借金取りさん、こんにちは。
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- 2010.06.26(土)
- 3. こんにちは、借金取りです (1)
- 2010.06.27(日)
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- 2010.06.28(月)
- 4.それうちの客ですから (1)
- 2010.06.29(火)
- 4.それうちの客ですから (2)
- 2010.06.30(水)
- 4.それうちの客ですから (3)
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3. こんにちは、借金取りです (1)
2010.06.26 Sat
「寒い…」
身も心も、ホンットに寒い。
寒さ凌ぎのためにコンビニにいようと思ったけど、おでんとか肉まんの誘惑に負けそうだから、やめておいた。
「どこ行こうかなぁ…」
アパート、次の人が入るの明後日って言ってたから、今日ぐらい泊まっても大丈夫かな? 鍵はあるし……つーか、普通に鍵開いてたじゃん。
そうしよ。
今日だけ。今日だけあそこに帰ろう。ふとんはないけど、とりあえず寒さは凌げる。
もうチャリを漕ぐ元気もなくて、押して帰る。マジ寒ぃ。
「はぁ…」
うるさい階段を出来るだけ静かに上る。
外階段とか廊下にに電気なんて気の利いたもんはないから、月明かりだけを頼りに、突っ掛からないように気を付けながら。
トボトボ部屋に向かうと、ドアの前に人影を見つける。
もしかしてアイツ、帰ってきた!? やっぱ1人で逃げたんじゃなかった!? ―――なんていう、俺の淡い期待は、儚くもあっけなく崩れ去った。
「あ…」
「やぁ、どうも」
思わず立ち竦んでしまった俺を見つけて、ニコッと笑う1人の男。名前は徳永さん。顔だけ見れば、いい男なんだけどなぁ、笑顔もカッコいいし。でも…。
「こんにちは、借金取りです」
そうなんです。
この人、借金取りさんなんです。
「遅かったね。こんな時間まで、バイト?」
「……いや…その……」
「つーか、何で部屋の中が空っぽなのかな? もしかして黙ってどこかに引っ越すつもりだった?」
ふるふる。それにだけは首を振っておく。
俺はどこにも逃げるつもりなんかない。
「あの……今日って、返済日、でしたっけ…?」
「ん? それ、どういう冗談?」
「えっと…」
こ、怖い…!
笑ってるけど、目が全然笑ってない!!
「今月の返済日、昨日なんだけどなぁ」
「あ…、そう…でした、っけ…?」
つーか、今月の返済って、アイツじゃん!
何、それも払わないで、いなくなっちゃったわけ!?
身も心も、ホンットに寒い。
寒さ凌ぎのためにコンビニにいようと思ったけど、おでんとか肉まんの誘惑に負けそうだから、やめておいた。
「どこ行こうかなぁ…」
アパート、次の人が入るの明後日って言ってたから、今日ぐらい泊まっても大丈夫かな? 鍵はあるし……つーか、普通に鍵開いてたじゃん。
そうしよ。
今日だけ。今日だけあそこに帰ろう。ふとんはないけど、とりあえず寒さは凌げる。
もうチャリを漕ぐ元気もなくて、押して帰る。マジ寒ぃ。
「はぁ…」
うるさい階段を出来るだけ静かに上る。
外階段とか廊下にに電気なんて気の利いたもんはないから、月明かりだけを頼りに、突っ掛からないように気を付けながら。
トボトボ部屋に向かうと、ドアの前に人影を見つける。
もしかしてアイツ、帰ってきた!? やっぱ1人で逃げたんじゃなかった!? ―――なんていう、俺の淡い期待は、儚くもあっけなく崩れ去った。
「あ…」
「やぁ、どうも」
思わず立ち竦んでしまった俺を見つけて、ニコッと笑う1人の男。名前は徳永さん。顔だけ見れば、いい男なんだけどなぁ、笑顔もカッコいいし。でも…。
「こんにちは、借金取りです」
そうなんです。
この人、借金取りさんなんです。
「遅かったね。こんな時間まで、バイト?」
「……いや…その……」
「つーか、何で部屋の中が空っぽなのかな? もしかして黙ってどこかに引っ越すつもりだった?」
ふるふる。それにだけは首を振っておく。
俺はどこにも逃げるつもりなんかない。
「あの……今日って、返済日、でしたっけ…?」
「ん? それ、どういう冗談?」
「えっと…」
こ、怖い…!
笑ってるけど、目が全然笑ってない!!
「今月の返済日、昨日なんだけどなぁ」
「あ…、そう…でした、っけ…?」
つーか、今月の返済って、アイツじゃん!
何、それも払わないで、いなくなっちゃったわけ!?
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3. こんにちは、借金取りです (2)
2010.06.27 Sun
「一応俺も2日ばかり待ってみたんだけど、1円も入金されないからさぁ、来ちゃいました」
「す…すいません…」
「俺もさぁ、こんな時間に大変なわけ。残業手当もつかないしね」
「すいません…」
「言うことは、それだけ?」
「あの…来月まで……バイト代入ったら、倍で返すんで…」
「おもしろくないねぇ、その冗談」
俯いてたら、徳永さんが顔を覗き込んできて、しっかり目を合わせられる。
どうしよう……財布の中見せて、これしかないんですって言ったら、今日は見逃してくれるかな?
「とりあえずさぁ、返すもんは返してもらわないと、俺としても困っちゃうわけ、非常に」
「それが…」
「返せっつーんだよっ!」
―――ガンッ!!
「ひぃっ…」
痺れを切らした徳永さんが、元俺の部屋のドアを、思いっきり蹴っ飛ばした。静かな周囲に嫌な音が響き渡る。
っていうか、これでもしドアが壊れちゃったら、それって、俺が弁償しなきゃなのかな? マズイよ、それは!
「1週間! 1週間でいいんで、お願いします! マジで俺、今3,000円くらいしか持ってなくて、あの、あの……」
俺は必死に頭を下げた。
どんなに強く言われたって、ホントにこれだけしか持ってないんだから、返しようがない。
というか、たった1週間で何をどう出来るってわけでもないけど、とりあえず今は、騒ぎが大きくならないうちに帰ってもらわないと…。
「……チッ、分かったよ。1週間だな?」
「え…」
思い掛けない、徳永さんの言葉。
「1週間だけ待ってやるよ」
「ホント!?」
「その代わり、1週間後にはきっちり返してもらうからな?」
「はい!」
よ…良かった…。
「それと……逃げようったって、逃げられると思うなよ?」
ホッとしかかってる俺に、ドスの効いた徳永さんの声。
「は…はい!」
階段を下りて去っていく徳永さんの足音が、何だかいつもよりうるさく聞こえた。
「す…すいません…」
「俺もさぁ、こんな時間に大変なわけ。残業手当もつかないしね」
「すいません…」
「言うことは、それだけ?」
「あの…来月まで……バイト代入ったら、倍で返すんで…」
「おもしろくないねぇ、その冗談」
俯いてたら、徳永さんが顔を覗き込んできて、しっかり目を合わせられる。
どうしよう……財布の中見せて、これしかないんですって言ったら、今日は見逃してくれるかな?
「とりあえずさぁ、返すもんは返してもらわないと、俺としても困っちゃうわけ、非常に」
「それが…」
「返せっつーんだよっ!」
―――ガンッ!!
「ひぃっ…」
痺れを切らした徳永さんが、元俺の部屋のドアを、思いっきり蹴っ飛ばした。静かな周囲に嫌な音が響き渡る。
っていうか、これでもしドアが壊れちゃったら、それって、俺が弁償しなきゃなのかな? マズイよ、それは!
「1週間! 1週間でいいんで、お願いします! マジで俺、今3,000円くらいしか持ってなくて、あの、あの……」
俺は必死に頭を下げた。
どんなに強く言われたって、ホントにこれだけしか持ってないんだから、返しようがない。
というか、たった1週間で何をどう出来るってわけでもないけど、とりあえず今は、騒ぎが大きくならないうちに帰ってもらわないと…。
「……チッ、分かったよ。1週間だな?」
「え…」
思い掛けない、徳永さんの言葉。
「1週間だけ待ってやるよ」
「ホント!?」
「その代わり、1週間後にはきっちり返してもらうからな?」
「はい!」
よ…良かった…。
「それと……逃げようったって、逃げられると思うなよ?」
ホッとしかかってる俺に、ドスの効いた徳永さんの声。
「は…はい!」
階段を下りて去っていく徳永さんの足音が、何だかいつもよりうるさく聞こえた。
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4.それうちの客ですから (1)
2010.06.28 Mon
どうしよう、どうしよう、どうしよう…。
徳永さんには1週間って言ったけど、1週間で10万円なんて揃える術はない。
コンビニもスタンドも、バイト代が入るまでにはあと20日以上ある。だいたい俺のバイト代なんて、借金の返済と、光熱費の支払いで殆ど消えちゃうんだ。
だからアイツと1月交替で返済してたのに……これから先、今の収入で、アイツの分までなんて払えるわけがない。
アパートは引き払ったから家賃は払わなくていいけど、でも食費はどうする? コンビニ弁当だって、毎日貰えるわけじゃないし…。
もう1個バイト増やそうかな。何か住み込みとか、そういうの。でも、こんなボロボロの奴、雇ってくれるとこなんて、あるのかな?
隙間風のひどい部屋の隅で、小さく丸まって、目を閉じた。
*****
翌日は、とりあえず食事は昨日のコンビニ弁当の残りで何とかして、スタンドのバイトを終わらせた。
顔色が悪いって、店長にも先輩にも心配されて。でも昨日のことは話さない。
心配はされても、それ以上のことはしてもらえないし。だって変に同情でもされたら働きづらくなるし、まさかお金を借りるわけにもいかないし。
「はぁ…」
何とか短期間に、いっぱい稼げないかなぁ。
もし俺が女の子だったら、水っぽい仕事とか、風俗系とか、何とか手段はあるけど……いかんせん俺は男だ。
男でもそういうの……出来んのかな? でもそういうの、よく知らないし…。
あー……腹減って、考えらんない…。
どうしよう、明日は何も食うモンがないのに、コンビニのレジなんか出来んのかな? 食いモン目の前にして…。
つーか、今日はどこに帰ればいいんだ? もうあの部屋には、別の誰かが引っ越してきてるはずだから、もう俺の家じゃない。
どうしよう、マジどうしよう…。
「どうぞー」
ビクッ!
ボーと歩いてたら、いきなりビラ配りのお兄ちゃんが、俺の前にチラシを差し出してきた。
こういうのって、普段あんまり受け取らないんだけど、今日はあんまり思考力が働かなくて、差し出されるがまま、それを受け取った。
まぁあとでゴミ箱ポイしちゃえばいいっか。
徳永さんには1週間って言ったけど、1週間で10万円なんて揃える術はない。
コンビニもスタンドも、バイト代が入るまでにはあと20日以上ある。だいたい俺のバイト代なんて、借金の返済と、光熱費の支払いで殆ど消えちゃうんだ。
だからアイツと1月交替で返済してたのに……これから先、今の収入で、アイツの分までなんて払えるわけがない。
アパートは引き払ったから家賃は払わなくていいけど、でも食費はどうする? コンビニ弁当だって、毎日貰えるわけじゃないし…。
もう1個バイト増やそうかな。何か住み込みとか、そういうの。でも、こんなボロボロの奴、雇ってくれるとこなんて、あるのかな?
隙間風のひどい部屋の隅で、小さく丸まって、目を閉じた。
*****
翌日は、とりあえず食事は昨日のコンビニ弁当の残りで何とかして、スタンドのバイトを終わらせた。
顔色が悪いって、店長にも先輩にも心配されて。でも昨日のことは話さない。
心配はされても、それ以上のことはしてもらえないし。だって変に同情でもされたら働きづらくなるし、まさかお金を借りるわけにもいかないし。
「はぁ…」
何とか短期間に、いっぱい稼げないかなぁ。
もし俺が女の子だったら、水っぽい仕事とか、風俗系とか、何とか手段はあるけど……いかんせん俺は男だ。
男でもそういうの……出来んのかな? でもそういうの、よく知らないし…。
あー……腹減って、考えらんない…。
どうしよう、明日は何も食うモンがないのに、コンビニのレジなんか出来んのかな? 食いモン目の前にして…。
つーか、今日はどこに帰ればいいんだ? もうあの部屋には、別の誰かが引っ越してきてるはずだから、もう俺の家じゃない。
どうしよう、マジどうしよう…。
「どうぞー」
ビクッ!
ボーと歩いてたら、いきなりビラ配りのお兄ちゃんが、俺の前にチラシを差し出してきた。
こういうのって、普段あんまり受け取らないんだけど、今日はあんまり思考力が働かなくて、差し出されるがまま、それを受け取った。
まぁあとでゴミ箱ポイしちゃえばいいっか。
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4.それうちの客ですから (2)
2010.06.29 Tue
「ん?」
"担保・保証人一切不要"
"今すぐお金の必要な方"
そんな文字の躍る、やたらと字のいっぱい書いてある、目のチカチカするようなチラシ。消費者金融のか。
年利0.8%って……500万円借りると、いくら返すことになるの? 5×8=40…………んーと…。でもまぁ、そんなに高くはならないよね。
あとは……
「20分以内にお振り込み…」
マジ!? これなら、1週間以内に徳永さんにお金が返せる!
「お兄さん、興味あります?」
「へっ!?」
声を掛けて来たのは、さっき俺にビラを渡したお兄ちゃん。
何かニヤニヤしてて、ヤな感じ。
「えっと…」
「良かったら、話聞きます?」
「えと、あの…」
聞きたい気もする、けど…。何か胡散臭い。
「立ち話もなんだし、ウチの店、行きませんか?」
「え…」
「じゃあ、行きましょう」
「え? え?」
じゃあって何!? まだ何も答えてないじゃん!
まだ何の返事もしてないのに、そのお兄ちゃんは、グイグイ俺の腕を引っ張って、"ウチの店"に連れて行こうとする。
でも、でも、ホントに大丈夫なのかな?
「あの、ちょっ…」
やっぱ、やっぱやめる!
怖い!
何かヤバイ気がする!
でもお兄ちゃんはちっとも腕を放してくれなくて。
瑞原直央、人生最大のピンチです!! 今まで散々いろんなピンチに出くわして来たけど、今が一番のピンチ!
ひぃ~誰か助けて!!
……でも誰も助けてくれる人なんていなくて。強引に腕を引かれて、よく分かんない雑居ビルに連れて行かれてしまった。
"担保・保証人一切不要"
"今すぐお金の必要な方"
そんな文字の躍る、やたらと字のいっぱい書いてある、目のチカチカするようなチラシ。消費者金融のか。
年利0.8%って……500万円借りると、いくら返すことになるの? 5×8=40…………んーと…。でもまぁ、そんなに高くはならないよね。
あとは……
「20分以内にお振り込み…」
マジ!? これなら、1週間以内に徳永さんにお金が返せる!
「お兄さん、興味あります?」
「へっ!?」
声を掛けて来たのは、さっき俺にビラを渡したお兄ちゃん。
何かニヤニヤしてて、ヤな感じ。
「えっと…」
「良かったら、話聞きます?」
「えと、あの…」
聞きたい気もする、けど…。何か胡散臭い。
「立ち話もなんだし、ウチの店、行きませんか?」
「え…」
「じゃあ、行きましょう」
「え? え?」
じゃあって何!? まだ何も答えてないじゃん!
まだ何の返事もしてないのに、そのお兄ちゃんは、グイグイ俺の腕を引っ張って、"ウチの店"に連れて行こうとする。
でも、でも、ホントに大丈夫なのかな?
「あの、ちょっ…」
やっぱ、やっぱやめる!
怖い!
何かヤバイ気がする!
でもお兄ちゃんはちっとも腕を放してくれなくて。
瑞原直央、人生最大のピンチです!! 今まで散々いろんなピンチに出くわして来たけど、今が一番のピンチ!
ひぃ~誰か助けて!!
……でも誰も助けてくれる人なんていなくて。強引に腕を引かれて、よく分かんない雑居ビルに連れて行かれてしまった。
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4.それうちの客ですから (3)
2010.06.30 Wed
「ここの3階だから、ウチのお店」
「あ…あの、俺…」
「ん? 話だけ話だけ。聞いてヤダったらやめればいいんだし」
ホントにヤダって言ったら、やめさせてくれんの? マジで?
逃げるなら、今だよな? 逃げ切れるかな、俺。
「んー? 今さら帰るとか言うの? ここまで来といて」
「いや、あの…」
「君が来たいって言うから連れてきたんだよ?」
言ってない、言ってない! 一言もそんなこと言ってない!!
「俺、ここに来ないであそこでビラ配ってたら、何枚配れたと思ってんの? ん?」
そんなの知らないよぉ~…。
もう何も言えなくなって、俺はそのまま俯いた。あぁ…付いてないときって、ホント、付いてないことが重なるもんだよな…。
「じゃ、行こっか」
「は、はぁ…」
とりあえず、言うこと聞くしかないよね、もう…。
そう観念して、お兄ちゃんの後を付いて階段を上ろうとしたときだった。
「あのさぁ」
そう言って、俺の前にいたお兄ちゃんを引き止める、1つの手。
「ん?」
お兄ちゃんは面倒臭そうに振り返って、でも次の瞬間、ビクッてなって固まった。
「どこに連れてく気か知らないけど、この子、うちの客ですから」
え? この声って……
「徳永さん…」
バリッとしたブランドもんのスーツに身を固め、サングラスを掛けた徳永さんの姿。
何で? 何でこんなとこいるの? ってか、何でこのお兄ちゃんも、徳永さん見た途端に、こんなにビビッてんの?
「あ……あの、徳永さんとこのお客だったんですか?」
「そういうこと。この子に何か用事?」
「いえ、別に、そういうわけじゃっ…!!」
「じゃあもう連れてっちゃってもいいかな?」
「はい、どうぞ!!」
何だろ、この手の反しよう…。
「じゃあ直央くん、行こっか?」
「へ? あ、はい」
何だかよく分かんないけど、助かっちゃった。
俺は徳永さんに手を引かれたまま、日の沈みかけた街を、どこに行くとも知らず歩いていった。
「あ…あの、俺…」
「ん? 話だけ話だけ。聞いてヤダったらやめればいいんだし」
ホントにヤダって言ったら、やめさせてくれんの? マジで?
逃げるなら、今だよな? 逃げ切れるかな、俺。
「んー? 今さら帰るとか言うの? ここまで来といて」
「いや、あの…」
「君が来たいって言うから連れてきたんだよ?」
言ってない、言ってない! 一言もそんなこと言ってない!!
「俺、ここに来ないであそこでビラ配ってたら、何枚配れたと思ってんの? ん?」
そんなの知らないよぉ~…。
もう何も言えなくなって、俺はそのまま俯いた。あぁ…付いてないときって、ホント、付いてないことが重なるもんだよな…。
「じゃ、行こっか」
「は、はぁ…」
とりあえず、言うこと聞くしかないよね、もう…。
そう観念して、お兄ちゃんの後を付いて階段を上ろうとしたときだった。
「あのさぁ」
そう言って、俺の前にいたお兄ちゃんを引き止める、1つの手。
「ん?」
お兄ちゃんは面倒臭そうに振り返って、でも次の瞬間、ビクッてなって固まった。
「どこに連れてく気か知らないけど、この子、うちの客ですから」
え? この声って……
「徳永さん…」
バリッとしたブランドもんのスーツに身を固め、サングラスを掛けた徳永さんの姿。
何で? 何でこんなとこいるの? ってか、何でこのお兄ちゃんも、徳永さん見た途端に、こんなにビビッてんの?
「あ……あの、徳永さんとこのお客だったんですか?」
「そういうこと。この子に何か用事?」
「いえ、別に、そういうわけじゃっ…!!」
「じゃあもう連れてっちゃってもいいかな?」
「はい、どうぞ!!」
何だろ、この手の反しよう…。
「じゃあ直央くん、行こっか?」
「へ? あ、はい」
何だかよく分かんないけど、助かっちゃった。
俺は徳永さんに手を引かれたまま、日の沈みかけた街を、どこに行くとも知らず歩いていった。
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