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スイート・ドロップ・キック!
2010.07.31 Sat
「……つまんねぇー…」
ソファでポツリと洩らした悠也の言葉が拓海の耳に届いたのか否か、テレビ画面に集中している拓海は振り返ろうともしない。
深夜のサッカー中継。
ちょうど悠也の来訪とバッティングしてしまった。
この世の中、"録画"という文明の利器が存在するわけで、悠也にしてみれば、当然サッカーよりも自分を優先してくれるはずと信じて疑わなかった。
なのに。
拓海はテレビに夢中だ。
「拓海ー、ねぇー」
「んー?」
かろうじて返事はするものの、明らかに気持ちは悠也のほうへは向いていない。
それがおもしろくない。
「ねーえ!」
「おわっ!? 何!?」
ソファからずり落ちるようにして、悠也はそのまま拓海の背中にへばり付いた。
「まだ終わんないの?」
「もうちょっとだから」
「もうちょっとって、どんくらい?」
「もうちょっとは、もうちょっと」
そう言って悠也を簡単にあしらうと、拓海はまたテレビに視線を向けた。仕方がないので悠也はその格好のまま、拓海の言う「もうちょっと」が来るのを待った。
実はサッカーのルールに疎い悠也は世間が盛り上がっているほど、サッカーの話題についていけない。
もちろん試合を見ていても、わけが分からないし、どちらのチームを応援しようという気もない。
「まだ?」
「もうちょっと」
また「もうちょっと」だ。
「ねぇー」
「もうちょっとだって」
「さっきからずっとそう言ってんのに、全然もうちょっとじゃないじゃん!」
「ホント、後もうちょっとだから!」
「……むぅ~…」
ぎゅむぅっ。
「あだだだだっ! 何すんのっ!?」
背後から拓海に回していた腕を、悠也が力任せに締め付けてきて、予期せぬ出来事に拓海はようやく悠也のほうを向いた。
「…何」
「べっつにぃ」
「別に、て」
「ホラ、テレビ見てろよ。もうちょっとで終わんだろ?」
「え? あぁ、」
何で急に物分りが良くなったんだ? と訝しみつつ、拓海がテレビのほうを向き直ろうとしたとき。
「俺のことなんか別に、ぜんっぜん気にしなくていいから、気が済むまでサッカー見てていいから」
ニッコリ。
天使のようなかわいい笑顔を浮かべながら、けれど少しも目が笑っていないことに気が付かないほど拓海だって鈍感じゃない。
「あ、ゆ…悠ちゃん、あの、いや、テレビはもういいかなぁ、なんてっ」
「ううん、いい。『もうちょっと』で、終わるんでしょ?」
「は…はい…」
笑顔の悠也に気圧されて、拓海はぎこちない仕草でテレビに視線を向ける。
背中に悠也のぬくもりと、そして流れる冷や汗を感じながら、審判の吹くホイッスルの音が、右の耳から入っては左へと通り抜けていくのを感じていた。
教訓:後悔先に立たず
タイトルはロレンシー様より。thanks!
ソファでポツリと洩らした悠也の言葉が拓海の耳に届いたのか否か、テレビ画面に集中している拓海は振り返ろうともしない。
深夜のサッカー中継。
ちょうど悠也の来訪とバッティングしてしまった。
この世の中、"録画"という文明の利器が存在するわけで、悠也にしてみれば、当然サッカーよりも自分を優先してくれるはずと信じて疑わなかった。
なのに。
拓海はテレビに夢中だ。
「拓海ー、ねぇー」
「んー?」
かろうじて返事はするものの、明らかに気持ちは悠也のほうへは向いていない。
それがおもしろくない。
「ねーえ!」
「おわっ!? 何!?」
ソファからずり落ちるようにして、悠也はそのまま拓海の背中にへばり付いた。
「まだ終わんないの?」
「もうちょっとだから」
「もうちょっとって、どんくらい?」
「もうちょっとは、もうちょっと」
そう言って悠也を簡単にあしらうと、拓海はまたテレビに視線を向けた。仕方がないので悠也はその格好のまま、拓海の言う「もうちょっと」が来るのを待った。
実はサッカーのルールに疎い悠也は世間が盛り上がっているほど、サッカーの話題についていけない。
もちろん試合を見ていても、わけが分からないし、どちらのチームを応援しようという気もない。
「まだ?」
「もうちょっと」
また「もうちょっと」だ。
「ねぇー」
「もうちょっとだって」
「さっきからずっとそう言ってんのに、全然もうちょっとじゃないじゃん!」
「ホント、後もうちょっとだから!」
「……むぅ~…」
ぎゅむぅっ。
「あだだだだっ! 何すんのっ!?」
背後から拓海に回していた腕を、悠也が力任せに締め付けてきて、予期せぬ出来事に拓海はようやく悠也のほうを向いた。
「…何」
「べっつにぃ」
「別に、て」
「ホラ、テレビ見てろよ。もうちょっとで終わんだろ?」
「え? あぁ、」
何で急に物分りが良くなったんだ? と訝しみつつ、拓海がテレビのほうを向き直ろうとしたとき。
「俺のことなんか別に、ぜんっぜん気にしなくていいから、気が済むまでサッカー見てていいから」
ニッコリ。
天使のようなかわいい笑顔を浮かべながら、けれど少しも目が笑っていないことに気が付かないほど拓海だって鈍感じゃない。
「あ、ゆ…悠ちゃん、あの、いや、テレビはもういいかなぁ、なんてっ」
「ううん、いい。『もうちょっと』で、終わるんでしょ?」
「は…はい…」
笑顔の悠也に気圧されて、拓海はぎこちない仕草でテレビに視線を向ける。
背中に悠也のぬくもりと、そして流れる冷や汗を感じながら、審判の吹くホイッスルの音が、右の耳から入っては左へと通り抜けていくのを感じていた。
教訓:後悔先に立たず
タイトルはロレンシー様より。thanks!
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