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屋上の寂しい人 (2)
2011.05.20 Fri
翌日は、屋上に行かなかった。
アイツが昨日の言葉どおり、今日もあそこに言ってるかどうかは知らないけど、もし行っているんだとしたら、その期待を裏切りたかった。
俺が行かなくて、ガッカリするだろうか。それとも1人で伸び伸びしてるんだろうか。
別にどっちだっていいけど。
…でも俺にあそこ以外の居場所はなくて、結局3日後、俺は再び屋上に舞い戻った。
雨の水曜日。
貯水タンクの下で、理玖が寝ていた。
「…おい、」
腹の底から低い声を出す。
お前はその場所まで俺から奪い取る気か。
「……ん、あれ…?」
目を擦りながら、理玖が起き上がる。
キョロキョロした後、俺の姿を見つけ、どういうわけだか嬉しそうに笑った。
「お久し振り」
「会いたかなかったけどな」
「いいじゃんいいじゃん、さぁどうぞ、名無しの権兵衛さん」
「何だよ、それ! 俺には希海(ノゾミ)って名前が……あっ」
「ノゾミ? ふぅん、じゃあ希海て呼ぶね?」
………………。
うっかり名前を言っちゃった迂闊な自分も腹立たしかったけど、何で会って2度目の、しかも全然仲良しでもないヤツに、『希海て呼ぶね?』とか言うんだよ、コイツは!
つーか、どうぞじゃねぇよ!
貯水タンクの下は俺の場所! 何でお前が、俺に譲ってやる、みたいな態度すんだよ!
「希海が雨の日も来るなんて思わなかったー」
「…俺だってお前が来てるとは思わなかったよ」
「んふふー、だって、また明日ーってしたもんねぇ?」
「知るかよ」
とりあえず、傘を閉じて貯水タンクの下へ。
男2人で入ったんじゃ、結構狭い。
「雨の日は、町が曇ってて、あんま見えなくてつまんないね」
「だったら来んな」
「でも希海に会いたかったし」
「俺は会いたくなかった」
「また明日も会おうね?」
「ヤダよ」
*****
それからあそこには、行ったり行かなかったりしてるけど、行ったときは必ず理玖に会う。
しかも理玖はいっつも俺より先に行ってる。
多分、俺より暇人。
「だって希海に会いたいしー」
「あぁ、そうですか」
「希海だって俺に会いたいでしょ?」
「何でだよ」
「だって、いっつも来るじゃん」
「俺はこの場所が好きなの!」
「またまたぁ~」
ホント、バカ。
能天気にもほどがある。
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アイツが昨日の言葉どおり、今日もあそこに言ってるかどうかは知らないけど、もし行っているんだとしたら、その期待を裏切りたかった。
俺が行かなくて、ガッカリするだろうか。それとも1人で伸び伸びしてるんだろうか。
別にどっちだっていいけど。
…でも俺にあそこ以外の居場所はなくて、結局3日後、俺は再び屋上に舞い戻った。
雨の水曜日。
貯水タンクの下で、理玖が寝ていた。
「…おい、」
腹の底から低い声を出す。
お前はその場所まで俺から奪い取る気か。
「……ん、あれ…?」
目を擦りながら、理玖が起き上がる。
キョロキョロした後、俺の姿を見つけ、どういうわけだか嬉しそうに笑った。
「お久し振り」
「会いたかなかったけどな」
「いいじゃんいいじゃん、さぁどうぞ、名無しの権兵衛さん」
「何だよ、それ! 俺には希海(ノゾミ)って名前が……あっ」
「ノゾミ? ふぅん、じゃあ希海て呼ぶね?」
………………。
うっかり名前を言っちゃった迂闊な自分も腹立たしかったけど、何で会って2度目の、しかも全然仲良しでもないヤツに、『希海て呼ぶね?』とか言うんだよ、コイツは!
つーか、どうぞじゃねぇよ!
貯水タンクの下は俺の場所! 何でお前が、俺に譲ってやる、みたいな態度すんだよ!
「希海が雨の日も来るなんて思わなかったー」
「…俺だってお前が来てるとは思わなかったよ」
「んふふー、だって、また明日ーってしたもんねぇ?」
「知るかよ」
とりあえず、傘を閉じて貯水タンクの下へ。
男2人で入ったんじゃ、結構狭い。
「雨の日は、町が曇ってて、あんま見えなくてつまんないね」
「だったら来んな」
「でも希海に会いたかったし」
「俺は会いたくなかった」
「また明日も会おうね?」
「ヤダよ」
*****
それからあそこには、行ったり行かなかったりしてるけど、行ったときは必ず理玖に会う。
しかも理玖はいっつも俺より先に行ってる。
多分、俺より暇人。
「だって希海に会いたいしー」
「あぁ、そうですか」
「希海だって俺に会いたいでしょ?」
「何でだよ」
「だって、いっつも来るじゃん」
「俺はこの場所が好きなの!」
「またまたぁ~」
ホント、バカ。
能天気にもほどがある。
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