…て、ユキちゃん、小悪魔だよね~。あ、悪魔じゃなくて吸血鬼か」
「…何が言いたいんだよ、一伽」
光宏は、一伽のくだらない冗談を笑い飛ばすことも出来ず、つい低い声を出してしまうが、一伽は気にすることもなく、ニヤニヤしながらコーラを飲んでいる。
「ユキちゃんて罪作りだなぁ~、て言いたい」
別に光宏は、本気で一伽が何を言いたいのかを知りたいわけでもないのに、一伽もそれを分かっているのに、わざわざそんなことを言って、さらに光宏の機嫌を損ねてしまう。
でも自分で『女王様』なんて言っているドSの一伽は、それがおもしろくて堪らないらしい。
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