恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

遥斗×真琴

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04. 心を広く持て


side:遥斗

「…………藤崎くん。何でこんなことしたのか、言ってみなさい」

 背中に張り付いたまま、"してやったり"みたいな顔をしてるマコに、少しウンザリしながら尋ねた。
 久々の1日まるまるのオフ。
 マコにはもちろん会いたかったから、こうやって会いに来てくれたの、すごく嬉しいんだけど…………出来ればもうちょっと、のんびりまったりしていたい。
 ずっと読みたかったこの雑誌も、やっと読めるって思ってたのに。

 けれどマコはどうやらそうじゃなかったらしく、さっきから何かとちょっかいを出してくるわけで。
 いや、マコが何をしたいかなんて分かってるけど……。
 ―――まだ真っ昼間なんですが。

「マコ、」
「フーンだ」

 ツーンと、そっぽを向いちゃったマコ。でも相変わらず背中にへばり付いたままなんですが。
 やれやれ。
 しょうがない。ここは心を広く持って。

「マーコちゃん。何でこんなことしたの?」
「…………だって、はーちゃんに構ってほしいんだもん」

 "だもん"って……すっかり甘えん坊になっちゃってるなぁ。かわいい。

「何だよ、何笑ってんだよ! バーカ、バーカ!」

 ありゃりゃ、とうとう機嫌、損ねちゃったかな?
 マコは俺の背中から離れて、もそもそとベッドに上がってしまった。
 う~ん、マコをご機嫌斜めにすると、後が厄介だしなぁ…。

「マコちゃん、ゴメンね。許して?」
「ヤ」
「許してよ、ねぇ」
「ヤーダ」
「どうしたら、許してくれる?」

 ヤダヤダ言いながら首を振っていたマコが、俺の最後の一言に、ピタッと動きを止めた。
 まぁきっと善からぬことを考えてるんだろうけど……。




「襲い受10のお題」

カテゴリー:遥斗×真琴

05. いつもこっちから、なんて


「誘って?」
「は?」

 クルッと振り返ったマコが、満面の笑みでそう言った。

「誘ってよ、俺のこと」
「誘うって…」

 えーっと……まぁ、今までの話の流れからして、"そういう"意味での『誘う』だとは思うけど…。

「だってさ、エッチするとき、いっつも俺から誘ってんじゃん。だから、ね? はーちゃんから誘ってよぉ」

 …………やっぱり。
 って、マコの『誘ってよぉ』って、その言葉と仕草が、十分誘ってるけどね。
 それに、今まさにヤル気満々のマコを、今さらどうやって誘う必要があるんでしょうか…。

「……マコ、外見てごらん? まだ明るいでしょ?」
「だから何?」
「そういうのは暗くなってから……」
「ダメー!! ダメダメダメ! 今! じゃなきゃ、許してやんない!」

 フンッ、と顔を背けるマコ。
 どうあっても、今この場でマコのことを誘わなきゃ、許してくれないみたい。
 はぁ…。
 この興奮気味のマコを宥めるのと、今さら誘うのと、一体どっちが簡単なんだろう。




「襲い受10のお題」

カテゴリー:遥斗×真琴

06. たまにはね、たまには。


 ……てか、マコって、昼間っからこんなに発情してる子だっけ? 普段から、テンションは高めだけど。
 ってことは、それだけ溜まってるってこと?
 俺、そんなに相手してなかったっけ?
 う~ん、そんなにご無沙汰とも思えないんだけど。

「…………」

 まぁ、それこそせっかく休みなんだし、マコにここまで言われてんだし、たまには…………いっか。

「マコちゃん、こっちおいで?」
「…何で? 用があるなら、はーちゃんがこっちくれば?」

 ぶずくれた顔。
 ずいぶん斜めってるみたい。って、俺のせいか。
 じゃあしょうがない、動くとするか。

「……真琴、ゴメン」

 ベッドの縁に腰掛けて、そっぽを向いてるマコの体を後ろから抱き寄せる。

「イヤ、もう許さない」

 頬を膨らませてるマコの耳元に、唇を寄せる。

「機嫌直せよ」

 少し声のトーンを落として、耳に口付けたまま囁く。ピクンと、マコの背筋が震えたのが分かった。でもわざと気付かないふりで、マコの耳たぶをしゃぶって、舌を耳の中に入れる。

「ッ……ヤ…」

 前に回した腕を、マコがキュッと掴んだ。

「真琴……感じてんの? これだけで?」
「かん…じてなんか……ないっ!」

 ホント、こういうとこ、意地っ張りなんだから。
 まぁいいや。
 マコがそう言うんだったら、もっと本気出して誘わないとね。




「襲い受10のお題」

カテゴリー:遥斗×真琴

07. ものたりなーい!


side:真琴

 …………ヤバイ。
 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
 はーちゃんの低い声、ゾクッとくる。
 でもこんなんで感じちゃってたら、誘われちゃったら、すぐにはーちゃんのこと許してやんなきゃいけなくなる。そんなに簡単に許してやるつもりないし。
 だって俺、すごい怒ってんだから!!

「んっ…」

 やっと耳から離れたはーちゃんの舌が、ツーッて首筋を辿ってく。

「真琴、キスしていい?」
「ヤダッ…」

 精一杯の拒絶。
 ホントは超したい。はーちゃんとキスしたい。

「真琴とキスしたい……キスして真琴の口ん中、舌入れたい」
「バ、カ…」
「だって真琴の口の中、すごい甘いから。で、舌はすごい柔らかいの……真琴、知ってる?」
「知らなっ…、はぁっ……」

 吐き出した息が、思ったよりも熱くて、甘くて。
 もう、無理。

「はーちゃん!」

 俺は体の向きを変えて、正面からギュッとはーちゃんに抱き付いた。

「キス……してよぉ…」

 懇願すると、はーちゃんが笑みを深くして、唇を重ねてきた。柔らかい唇。触れ合うだけのキスがもどかしくて、唇を開いて誘うけど、はーちゃんは上唇を挟むだけ。
 イヤイヤ。こんなんじゃ、足んないの。
 はーちゃんの唇を舐めて、その口内に舌を入れる。そしたら、はーちゃんの舌が逃げるみたいに動くから、俺は必死にそれを追い掛ける。

「ん、ふっ…」

 まずい……酸素足んない。
 でも、まだキスしてたい。はーちゃんの口の中…………

「ふぁっ…!!」

 唐突に唇を離されて、俺は大きく息を吸い込んだ。

「やぁん、はーちゃん」

 まだキスしたい~~~。
 なのにはーちゃんは、俺の顎を伝った唾液を舐め取ったかと思うと、

「誘われた?」

 なんて言ってくる。

 は? 何のこと?

「誘えって言ったの、マコだよ?」

 さっきまでの色っぽい顔じゃなくて、いつものほのぼのしたはーちゃんの顔。
 にしても、誘えって…………

「あっ、」

 そうだ! さっき、はーちゃんのほうから誘ってくんなきゃ許してやんないって言ったんだ!
 …ってことは……。

「どう? お望みどおり誘ってみたけど、許してくれる?」

 あーーー!! 普通に戻ってる!!
 何でぇ何でぇ!? さっきまでの雰囲気はぁ!? ねぇねぇ、これからでしょ!?
 こんなの全然物足りなーい!!




「襲い受10のお題」

カテゴリー:遥斗×真琴

08. 温度差


 何で? 何で? 何で?
 何ではーちゃんはそんなに冷静なわけ?
 何なの、この温度差。
 俺1人で盛ってるみたいで、超恥ずかしい。

「はーちゃ~ん、続きはぁ?」
「後でね」
「やだぁー。今じゃなきゃヤダ! ねぇ~」

 俺がこんなにおねだりしてんのに、何で全然誘われないわけ?
 ハッ!
 もしかして俺って、全然魅力ない? 色気ない!?

 ―――ガーン……。

 そっか、だから今までこんなに誘ってんのに、はーちゃんは全然その気になれなかったんだ…。
 ど、どうしよう!? どんなふうにしたらいいかな? はーちゃんって、どんなのがいいんだろう。
 えっと……確か前、雑誌のインタビューで答えてたのは、"清楚な子"だよね。
 …………でも、清楚な子って、誘ったりすんのかな??

 ??????

「―――あ、そっか!」

 清楚な子は、誘ったりしないんだ!!
 なのに俺は、必死になってはーちゃんのこと誘おうとしてたから、ダメだったんだ! 逆効果だったんだ!!
 よし、分かった、これからは清楚だ!

 えっと、えーっと……じゃあ、どうしたらいいんだろ?
 あ、こんなふうに足崩して座ってたらダメだよね。ちゃんと座って……それから、それから…。




「襲い受10のお題」

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