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09. ようやく笑った (後編)
2008.04.30 Wed
出てくれるかどうか分からないけど、とりあえず和哉の携帯に掛けてみる。何度かコール音が響いて、電話が繋がった―――と思ったら、留守電の女の声。
「チッ」
切ってすぐにまた掛け直す。でも結局留守電で。それを4回繰り返したところで、俺は電話を掛けるのを諦めた。
「和哉…」
どうしよう……和哉んちまで行って、帰ってくるの、待ってようかな。でもそれじゃ、マジでストーカーだぜ?
…………でも。
迷ってられないって、駅に入って、改札を抜ける。
それでも和哉がその辺にいないかってキョロキョロしてたら―――
「アッ!!」
いたっ!
振り向きざまの視界。
確かにそこには、さっき仲村の家を飛び出した和哉の姿。まだ、俺の存在には気付いてないみたいで。
俺はとっさに回れ右をして、和哉のほうに駆け出そうとした―――けど。
―――ガツンッ!!
「うわっ!?」
俺の行く手が、何かに阻まれる。
「あ、」
そうだ、俺はたった今、改札を抜けたばっかなんだ。
そこでいきなり来た道を戻れば、閉じた自動改札のバーにぶつかるに決まってる。
そんなつもりはなかったけど、俺の行動は、改札で通れない入り口を無理に通ろうとしたのと同じことで、何か警報みたいのが鳴るし、周りのお客は不審そうに俺のこと見てるし、駅員までやって来るし。
「お客様っ!」
ざわついた気配に和哉がこちらを振り返る。目が合って、和哉はハッとした顔をした。
「―――ッ…!!」
他のお客の邪魔にならないようにって、駅員が俺を改札の側から離す。
「和哉ッ!」
「お客様、こちらの改札からは出られませんので。お客様!」
駅員に事情を説明したいんだけど、和哉が今にも逃げ出しちゃいそうで、気が気じゃない。
「す、すいません! 俺、間違えて入っちゃって、あの、この駅から……」
何とか状況を説明して、「気を付けてくださいね」とか言われながら、改札をもう1回抜けたら、案の定、和哉の姿はそこにはない。
「クソッ」
でもまだ電車に乗ってないってことだから、この近くにいるはずだよな…。
「かず…………あ、」
駆け出そうとして、駅を出てすぐのところに和哉の姿を見つけた。
「…………大樹、すっごい目立ってた」
「は? え?」
見つけたらすぐにでも謝ろうって思ってたのに、いきなり和哉にそんなこと言われて、次の言葉が続かない。
「すっごい焦った顔で、改札、逆に抜けようとしてるんだもん。超おかしい」
「和哉?」
「バッカじゃないの?」
「…、」
「そんなんしてまで、俺のこと追っ掛けてきて…………ホント、笑っちゃう」
「へ?」
思わず吹き出した和哉の顔を覗くと、今にも泣き出しそうな瞳にぶつかって、ドキリとした。
「バカ…」
「……ゴメン」
「チッ」
切ってすぐにまた掛け直す。でも結局留守電で。それを4回繰り返したところで、俺は電話を掛けるのを諦めた。
「和哉…」
どうしよう……和哉んちまで行って、帰ってくるの、待ってようかな。でもそれじゃ、マジでストーカーだぜ?
…………でも。
迷ってられないって、駅に入って、改札を抜ける。
それでも和哉がその辺にいないかってキョロキョロしてたら―――
「アッ!!」
いたっ!
振り向きざまの視界。
確かにそこには、さっき仲村の家を飛び出した和哉の姿。まだ、俺の存在には気付いてないみたいで。
俺はとっさに回れ右をして、和哉のほうに駆け出そうとした―――けど。
―――ガツンッ!!
「うわっ!?」
俺の行く手が、何かに阻まれる。
「あ、」
そうだ、俺はたった今、改札を抜けたばっかなんだ。
そこでいきなり来た道を戻れば、閉じた自動改札のバーにぶつかるに決まってる。
そんなつもりはなかったけど、俺の行動は、改札で通れない入り口を無理に通ろうとしたのと同じことで、何か警報みたいのが鳴るし、周りのお客は不審そうに俺のこと見てるし、駅員までやって来るし。
「お客様っ!」
ざわついた気配に和哉がこちらを振り返る。目が合って、和哉はハッとした顔をした。
「―――ッ…!!」
他のお客の邪魔にならないようにって、駅員が俺を改札の側から離す。
「和哉ッ!」
「お客様、こちらの改札からは出られませんので。お客様!」
駅員に事情を説明したいんだけど、和哉が今にも逃げ出しちゃいそうで、気が気じゃない。
「す、すいません! 俺、間違えて入っちゃって、あの、この駅から……」
何とか状況を説明して、「気を付けてくださいね」とか言われながら、改札をもう1回抜けたら、案の定、和哉の姿はそこにはない。
「クソッ」
でもまだ電車に乗ってないってことだから、この近くにいるはずだよな…。
「かず…………あ、」
駆け出そうとして、駅を出てすぐのところに和哉の姿を見つけた。
「…………大樹、すっごい目立ってた」
「は? え?」
見つけたらすぐにでも謝ろうって思ってたのに、いきなり和哉にそんなこと言われて、次の言葉が続かない。
「すっごい焦った顔で、改札、逆に抜けようとしてるんだもん。超おかしい」
「和哉?」
「バッカじゃないの?」
「…、」
「そんなんしてまで、俺のこと追っ掛けてきて…………ホント、笑っちゃう」
「へ?」
思わず吹き出した和哉の顔を覗くと、今にも泣き出しそうな瞳にぶつかって、ドキリとした。
「バカ…」
「……ゴメン」
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