2012年05月
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暴君王子のおっしゃることには! (29)
2012.05.30 Wed
「そんなのセレブには分かんないだろうけどっ」
「何だよ、セレブて」
一伽が、侑仁の住まいを見て、勝手にセレブだと思い込んでいるとは想像もしていない侑仁は、プンッ! と顔を背けた一伽に呆れると同時に、思わず吹き出してしまった。
最初の出会いの印象が強すぎるのかもしれないが、どうも一伽は突拍子もないというか、発想が意外すぎて、イライラするというより、笑ってしまう。
「俺、普通にリーマンだけど」
「嘘つけっ! ただのリーマンで、こんないいトコ住めるかっ! 大体、スーツとか超似合わねぇじゃんっ」
「いや、似合う似合わねぇで仕事してるわけじゃねぇし」
一伽の中では『サラリーマン=スーツ』の図式が成り立っているようで、侑仁の言うことを少しも納得していない。
実際のところ、『サラリーマン』という言葉のイメージとしては、それが定着しているけれど、何もスーツを着て働く人ばかりがサラリーマンではない。
事実、侑仁は、高校のころの先輩が代表をしているインターネット関係の会社で働いているが、身内ばかりの小さな会社ということもあって、基本的にスーツで仕事はしていない。
「嘘だー、侑仁がリーマンなんて信じらんないー。ホントはホストなんじゃねぇの?」
「違ぇって」
どうあっても信じる気のない一伽に、侑仁は笑いが止まらない。
確かに侑仁は、派手な顔立ちやその雰囲気から、そうからかわれることはよくあるし、実際、夜の街でスカウトされかけたこともあるのだけれど、夜の街が好きでも、自分で遊ぶほうが好きだから…と、丁重にお断りしているのだ。
「だって、リーマンなのに、侑仁、何でこんな時間に家にいんだよ。9時から5時まで仕事だろっ、リーマンは」
時刻は午前の10時半で、一般的な『サラリーマン』なら、この時間は仕事に行っているはずなのに、風呂から上がった侑仁は、全然慌てるふうでもなく過ごしている。
やっぱり、夜の仕事なんじゃ…?
「今日土曜だよ」
一伽の疑わしげな視線を、侑仁はあっさりと一蹴する。
侑仁の働く会社は土曜のほかカレンダーどおりの休みだから、一伽に責められるまでもなく、最初から今日は休みなのだ。
「…つかそれよりも、お前こそ仕事じゃねぇの?」
「あぇっ!?」
航平の店は水曜が定休日だから、店自体は今日もやっているだろう。
一伽のシフトが今日休みなら別にいいけれど、そうでないなら、時間的に、もう店に行っていないとまずいのでは? と思って、侑仁が念のために聞いてみたら、一伽が声を引っ繰り返した。
「あっ!? えっ!? 俺今日仕事だっけ!?」
「知らねぇよ」
「あっ、休みだったバカ!」
「どっちがだよ」
侑仁は一伽の休みなんかもちろん把握していないから、一応聞いてみただけなのに、1人で勝手に慌てた一伽は、やっぱり今日が休みだったことを思い出して、ホッとしたのと同時に、侑仁に文句を言った。
というか、もし今日が仕事で、一伽がまだ出勤していなかったら、今ごろ一伽の携帯電話が、こんなに静かでいるはずがない。
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「何だよ、セレブて」
一伽が、侑仁の住まいを見て、勝手にセレブだと思い込んでいるとは想像もしていない侑仁は、プンッ! と顔を背けた一伽に呆れると同時に、思わず吹き出してしまった。
最初の出会いの印象が強すぎるのかもしれないが、どうも一伽は突拍子もないというか、発想が意外すぎて、イライラするというより、笑ってしまう。
「俺、普通にリーマンだけど」
「嘘つけっ! ただのリーマンで、こんないいトコ住めるかっ! 大体、スーツとか超似合わねぇじゃんっ」
「いや、似合う似合わねぇで仕事してるわけじゃねぇし」
一伽の中では『サラリーマン=スーツ』の図式が成り立っているようで、侑仁の言うことを少しも納得していない。
実際のところ、『サラリーマン』という言葉のイメージとしては、それが定着しているけれど、何もスーツを着て働く人ばかりがサラリーマンではない。
事実、侑仁は、高校のころの先輩が代表をしているインターネット関係の会社で働いているが、身内ばかりの小さな会社ということもあって、基本的にスーツで仕事はしていない。
「嘘だー、侑仁がリーマンなんて信じらんないー。ホントはホストなんじゃねぇの?」
「違ぇって」
どうあっても信じる気のない一伽に、侑仁は笑いが止まらない。
確かに侑仁は、派手な顔立ちやその雰囲気から、そうからかわれることはよくあるし、実際、夜の街でスカウトされかけたこともあるのだけれど、夜の街が好きでも、自分で遊ぶほうが好きだから…と、丁重にお断りしているのだ。
「だって、リーマンなのに、侑仁、何でこんな時間に家にいんだよ。9時から5時まで仕事だろっ、リーマンは」
時刻は午前の10時半で、一般的な『サラリーマン』なら、この時間は仕事に行っているはずなのに、風呂から上がった侑仁は、全然慌てるふうでもなく過ごしている。
やっぱり、夜の仕事なんじゃ…?
「今日土曜だよ」
一伽の疑わしげな視線を、侑仁はあっさりと一蹴する。
侑仁の働く会社は土曜のほかカレンダーどおりの休みだから、一伽に責められるまでもなく、最初から今日は休みなのだ。
「…つかそれよりも、お前こそ仕事じゃねぇの?」
「あぇっ!?」
航平の店は水曜が定休日だから、店自体は今日もやっているだろう。
一伽のシフトが今日休みなら別にいいけれど、そうでないなら、時間的に、もう店に行っていないとまずいのでは? と思って、侑仁が念のために聞いてみたら、一伽が声を引っ繰り返した。
「あっ!? えっ!? 俺今日仕事だっけ!?」
「知らねぇよ」
「あっ、休みだったバカ!」
「どっちがだよ」
侑仁は一伽の休みなんかもちろん把握していないから、一応聞いてみただけなのに、1人で勝手に慌てた一伽は、やっぱり今日が休みだったことを思い出して、ホッとしたのと同時に、侑仁に文句を言った。
というか、もし今日が仕事で、一伽がまだ出勤していなかったら、今ごろ一伽の携帯電話が、こんなに静かでいるはずがない。
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カテゴリー:暴君王子のおっしゃることには!
暴君王子のおっしゃることには! (30)
2012.05.31 Thu
「はぁ~ビックリした。もし仕事だったら、完全に遅刻だった。また航平くんにど突かれるトコだった」
「『また』なのかよ。お前、航平に何仕出かしてんだよ」
「何もしてないよ! あの人が暴力店長なんだもんっ。あ、でも昨日のも…酔い潰れたとかバレたら怒られるかも…。そしたら侑仁が謝ってよねっ」
「何でだよ」
今のところ、昨夜のことは航平には知られていないだろうが、バレてしまったら何をしているんだと怒られるかもしれないし、最悪、もうクラブに連れて行ってもらえなくなるかも(タダ飯が…)。
侑仁は航平の親友のようだから、うまくフォローしてくれたら、どうにかなると思う。
「つかお前な、航平に謝る以前に、俺にもっと感謝しろよっ。お前ここまで連れてくんの、どんだけ大変だったと思ってんだよっ」
「あ、」
侑仁に言われて、一伽は本当にようやくそのことに気が付いた。
何も覚えていないけれど、昨日から一番お世話になっているのは、侑仁だった。
侑仁だって本当はこんなこと、自分の口から言いたくはなかったが、思わず口走ってしまい、何となく気まずくて視線を逸らした。
「あー…、えっと…、えと、昨日は…てか、まぁあの、いろいろありがとう、ございます…」
素直に礼を言うのが苦手なのか、一伽も視線をウロウロさせながら、何とか最後まで言い切った。
侑仁も、相当たどたどしいとはいえ、一伽が言われたとおりにちゃんと『ありがとう』を言うとか思っていなかったので、少し恥ずかしくなる。一体何をやっているだろう。
「あと、えっと……水、ごちそうさま、しゅ…」
そういえば勝手に水も飲んでたんだっけ…と、一伽は空になったグラスを侑仁のほうへ差し出したが、こんな状態で返すのも何かなぁ…と、やっぱり手を引っ込めた。
というか、今最後、ガッツリ噛んだ…!
恥ずかしいなぁ…、侑仁、気付いてないといいけど…と、一伽が視線を戻したら、しっかりバッチリ聞こえていたらしく、侑仁は口元を歪めて、笑いを堪えていた。
「うっせぇなっ!」
「イテッ、何も言ってねぇだろっ」
恥ずかしくて、一伽は侑仁のふくらはぎにキックした。
何逆ギレしてんだ? とは、自分でも思うけれど。
「てか俺、メシ食いてぇんだけど…。お前、食わなくても別にいいんだろ? 用意しなくてもいい? それとも用意したほうがいいの?」
「んー、侑仁の作るメシがすっげぇうまいっつーなら、食ってやってもいいよ」
「何その上から目線。面倒くせぇから食うなよ」
「えー、えーっ、何でぇ? 侑仁のケチィ! 俺も侑仁のメシ食うもんねっ!」
人間が食べるような食事なんて、食べても食べなくてもどっちでもいいくせに、一伽はムキになってそう言い出す。
侑仁的にも、一伽の分を用意するのは、多少面倒くさくても、そこまで拒むほどのことでもないので、しょうがねぇなぁ、とか言いながら用意してやることに。
「てかさぁ、侑仁。俺も風呂入りたい」
「……」
一応、しおらしくお礼を言うことはあるけれど、どうも一伽は遠慮がないというか何というか…。しかしなぜか、言われたほうも、それをつい許してしまう何かがある。
侑仁はわざと溜め息をついてから、一伽に風呂の場所を案内してやった。
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「『また』なのかよ。お前、航平に何仕出かしてんだよ」
「何もしてないよ! あの人が暴力店長なんだもんっ。あ、でも昨日のも…酔い潰れたとかバレたら怒られるかも…。そしたら侑仁が謝ってよねっ」
「何でだよ」
今のところ、昨夜のことは航平には知られていないだろうが、バレてしまったら何をしているんだと怒られるかもしれないし、最悪、もうクラブに連れて行ってもらえなくなるかも(タダ飯が…)。
侑仁は航平の親友のようだから、うまくフォローしてくれたら、どうにかなると思う。
「つかお前な、航平に謝る以前に、俺にもっと感謝しろよっ。お前ここまで連れてくんの、どんだけ大変だったと思ってんだよっ」
「あ、」
侑仁に言われて、一伽は本当にようやくそのことに気が付いた。
何も覚えていないけれど、昨日から一番お世話になっているのは、侑仁だった。
侑仁だって本当はこんなこと、自分の口から言いたくはなかったが、思わず口走ってしまい、何となく気まずくて視線を逸らした。
「あー…、えっと…、えと、昨日は…てか、まぁあの、いろいろありがとう、ございます…」
素直に礼を言うのが苦手なのか、一伽も視線をウロウロさせながら、何とか最後まで言い切った。
侑仁も、相当たどたどしいとはいえ、一伽が言われたとおりにちゃんと『ありがとう』を言うとか思っていなかったので、少し恥ずかしくなる。一体何をやっているだろう。
「あと、えっと……水、ごちそうさま、しゅ…」
そういえば勝手に水も飲んでたんだっけ…と、一伽は空になったグラスを侑仁のほうへ差し出したが、こんな状態で返すのも何かなぁ…と、やっぱり手を引っ込めた。
というか、今最後、ガッツリ噛んだ…!
恥ずかしいなぁ…、侑仁、気付いてないといいけど…と、一伽が視線を戻したら、しっかりバッチリ聞こえていたらしく、侑仁は口元を歪めて、笑いを堪えていた。
「うっせぇなっ!」
「イテッ、何も言ってねぇだろっ」
恥ずかしくて、一伽は侑仁のふくらはぎにキックした。
何逆ギレしてんだ? とは、自分でも思うけれど。
「てか俺、メシ食いてぇんだけど…。お前、食わなくても別にいいんだろ? 用意しなくてもいい? それとも用意したほうがいいの?」
「んー、侑仁の作るメシがすっげぇうまいっつーなら、食ってやってもいいよ」
「何その上から目線。面倒くせぇから食うなよ」
「えー、えーっ、何でぇ? 侑仁のケチィ! 俺も侑仁のメシ食うもんねっ!」
人間が食べるような食事なんて、食べても食べなくてもどっちでもいいくせに、一伽はムキになってそう言い出す。
侑仁的にも、一伽の分を用意するのは、多少面倒くさくても、そこまで拒むほどのことでもないので、しょうがねぇなぁ、とか言いながら用意してやることに。
「てかさぁ、侑仁。俺も風呂入りたい」
「……」
一応、しおらしくお礼を言うことはあるけれど、どうも一伽は遠慮がないというか何というか…。しかしなぜか、言われたほうも、それをつい許してしまう何かがある。
侑仁はわざと溜め息をついてから、一伽に風呂の場所を案内してやった。
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